ガンディーニのクアトロポルテ(その20:エンジンの⑩)
えー、きょうのお題は・・・、なんだったっけ(笑)?もー、だいたいにおいて、このブログ、「一切の下書き無し」でいきあたりバッタリで書いてるモンで、文章の趣旨は、もー、アッチへ行ったりコッチへ行ったりとしておりますので、「つまるところ、ナニが云いたいわけ?」といった突っ込みがソロソロ出てきそうな気はいたしますが、まあ、おシゴトの息抜きや疲労回復・滋養強壮のため、適当に読み流しておいてくださいね。何の役にも立たんけど。
でもね、このブログの「真の目的」は、「世界征服のため(笑)」などでは当然なく、少なくとも、「自動車趣味人」の方々と、そうなりたいと願う予備軍のために、「ビトルボマセラティの魅力や思想」をコアにしつつも、深遠かつ「おバカな」自動車趣味それ自体の「面白さ」や「楽しみ方」を共有するためにあり、さらに、この「楽しい自動車趣味の世界」が未来に続いていくものでありますよう、念願しながら書き進めてまいります。というわけで、場合によっては、文章の趣旨がどんどんマセラティから離れて行っちゃう場合もあるので、「現在マセラティ乗り」のお客さんの情報蒐集の欲求には、お応えできていないコトもありますが、あんまり、「ビトルボねた」ばっかりだと、マセラティに興味の薄い「ブログ訪問者」からソッポを向かれる可能性がありますので、そこはそれ、「徐々に真綿で締めるよう、蜘蛛女(byりゅたろう:笑)の如くに」外堀り、内堀りウメながら、「コッチの世界」に来てもらえるよう、じーっくりと時間を掛けての説得を試みようと思っておりますゆえ、「ビトルボフリーク」のお客さんには、ご理解とご協力の程、宜しくお願い申し上げます。
あー、あとねえ、マイクロ・デポの技術力なんて、ハッキリ云って、たいしたコトありません。もっと、もっと、腕の立つお店(ヒト)や、高レベルのサービスを実施しているところは、この日本国内にも大勢いらっしゃると思う。ワタシらはそんなにウヌボレてはいません。本当に心底「まだまだ序の口」であると思っております。「魅力のある商品車」と「それに付帯するアフターサービスの充実」には、その時その時、最高レベルの情熱をもって心血を注いでいることは間違いないですが。
自動車趣味のお店を標榜する以上、お客さんに「夢」を見てもらえるようにするのは、とりわけ「急性(笑)セレブリティ層」のお客さんをお相手する商売の場合には、絶対条件だと考えています(それは、ものすごく分かってる。で、日ごろ切歯扼腕してる)だから、きれいなおねえさんもいなければ、モダンなショールームも持たないマイクロ・デポには、「にわか超セレブ層」顧客は近寄りもしません。また、そういった方々には「モノ造りの苦労話」なんて、まずもって興味を抱いては頂けないでしょう。それが、われわれが「超一流ではない」証だと思います。
しかしながら、マイクロ・デポには、それを暖かく見守ってくださる心強いお客さん方とその予備軍がいらっしゃる。そのお客さん方が、その愛車とそれがもつ趣味性の楽しさを日々のストレス解消にでも役立て、生きがいの一つに加えて頂くことにより、勇気百倍、お仕事を充実させ、ひいては出世もし、ご商売も地道に繁栄させて頂いて、「いっちょ、またマイクロ・デポでも行って、くだらねー車でも買うか」となってくれれば本望なんです。その時までに、我々はどんなご要望にも(原理主義を貫きつつ:笑)お応えできるよう、日々の精進をつづけますヨ。
えー、きょうの本題。
ガンディーニクアトロポルテのエンジンスペックは、
水冷90度V型6気筒(8気筒)DOHC4バルブ インタークーラー付ツインターボ
でしたね。
今日からは、暫くの間、この「90度V型」という、エンジンのシリンダーレイアウトにいたるまでの歴史を概観してみましょう。
エンジンレイアウトの基本は云うまでも無く、「単気筒」ですね。「一つのシリンダー」。で、これだと、「ドコドコ」と振動(鼓動)が出るわけです。特に、大排気量化していくと、シリンダー内で高速往復運動を繰り返すピストンやコネクティングロッドも大型化(よって重くなる)してくるので、摩擦も大きく、慣性も増すので、「ドッコン・ドッコン」とそのパルスはハラをゆするように、いよいよ大きくなります。
