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2012年2月の25件の記事

2012年2月29日 (水)

Nostalgic2daysに行ってみたヨ(その3:完結篇)

 朝、目覚めると、外は「普通に雪景色」でほとんどスキー場状態の東京練馬。都心部で「2センチ」と云ってる時は、練馬では「5センチ」。都心部5センチ時は、練馬10センチ。都心部10センチなら、こちらは30センチといった感じでなぜか練馬の降雪量は他の東京と違うような気がするのは気のせいでしょうか。とにかく、正午前には既に10センチは降り積もっていました。ここのところ、「納車直前モード」に仕上げてあるマセラティたちが数台いるので、外に出すことは出来ないし、動かすことも叶わずに今週も週末に向けて作業の段取りには相当「無いアタマ」を悩ますコトになりそうな雲行きです(泣笑)。

 さて、嘆いてばかりいても始まらないので、今日も昨日の続きを元気よくイッてみましょう。

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 はい!「イベントの華」たちですよー。左はトヨタ2000GT速度トライアル車(レプリカ)。写真を拡大するとわかりますが、フロントフェンダーサイドに貼られた「デンソー」の旧ロゴが懐かしいです。

 トヨタ2000GTは、この会場内に一体何台あったんだろうというくらいに単一車種では目に付きましたね。右の写真部分だけで、8000万円くらい?・・・ワタシは家のローンを一括返済する(そして残りは老後の生活費にする:笑)。

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 ニュートヨタ7です。さっきのトライアルカーとともに、きっと名古屋のトヨタ博物館から借りてきたんでしょうね。

 フロントオーバーハング、ノーズコーンサイドには、ヤマハ、ダイハツ、日本電装(当時)とトヨタ関係各位のロゴが並びます。

20120229432012022944_2   2000GTやニュートヨタ7と云えば、ムカシの「トミカ」にありましたよね、コレ。ワタシ、親がニッサン党だったもんで、同じくトミカのニッサンR-382とトヨタ7をそれぞれ両方の手で走らせながら、「紆余曲折ありつつも、結局最後はR-382が勝つ」という本格的シナリオの「幻の日本グランプリ」レースごっこをよくやってました(笑)。2000GTと432と240ZGとハコスカとRX-3のバトルも友達とやってたな、コレはスーパーカーブームの頃に(って、中学生がヤルか?ふつー)。

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 2000GTから、総排気量を400cc引いただけで、コレになっちゃいます(笑)、トヨタ1600GT。現在の価格は「イベントの華」の十分の一。

 さらにそれを2で割るとスポーツ800。現況価格八分の一(笑)。・・・何かがクルっとる。「旧車算数」は、解を導き出すのがとても難しいのです。それにしてもヨタ8、文句なく可愛いな。

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 トヨタの「旧車イベント道」は、車種構成が広範で、当時の販売台数も多かったわりに偏っています。①:2000GT、②:ヨタ8&空冷パブリカ、③:クラウン、④:86(もちろん「頭○字D」の方の)、⑤:27、⑥:ヒトくくりにコロナ・(同マーク2)・セリカ・カリーナ、⑦:ソアラ初代・GX系(マーク2・クレスタ・チェイサー)と残り全部の衆(笑)といった感じがします。ここに挙げた写真のクラウンピックアップトラック(トヨペットマスターライン)などは、主流の中の傍流ですが、今の目で見ると「うすらカッチョいい(笑)」ですね。まっ、シャコタンは頂けませんケド。

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 左はブリブリに仕上がってる86のエンジンルーム。

 右はスバルR-2の後期フェイスです。「売約済」の札がありますように、ここは、その場で旧車を売っていたりもするイベントなんです。このなんとも云いようのない色がなんとも云いようがない(あやうく下品方向にイッてしまいそうになった:笑)。

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 トレードショーである、このイベントにおいては、なんとなく「軽」がその名の通りに軽んじられている感じがしたな。思えば確かに商売にはなりませんからね。

 左は三丁目の夕日仕様に仕立てられたミゼット君。右は未再生原型可動車。右の本物からは当時の生活の息吹まで伝わってまいります。

 他にはマツダR360クーペ、スバル360などありました。スッカリ70年代は無視ですかぁー。スズキ車もほとんど(いや一台も?)無かったように思う。ああ、三菱も目に入らんかったなぁ。ダイハツ「はぁ?」、日野?「うー」。

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 続いてこちらは「ニッサン系イベントの華」スカイラインさんたちです。

 プリンスS54系は、旧車マニアにはいまだに高い支持を得ている模様ですが、いまや「対象年齢:55才以上のお子様(笑)」といった感じになっちゃってます。右写真の日本グランプリ仕様など、たいへん良い出来です。どちらも「一ケタナンバー」が当時のままに付けられていました。素晴らしいコトです。

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 左は、ケンメリGT-R発売時の宣材としてよくパンフレットやポスター等に登場していたイメージモデルですね。当時の本物なのか、それのレプリカなのかは確かめていないので分かりません。

 右は、未再生原型車を称するハコスカGT-Rのエンジンルーム。カムカバーはメッキしないでください(笑)。クルマのすぐ傍らに、日産純正デッドストック新品のカムカバーが麗々しく展示してありました。それも買わなきゃね、ということなのでしょう、きっと。

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 フェアレディZ432R「本物」です。さすがにコレは参考展示で売りものではありませんでした。子供の頃のあこがれの一台です。

