はい、こんにちは!
今日の東京は、冷たい雨がシトシトと降っております。そんな中、デポ場内では、最終仕上げ中のギブリを「これでもか、これでもか(笑)」と、気迫を込めて作業しております。Kさん、お楽しみに。
さて、今日のガンディーニのクアトロポルテ、エキゾースト(排気)系統のお話です。
まあ、マセラティ社の製造してきた歴代のマシン達には、ほぼ例外なく「マルミッタ・アンサ(アンサ・マフラー)」が純正装着されてきておりますが、ビトルボ系各車も例外ではありません。ガンディーニのクアトロポルテにも純正で4本出しのアンサが装着されてきております。現在、40歳以上の「スーパーカーブーマー」の方々にとっては、「ランボルギーニカウンタックLP400」や「フェラーリ365GT4ベルリネッタボクサー」、そして、もちろん我が「マセラティボーラ」などの、後部下から覗く「メッキエンドに赤テープを巻いたアンサ」には、格別の思い入れがあることと思います。「4本出しアンサ純正装着車=超高性能車」みたいなイメージもありましたね。
・・・いまだにヤッております、マセラティ(笑)。
ガンディーニのクアトロポルテでは、マフラーエンドも全体の造形の一部として捉えられており、エンドが楕円形の断面を形成するように、成型されております。クラシカルな趣きを愛する方には、いささか物足りなさを覚える部分かもしれませんが。
で、このアンサのマセラティ用エキゾーストシステムは、意図的に重量感のある排気音を演出する構造になってまして、肝心の消音効果の方は、まったくおざなり(笑)です。そのくせ、「タイコ部分(消音構造部分:外形が鼓状の形状なので、俗にそう呼ぶ)」がいっぱいあって、そのそれぞれにどういったわけか(まっ、おそらくはロードクリアランスを確保するためだとは思うが)、出口側(後ろ側)が高くなるようにキツ目の傾斜がつけてあります。デ・トマソ時代の222系よりも、フィアット期のギブリ、クアトロポルテに顕著でして、特にホイールベースが長く、長大なエキゾーストを持つクアトロポルテでは、タイコ内部の水分が抜けきることなく常時滞留するコトになります。
実際に、各タイコ部の内部は、筒抜けになっているわけではなく、結構ややこしい構造物が造作してありまして、これら鉄製のステーやパイプなども、内部に溜まる水分のせいで経年により、錆びていきます。
しかしながら、エンジンが完全燃焼状態(これが、俗にいうエンジン絶好調の状態)になればなるほど、水がジャバジャバとエキゾースト系統内部に侵入してきます。ですから、燃料調整機構や点火系統の不備により、ミクスチャー(混合気)が不完全な状態で乗ってる方が、水っ気が出てこないから、マフラーを痛めにくい(後述するキャタライザーはイタみますが)という、「永遠に仏滅(笑)」な、ジレンマを抱えていると云えましょう。
で対応策・・・。
「とにかく、ぶっ飛ばす(笑)」。マセラティ本社の回答はきっとこうです。街の中をデレデレ走ってばかりいるからそうなるの、と。
実際、地方都市間の通勤に毎日クアトロポルテを高速道路をかっ飛ばして使用している方は、走行距離が9万キロになっても、さして問題になってません。
ですから、走行距離の多寡や、年式よりも、実際に使われてきた状態に左右される部分と云えましょう。
当店の送り出すクアトロポルテは、当然「完全燃焼状態」を目指して造られますから、この問題には早くから着目しておりまして、タイコ部にドレーン穴を穿孔しておくなどの対策を講じてあります。
なんか知らんけど、ショッチュウ「チェックエンジンランプ」が点灯する方は、マフラーが「コポコポ」いってて、排気臭に「硫黄の匂いに似た(温泉地のアノ香りです)ニオイ」がしてないか、聞いて、嗅いでみてくださいね。当店でも、あきれるくらいに「大量の」水が、マフラー内部から出てきたのを見たコトがあります。