で、高級高速化の歴史の流れで段々と「増やしたくなる」。で、直列、並列、V型、水平対向型など各種のレイアウトで2気筒になり、同様に3・4・5・6・8・12・16とエスカレートしてきたわけです。
こういった、いわゆるレシプロエンジン(往復運動を回転運動に転換して何らかを駆動するエンジン)は、航空機や、船の進化とも並行して歩んできています。皆さんご存知のロールスロイス社は、一般的には「超高級車メーカー」であるわけですが、エンジン技術史的には、むしろ「航空機用エンジン製造メーカー」として捉えられている会社です。今やロールスロイスの親会社たるBMWもそう。忘れちゃならねえ、ダイムラーベンツも。戦前にはイスパノスイザなんていう、やはり「超高級車」と「航空機エンジン」を主力商品とするメーカーも存在し、日本の三菱重工はこのイスパノ航空機エンジンをライセンス生産していました。フィアットに至っては、現在でも航空機はもとより、石油タンカーだって作ってる、ものスゴイ会社です。ちなみに現在はマセラティも、フェラーリも、ランチアもアルファロメオも、離合集散の歴史の結果、現在はこのフィアットの傘下企業であります。スウェーデンには「自国防衛を自給自足」でやりますよ、といった国是があるので、サーブ社は現在でも戦闘機が作れますし、有事の際には国内のすべての高速道路がジェット戦闘機用滑走路に転用できるように設計されてる。
我が国内に目を向けましても、現存する自動車製造メーカー、オートバイ製造メーカーの中には、その出自が「ヒコーキ屋」であるものが、やっぱりある。中でも有名なのは、やはり富士重工(スバル)でしょうか。戦前戦中を通して最も有名な航空機メーカーの「中島飛行機」これが、スバルのもとです。そもそも、それを設計した三菱重工業よりも、多くの「零式艦上戦闘機(レイ戦が正しいが、一般的にはゼロ戦の呼称でおなじみ。海軍の戦闘機)」を製造し、陸軍の「隼(はやぶさ)」「疾風(はやて)」など、名機と呼ばれる航空機を生み出した「技術屋ダマシイ」あふれる会社です。ちなみに、この「疾風」、完成時には、「大東亜決戦機」と銘打たれ、その「超高速性能」に本土防衛を賭けましたが、あいつぐ徴兵に伴う熟練工不足に起因する品質不良、良質な資材の枯渇による量産の遅滞、あいつぐ負けいくさによる、熟練搭乗員の少なさ、航空燃料枯渇により、松根油を混ぜて水増しした代用燃料の低性能などにより、ほとんど真価を発揮することもなく終わってしまいました。大戦後、米軍はこの疾風を本国に持ち帰り、その心臓「誉(ほまれ)星型(これもレシプロエンジンのレイアウトの一つ)エンジン」とともに徹底的に分析し、きちんと設計通りに組み直した上で、100%航空燃料を入れて飛ばしてみたら、「うワ−(Oh!my ガー、かな?)、こりゃ、スゴイわ」な結果が出て、「疾風は、第二次大戦中に出現した自国も含む全世界の戦闘機中、最良のものであった」と結論づけたと云われています。でも、それはかなりあとからわかったコト。見渡す限りの焼け野原の中で、「旧中島」の方々は、その辺にころがるテツ兜に、アルミ、ジュラルミンのクズを使って「取っ手」をつけ、ナベや釜として製品化、それを鬻(ひさ)ぎながら、糊口をしのいでいたそうです。それが、そのうち飛行機の尾輪を用いて造った「ラビットスクーター」へと結実し、ほぼ試作ながら量産車「スバルP−1」を経て、かの有名な「スバル360(てんとう虫)」クンに繋がっていくわけです。「スバリスト(スバルフリークのことを古来、自らそう呼びます)」諸兄の中には、WRCで爆走する「インプレッサ」に、「疾風」の悲しい栄光を投影して声援を送っている方も、おそらくはいらっしゃるコトでしょう。由来や歴史を知ることもまた、自動車趣味のひとつなのです。「スバル車」に対する見る目が変わりませんか?
