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2012年1月19日 (木)

マセラティ222SEのエンジン周りを解剖する(その2)

 今日も昨日の続きで「本ネタ」勝負とまいります。昨日のコメント欄に「おぐ」さんから寄せられましたが、当ブログにおける「本ネタ(写真解説付バージョン)」は確かにもんのスゴイ(笑泣)手間を掛けてアップしておりますゆえ、どうか皆さん「サッと目を通す」といった感じではなく、ひとつひとつの写真をクリックして頂き「拡大画面で」お楽しみ頂けますと、書いてる方もヤリガイがあります(きっと、読み流してるヒトいるでしょ:笑)。

 各部の名称・呼称も出来るだけ正確を期し、且つ分かりやすい解説を心がけておりますが、特に当店顧客の方々には、当店が発行する「作業明細書」に記述されている作業内容項目や、交換部品項目への一層のご理解を深めて頂くキッカケにして頂ければ望外の喜びではあります。それでは、まいりましょう。

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 本日もクランケは「松戸在住」Sさまのマセラティ222SEです(すっかり、ネタにさせて頂いちゃってすみません)。

 まずは、左側の写真をご覧ください。エンジンをボディ前方より(要は普通にボンネットを開けて前方から見るポジション)見た場合、向かって左側(右バンク)手前から奥に向かって1番・2番・3番、向かって右側(左バンク)は最奥から手前に向かって4番・5番・6番とシリンダー(ピストン)番号がついています。このエンジンにおいて、ヘッドやカムケースをすべて撤去してしまう場合、まず最初にクランクシャフトの位置をあらかじめ5番ピストンが上死点になるようにセットしてからバラしはじめます。「5番上死点セット」は、エンジンを下から覗き、クランクケースとフライホイール(後述)双方の「アイマーク打刻」を合わせるコトにより行なう事が出来ます。この時、左右カムシャフト先端のタイミングベルトプーリーと、カムシャフトフロントカバーにもある「打刻位置」合わせがピッタリとキテいるようであれば、そのエンジンはキチンと組めて(あくまでも、クランクシャフトとカムシャフトの同調の部分に関してだけですが)いると、まずは安心出来ます。ここの確認を怠るコトにより、カムタイミングベルトをコマずれさせて掛けてあったビトルボマセラティは、当店が手掛けたクルマの中にも、過去ずいぶんとありました(ちなみに、この222SEでは問題ありませんでした)。

 今度は、上の右側写真の補足です。エンジン全体の上下の中間部にあたる「シリンダーブロックは内部が中空構造になっている、アルミ鋳物を機械加工した物です。その内側にはシリンダースリーブが挿入されており、その内径寸法を「ボア」と呼びます。カタログなどの主要諸元欄にある「ボア×ストローク」という時のボアがこれです。「シリンダーブロック」と、「シリンダースリーブ」の隙間中空部分(狭義ではこれをウォータージャケットと呼ぶ)には、通常「LLC(ロングライフクーラント:冷却水)」が満たされており、このLLCをウォーターポンプにより循環させることで、シリンダーとピストンリングの間でおもに発生する「摩擦熱」を逃がし、シリンダー温度を常にある程度以下に抑え込むというのが水冷エンジンの基本理念です。

 ピストンの最上部(着火爆発時に燃焼室の底面となる)は、22年と3万キロの使用により、さすがにスラッジで真っ黒に汚れています。これから、丁寧に汚れを落としていきます。シリンダー内周にキズを付けぬよう、慎重に行なう作業です。

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 次に左の写真。シリンダーヘッドまで降りた状態のエンジンシリンダーブロック前方の写真です。