次にキャタライザー(触媒)部。云うまでもなく、アンチポリューションのための主要メカです。クアトロポルテの時期には、内部が崩壊するセラミックタイプ(これは、222時期までの物がディーラーで後付装着の日産用三元触媒を流用していたため)の使用を止め、メーカー純正の触媒ユニットを装着しているので、前述の様に燃調が完全で、エンジンの燃焼状態が良好ならば、通常問題は起こりにくいところです。本当にインジェクション各部のセンサーが不良になり、常時失火状態で(当然、いつもチェックエンジンランプが点灯している)ムリに日常走行を続けた場合には、排気が異常加熱し、排気管内部の温度も急上昇、キャタライザー本体が内部からパンクいたします。最悪の場合は引火・爆発もありえますので、看過できませんね。これは、マセラティに限らず、どのクルマでも(国産車でも)起こりうるコトですから覚えておいてもいいでしょう。この排気温度が異常上昇した場合に点灯する警告灯に「EXランプ」というのがありますが、この警告灯を動作させるユニットは当時の日本国内法規に準じて、ディーラーなどで後付けされたものです。中古車においては、このあたりがキチンとしていないものも一部にありますから、注意が必要でしょう。この時代に日本でナンバーを付けているすべてのクルマには、国産・外車の類を問わず、排気音警告灯に関する説明文(コーションラベル)が、運転席側のドアか、サンバイザーに貼り付けられているハズです。このラベル貼付も当時は義務付けられていました(でも、一般のユーザーは、ほとんど読んでないコトでしょうね)。
現在、我が国では、「EXランプ」装着の義務付けが無くなっています。これは、触媒自体の信頼性がアップしたコトに加えて、現代のクルマでは、排気に生ガスが混入した場合、これも、エンジン制御のコンピュータ系統に信号が送られるようになっており、むりやり走行するコト自体が出来なくなっているものが多いからと推測されます。まっ、こういった「ウルトラ制御の世界」は、我々「旧車野郎(笑)」には、まだしばらく関係なさそーなので、「EXランプ点灯→ヤバイ」ともう一度覚えておいてください。
ちなみに、ガンディーニのクアトロポルテの場合、V型エンジンの右バンクと左バンクで、排気系統は完全に独立しており、よって、キャタライザーユニットも左右で分かれています。これが「逝く」と・・・。値段は恐ろしくて書けませんが、書いちゃお(笑)。
60万円程度(逃)・・・。
ぜえぜえ。で、このキャタライザー底部は極めてロードクリアランスの少ない部分についておりますので、「腹打ち」にも充分な注意を払って頂きたく思います。まあ、マセラティ中古車の場合、例外なく(当店のものでも)ここは、擦ったアトがありますが。
それでも、当店出荷のすべてのビトルボでは、下周りの「チッピングガード固め(笑)」から始まり、排気管を前から後ろまで、耐熱塗装をシッカリと施して、後部メッキ部分も磨き出してお納めしております。ですから、納車後にお客さんが「腹打ち」してきて、「やった覚えないんだけどなあー」と言い訳しようにも、出来ないようにしてあるという意味で、「ありがたくない納車時整備サービス」かもしれませんね。でも、裏側までキレイなのは、気持ちのいいモンです。
当店ユーザーの皆さん、今更ながら、気を付けてくださいね。
次に、排気系統周辺のセンサーのお話。
エンジン内部より、噴出してきた排気は、エキゾーストマニホールドにて片方のバンクごとに3本→1本に纏められて出て行き、ターボチャージャータービンを回したのち、キャタライザーにて浄化を受けるわけですが、この触媒部分の手前に、「O2センサー(俗にラムダセンサーともいう)」というのが存在します。
このセンサーは、左右排気管に各1個付いてまして、コレが汚れたり、不良になったりしますと、ガスが濃くなるなどの症状を呈し、「チェックエンジンランプ」が点灯します。
それと、先ほどのキャタライザーに付いてる、「エキゾースト・テンパラチャー・センサー(排気温度検出素子)」というのが左右各1個あります。
以上、どちらのセンサーともに、床から不正脱出防止の鉄板があがってくるタイプの(最もポピュラーな)100円パーキングなどで腹を打った時に引っ掛けやすい「位置・形状」をしておりますので、これも注意が必要です。
最後に床下への吊り下げ固定方法について。
これは、
①:エボ前モデルのすべてのV6車
②:エボV6
③:エボ前&エボV8
で、それぞれ固定理念が違いますので、原則的には、吊ゴムなどの相互互換は無いと思っていた方がよいでしょう。①は222系とほとんど理念が同じ。②&③は、予め排気管に直かに溶接されたステーを用いた、組み立ての楽な吊り下げ方法で、同時期のアルファロメオやメルセデスなどと造りが似ています。より、近代的な固定方法といえましょう。
というわけで、本日の講義はここまで。
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お願いよ(泣笑)。