また、きょうも余談ばかりで日が暮れるのであった。
つづく。
« ガンディーニのクアトロポルテ(その19:エンジンの⑨) | トップページ | ガンディーニのクアトロポルテ(その21:エンジンの⑪) »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
« ガンディーニのクアトロポルテ(その19:エンジンの⑨) | トップページ | ガンディーニのクアトロポルテ(その21:エンジンの⑪) »
今日は、常打ちの諸先輩方もお休みのようで・・・残念・・・
湯布院での車談議の掛け合いをここでも楽しませて頂いております。
現在3位なのですが微妙に4位が接近してきました。
心配しながら最近拝見しております。
勢い盛り返すのは、Rさんの言われるとおり面白い写真しかないかと思いますが
明日は、鷹木屋No12tank飲みながら頑張ってくださいマセ。
投稿: だんちょ | 2008年9月 3日 (水) 23時33分
うーむ、風邪にてやっとPCに向かう気が…。
文面見てるだけで目眩がしてくるので、仕事の疲労回復や滋養強壮には向きませんな(笑)
マイクロ・デポの技術力ってどーなんだ?誹謗中傷シリーズ第三弾
「マイクロ・デポの技術力なんてたいしたコトない」とご謙遜されてるようですが…
これは自信の裏返しの謙遜ではなく、真摯にマセラティ或いは車全般に
向き合った時の本心であると理解します。
確かに全国には、マイスターと言えるような技術屋も多数存在しますし。
私も何人かは知ってます。
マイクロ・デポの本来の意味の修理、整備「技術力」そのものについては
素人ゆえ判断のしようがありません。
ただ、ことマセラティに関しては(特に誰もがビビるビトルボ)
その蓄積たるや空恐ろしいものがあります。
ここには書きませんが(書き切れない?)過去扱った数と、その内容が
遥かに同業他社を圧倒してると推測せざるを得ないものだからです。
「ざけんなよっ、うちのが方が上だ」って方もいらっしゃるかもしれませんが…(挙手を)
むしろこの今や社会悪にもなりかねない極悪車を愛好する仲間として、私は歓迎したい。
ま、環境に対しては絶対数から言えばあっても無くても同じ位のもんですが…
日々、バカバカと増産される似たようなミニバンなんかの方が問題です実際。
因みに、「ミニバン=幸せ家族」みたいなな図式は私は大嫌いです。
殆どの日本人はメーカーに刷り込まれてますな。マスコミュニケーションの怖さです。
っつーか、大衆自身が潜在的に持ってる感覚か?
確かに便利な時もありましょう。否定はしませんがね。
車に求めるものも、それぞれ違うのも当たり前だし。
ただ車好きの端くれとしては「車は家(うち)の中じゃねぇんだよ!」と
語気を荒げてしまいます。
閑話休題。
前にも書きましたが、アフターの対応は非常に迅速かつ徹底的に
行われるといえましょう。
サラリーマン感覚で仕事をしてないのは事実です。
ただ、日曜休みは「どーにかなんねーか?」って言うのが私を含め
大方の勤め人の大きな不満でしょうね。私を含めて。
ま、データに裏づけられた確固たる理由があるんですが…(お店で聞いてね)
で、デポのマセラティが高い理由。
まず相場と比較するので高いと感じる。これが一番。
しかしその相場を形成する車両の多数が、そのまま乗ると「泣きを見る」
と、推測される。ここが問題。
ネットその他でマセラティは今や結構リーズナブルに出回ってます。
それは多くは、販売店がなるべく早く手放したい現われであるとも言えます。
専門店以外は大抵、保障なしの現状販売が条件ですから。
ま、要はわかんないんですよ。マセラティなんて。
責任取れないし、店の気持ちもわかります。
したがって、専門店でのお買い上げを強く薦めます。
デポで買え、とは申しませんが、購入をご検討の方は一度は
出来ればお店に出向いて、講釈を拝聴する価値はあります。
何故この価格?っていうのは、いやと言うほど聞けます。
客に媚びるような事はまずありませんが…
その上で「たいしたコトねぇなぁ」とか「ゴチャゴチャうるさい」とか
思った方は他専門店をお薦めいたします。或いは新車を買いましょう。(今やフェラーリ)
投稿: 松戸のS | 2008年9月 4日 (木) 12時26分
「ガンディーニのクワトロポルテ」のテーマで短期間にブログを20回も更新するとは凄いですね。
クワトロポルテに始まり、富士重工業のルーツから奇跡の誉エンジンにまで言及する異次元の時空感覚は、まさに岡本ワールド!
岡本さんたちの原動力は、好奇心と探究心。損得勘定や世間の価値観など気にせず、オモシロイ・カッコイイ・ウツクシイ、を自らの感性で熱く語る、ホンモノの人たちです。
マセラティの素晴らしさを語るために、他のメジャーな車種を引き合いに出し、地味だ・つまらない・悪人顔だ、等、ネガティブな表現をされる事もありますが、それもマセラティ可愛さゆえ。
マセラティに限らず、基本的にクルマやメカが好きなんですね〜。
マセラティ以外でも、いろいろなクルマの面白い話題をお持ちです。
投稿: Ryo | 2008年9月 4日 (木) 20時10分