 冷却水は、エンジン始動直後には、まさに「水」の温度です。エンジンのオーバーヒートを気にするヒトは多いですが、「暖気運転」に気を配る方は少ないと思います。実際にエンジンをストレス無く回せるようにするためには、水温・油温ともに、そのエンジンにとっての「適温」を目指さなければなりません。エンジンオイル、ミッションオイル、デフオイル等などの油脂類は、それぞれが潤滑するメカの内部構造物が発する「摩擦熱」により徐々に温まってまいります。一方「冷却水」が「冷却湯(笑)」になるためには、ピストンが一生懸命作動しないとイケませんので時間が掛かります。さりとて、それを時間短縮(冷却水の温度上昇を促進)するために「カラ吹かし」を続けていては、エンジン内部の摺動部やそのほかの回転機構部分に重大なダメージを与えかねません(アブラの方も、はじめは冷え冷えで、固いですからね)。というわけで、エンジンアイドリング状態の中、ある程度短時間で水温を上げるために装着されているのが「ラジエターサーモスタット」というコトになります。ビトルボマセラティの場合、品名も「サーモスタット73℃」というコトになってまして、水路を開くのは73℃(ビミョーな温度ですね:笑)が規定というコトになります。付け加えれば、本日現在のように「真冬の気温」下では、暖気時に「ヒーターOFF」にしておくのが、暖気運転時短のコツです。エアコン(除湿・冷房)も、設定温度によってはコンプレッサーを動作させてしまい、その場合はラジエターに装着された2基の電動冷却ファンが「強制動作」してしまいますので、ナニやってるんだか、ワケがわからなくなります(笑)。とりあえずエアコンコントローラースイッチはとにかく一旦OFF状態にして、暖気が終わるまで待つコトといたしましょう。真冬の場合は、水温計が一旦70℃くらいを指していても、ヒーター(エアコン)ONでドカーンと一気に水温がさがるモノです。

 その一方で、エンジンオイルはオイルポンプにより、シリンダーヘッドやカムケースなどエンジン上方部やターボチャージャーの内部を潤滑するように圧送されていきます。ビトルボマセラティには「油圧計」は装備されておりますが、残念ながら「油温計」は装着されておりません。真冬におきましては走行開始後の10分間くらい「エンジン」「ミッション」「デフ」の3種のフルードが適温になるまで、高速走行や全開走行は御控えくださいませ。

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 次は、当ブログでも毎度おなじみの「地獄設計(笑)」、スターターモーターの取付位置とエンジン始動原理についてのおハナシです。

 左の写真にありますように、スターターはエンジン後方に接続されているミッションケース側に締結されます。3本のボルトは写真で云う奥の方から挿入し、手前側にスターターを置いてスターターに開けられたタップ溝をナメぬよう徐々に締めこんでいきます。写真でわかります(最後方)ように、ボルト挿入口裏側のあたりにはホース類がひしめきあっています。しかもこのボルトの一本にはアース線まで挟ませられます。ちなみに、本年も年初初日のシゴトがクアトロポルテエボV8(V8はもっと、もーっと大変:泣)のスターター交換でした(笑)。奥の方に見える「リングギア」に、スターターモーターのピニオンギア部が飛び込みつつ回転し、リングギアの「真芯」にて締結されているクランクシャフトもそれに連動して回転をはじめ、ピストンが上死点になったシリンダーの燃焼室に、インジェクタが気化ガソリンを噴射しつつ、絶妙のタイミングでスパークプラグが着火すれば、めでたく「初爆」という現象が起こります。コレを連続的に継続することにより、アイドリング状態を得るというわけですね。レシプロの内燃機関では「スーパーカブからフェラーリ」まで、基本的にはこういった原理になっています。もちろん細かいコト云えばもっと複雑になっちゃうんだけど、モノ足りない方はツッコマないでください(笑)。

