ガンディーニのクアトロポルテ(その34:パワステの補足とプロペラシャフト)
さあ、今日もハリ切っていってみよー!・・・と、リキんではみたものの、ソトでは雨がシトシトと。昨日も今日もデポ場内では、シゴトにならないので、先週、完全に舗装して新装なった「春日町第三ヤード(仮称)」で、雨の中、造作の作業をしております。お預かりした皆さんのマシンをきちんと保管するための任務ですから、しっかりとやりますよー。
さて、昨日のパワステばなしで、忘れてた「パワステポンプ」のハナシをしておきましょう。「松戸のS」さんのコメントを拝見して、思い出しました。
デ・トマソ時代より、ガンディーニのクアトロポルテの最終エボにいたるまで、「TRW」のパワステギアボックスを使っているコトをお話いたしましたが、パワステポンプに言及していないのを思い出したわけです。
マセラティ、「パワステポンプ」はイキません。少なくともマイクロ・デポでは、かつて壊れたの、一台もないと思います。ポンプ周りのキモはどちらかというと、Vベルトですね(エボ系とV8は除く:これらはリブ付き平ベルトを採用、テンショナー付)。コレは交換・調整にホネが折れますので、そのまんまになってる個体が多いようです。但し、他のVベルトに較べると、パワステベルトはリーチが短いので、あんまり伸びないし、イタまないです。エアコンのコンプレッサーが完全にロックしたりすると、そのサブプーリーで駆動してますのでパワステベルトもトビます。
パワステの油圧系統では、昨日のパワステギアボックス本体のほかに、高圧ホース・低圧ホースの各ホースは経年で劣化します。モレを見つけたらスパっと交換したいところですね。
また、「masepon」さんから、「マセラティのパワステ交換は150万円コース?」とのコメントを頂きましたが、コレは事実無根(笑)な数字なので、マセラティの名誉のために(とはいっても、高いケド:泣)訂正させてください。先週末のコーンズさん調べで、クアトロポルテ用のパワステギアボックスAssy部品代は¥303,000(税抜価格)です。交換と、アライメントで、最高5万円程度だと思いますので、現在のところ、「総額37万円コース」としておきましょう。
ちょっと前までは、本体価格が21万円だったので、「総額26万円コース」だったのですが、昨今のユーロ高を背景とした、パーツセンターの二度にわたる価格改定のあおりでこの「37万円コース」となりました。ビトルボシリーズの日本における歴史の中で、パワステ修理に150万円という例はおそらくは無いと思います。皆さん、ご心配なさらぬよう(でも、やっぱり高いコトは高いが:笑)。
今日のお題はプロペラシャフト。
こんなの、フツーのクルマでは、書くコトないはずのモンなんですが、マセラティだと、やっぱり、ひとネタあるんですねー、コレが(笑)。
70年代半ばの、アルフェッタ系から75系にいたるアルファロメオでは、トランスアクスル(トランスミッションが後輪車軸側についてる:理想的な前後重量配分を、フロントエンジン・リアドライブ車で目指したい場合に使われる手法:フェラーリ傘下マセラティでも多用されている)を採用したために、プロペラシャフトはエンジン回転(クランクシャフトの回転)と等速で回るコトになるため、「芯」がキッチリ出ていないと、加速するたびにユスられるので、極めて不快でした。
ビトルボ系はといえば、・・・トランスアクスルぢゃないですよね。なのに、加速する時に床下で「ゴロゴロ」と打撃音がする場合があります。先のアルファロメオとは違って、こちらは、ギアボックスで充分に減速した回転数でプロペラシャフトが回るわけですが、そのプロペラシャフト総全長の半ば地点に「プロペラシャフトセンターサポートベアリング」というものがありまして、そのベアリング内輪穴が前後ニ分割のプロペラシャフトのスプライン嵌合部にあたります。これが「ゴロゴロ」の原因。このベアリング、床下に取り付けるための金具の中に、ゴムで焼きこんで作られていますので、このゴムマウント部がヘタると、プロペラシャフトの位置が下がり、「芯」が思いっきりズレちゃうわけです。
そもそも、ビトルボ系のキャブ時代より、この構造が使われており、ドーシテこういうコトするかなあー、といつものように推論いたしますと、これは、基本が同じプラットホームのホイールベースを伸ばしたり縮めたりしながら、車種のバリエーションを増やす時に、後部ユニバーサルジョイント(回転しながらクネクネと振れる:製造には、高度な技術が必要)の設計は同じまま、後部シャフトのリーチだけを、ホイールベースに合わせて換えるコトにより、いちいち「丸々一本」新規にシャフトをこしらえなくてもいいようにしているのでは、と、思います。やはり、「コストダウン」のためかあ。じゃ、ベアリング部分をわざわざ作るコストはどーなるの?といった疑問も湧きますが、プロペラシャフトの前端と後端に普通は装備されている、「ディスクカップリング(急激に駆動系統にトルクが伝わるのを抑えるための、ゴムにブッシュが焼きこんであるもの:穴のあいた今川焼きみたいな形状)」を省くこと(エボ前V8とエボV6・エボV8にはフロントだけ付いてる)により、ウマイことやったのでしょう、・・・って、だーかーらー、デファレンシャルギアやドライブシャフトに負担が掛かってぶっ壊れるのでは?ここのあたりは次回にやりましょう。
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