 右の写真は「左バンク」IHIターボチャージャーユニット。このタイプの場合、もちろんタービン軸受部はエンジンオイルにより潤滑されますが、エンジン冷却水による冷却経路も備えております。ビトルボ222期以降のターボにおいては、エンジンオイルの選択を間違わず、交換頻度にいくばくか注意すれば故障はほとんどありません(少なくとも当店では、使用不能になるほどのターボに関するトラブルは、過去15年間に一例もありません。モチロン、エンジン内部機構に関しての致命的なトラブルも、運が良いだけなのかも知れませんが、有難いコトに現在まで絶無です。)。高価(であるとともに、その超浸透性能がオイル漏れや滲みの元凶であるとされ、一部業者筋においてはキラわれている模様です)な「MOTUL 300Vシリーズ」に当店がコダわってきた理由のひとつがこのオイルの実績にあります。だから意地になって(笑)「300Vを入れ続けるコトが出来るエンジンを造る」という目標に向かって毎度の納車整備作業に邁進しているというワケです。また、弊社顧客の皆さんにも、取り扱いについてのご注意点をこうして度々(口スッパク:笑)ご披露してまいろうと思っております。

20120119112012011912 左の写真はエンジンルームに向かって右側の最奥部をクローズアップしたものです。ストラットタワーのすぐ内側にはブレーキの心臓部たる、マスターシリンダー(&倍力装置:マスタ-バッグ) が位置しています。

 222時代のブレーキ灯作動には、2種類の理念があり、この222SEの場合ですとマスターシリンダーに直に埋め込まれた油圧作動のタイプが選ばれております。このタイプは「ON」側固着でテールのブレーキランプが点灯しっぱなしになる(よって、みるみるバッテリーもアガる)トラブルもヒジョーに多くありました(もちろん「OFF」固着の場合の方がポピュラー)。

 よって222SRや222 4Vの大ラスモデルあたりから、ポチポチ式(押すとOFF、放すとONになる→通常はブレーキベダル上部の張り出し部分が、進行方向に向いたスイッチノブを後方に押し続けた状態になっている。ペダルを踏むとペダル上部の張り出し部分が前方に逃げるのでスイッチノブが飛び出して通電状態をつくるというもの。)の樹脂製で単純なメカスイッチになりました。後のギブリやクアトロポルテでも同一理念のメカ作動です。こちらの場合は室内ブレーキペダル上部に位置し、ステアリングポジションを調整しようとして、コラムを上げたり下げたり引っ込めたりと強引に動かしますと、コラム軸がスイッチに干渉して破損したり、動作が安定しなくなったりといったトラブルがあります(コレはコレでとほほ:笑)。   

 右の写真は、各部の清掃とチェックを終えた左右のシリンダーヘッド(バルブ頭部側)です。新品のシリンダーヘッドガスケットをハサみつつ、シリンダーケース上に載せてまいります。

 この続きは「明後日」の予定です。   

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コメント

本日も気合の入った解説、ありがとうございます。
最後までじっくり読ませていただきました。

明日は関東平野部でも大雪になる予想。
試練のピークですが、力まず匍匐でまいりましょう。

モチュール300Vは超浸透性の滲みやすいオイルだったのですね。勘違いしてました。カマズ、タトラ等の大排気量ディーゼルターボエンジン用と見紛う程の固さ、液体を超え固体のような固さでなければ漏れるのでは、と勘違い。だって、25歳のビトルボがオイル漏れどころか滲みすらない。マイクロ・デポの整備のおかげです。街中でリッター4Kmも納得。この馬鹿馬鹿しい贅沢が愉快。でも、無駄にビトルボに乗ってはいないのである意味エコです。

第二回も大充実、ありがとうございます。素材として頂き光栄です。魚拓取っときます(笑)わからないなりにジックリ勉強させていただきます。
ブレーキランプ消えっぱなし、のポピュラートラブルに最初のカリフで遭遇し、ビビって春日町の御社にうかがった日が懐かしく思い出されます。

ターボのIHIの刻印がターボの曲面に沿ってないで、字面がフラットなのが面白いと思いました。みんなこんなんなのでしょうか。

パーツを見ていても飽きませんねえ。今はなんですが暇になったらまた見直しましょう。

いつの間にか本ネタ大盛りになっていたとは!。かなり濃い解説ゆえ、じっくりと拝見させていただきます。
あ、気が付いたのですがターボ本体は、エンジンルームからはあまり見えないですね、V型だからですかね、きっと、インタークーラーは大きな顔してますが。

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