 「サーキットの・・・・」の端役で良く出てくるという繋がりで(どーゆーつながりぢゃ)、初代サバンナ(RX-3)も珍しくキレイなものがあったので仲良く載せておきましょうね。現在の目で見ると、どのクルマもタイヤが小さく、そしてフェンダーの中にめりこんでいるのがわかります。トレッドも狭いんですね。

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 続いては、「いすゞぢごく(笑)」。まー、ベレット・ベレット・ベレット・・・。ようもこんなに集めたモン(いや、旧いマセラティに関してはヒトの事を云えた義理ではありませんが:笑)だと感心するくらいに「バリもん」が揃っております。こちらも「対象年齢:55才以上」の商品になってしまっていますけどね。若いヒトがこういうのの良さに気付いて「ベレG」コロがしてくれたりする時代はもうやって来ないのかなあ。美しいエンジンルームであります。「L26改換装済」みたいな「パチスカG」より、断然コッチが魅力的だよな。

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 確か、昭和37年だか38年くらいからあるベレット。年代や、ボディ車型によって様々な表情があります。そこもまた魅力の一つ。

 ここには写真が無いけれど、丸目2灯の「原初のGT」なんかは、ほれぼれいたします。ウル○ラセブンのある回で、地球防衛軍が開発した新兵器だったか、それの設計図だったかを、なぜかラリー選手になりすましたウル○ラ警備隊員たちが、隠密に使者のところまで届けに行くというハナシがあり、その時のラリー車が丸目2灯のベレットGTだったように思います(久しぶりの特撮余談:笑)。

 ジウジアーロデザインの「アルファロメオFRクーペシリーズ」とも、車輛の成り立ちや、そのデザイン変遷に似たものを感じますね。時期も似通っていますし。アチラはあくまでカッチョいいのですが、そのまんま和風テイストなところが可愛いベレットの方も今となってはむしろ味わい深いモノです。

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 117クーペ。ハンドメイド期のモノです。他社の旧車に比べても、トータル製造年数の長さや、製造台数の多さもあってか、今一つ旧車界における評価が低いというところが悔やまれます。いすゞ自体が新車からの経過年数に伴う残存台数の減少量が最も少ないクルマこそ、この117クーペであるとモデル最終期の頃には宣伝していましたし。この美しいテールラインは絶品です。ハンドメイド期の小さなテールランプユニットもイイ感じですね。Cピラーのヘアライン仕上げ、嗚呼、ステキだ!

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 そのエンジンルーム。最上級グレードにフューエルインジェクション搭載というのも地味ながら本邦の嚆矢でありました。

 先程のベレットGT-Rといい、いすゞツインカムユニットのエンジンルームは素晴らしい眺めですね。同時期の国産他社製品と比べても、なにか大人の完成度を匂わせている感じがします。「魅せかた」に長けているというのか・・・この路線での良心的な乗用車製造をヤメてしまったのは残念で仕方がありませんね。

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 117クーペのトランクセンターエンブレム。

 時代がベレットからジェミニ(コレも最初は「ベレットジェミニ」という名だったんですよ、ホントは)に移り、デザインは洗練されました(というか、オペルカデットと兄弟車なんで、恰好はガイシャ→というわけでジェミニ(双子星)を名乗っているワケです)。右の写真は後期型で、初期型て特徴的であった「逆スラントノーズ(アゴが引けた顔)」が普通のスラントノーズにされてしまって些かならず凡庸な顔に。

 コレも乗ってみるとすごくいいクルマだったんですけどね、系譜は途絶えてしまいました。やはり、ヨーロッパの味は多くの日本人の口には合わないようです。

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 ああ、ここに、ワタシの個人的な「真打ち」がおりました。マツダコスモスポーツ。

 このブログでも何度か熱い想いを表明しておりますので、「またか・・・」と云った感じでしょうか(笑)。若い頃から何度も欲しいとは思っていたのですが、その時代、その時代で「旧車界において、ビミョー(あくまでビミョーなんです:笑)に高く感じる中古価格」という、その販売価格推移に特徴のあるクルマで、「だったらいっそ、外車がいいよなー」についなってしまいつつ、ついにココまで来てしまいました。今日も「498万円」。・・・ねっ?ビミョーでしょ、やっぱり(笑)。トヨタ2000GTのバリもん価格が現今では2500万円以上。先程のハンドメイド117(同じくバリもん)が300万円弱。・・・やっぱ、なんだかなー。

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 往年のフェラーリ400スーパーアメリカからそのモチーフを得たフロントフェンダーサイドのプレスラインとスリット。そしてなんとも云えないオシャレなフェンダーミラー。

 右はヘッドライトレンズの曇りをとるためのエアインレット。

 総製造台数は確か1100台くらいだったと思うけど、何台くらいが残存してるんだろうなー。この出品車も堪らない魅力に溢れています。このカタチで三角窓があるのも、いい。

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 コスモスポーツのエンジンルーム。エアクリーナーケースの美しく再現されたブルーが目に沁みます。どうせ乗るならこういうの目指したいもんダヨなー。

 1950年代のGMあたりの「ショーカー」みたいなリアの造形美。どなたがデザインしたのか知りませんが、国産最高峰グッドデザイン賞をワタシが勝手に贈呈したい(マツダは迷惑だろうけど:笑)。

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 そこへいくってーと、なんか外車の部、つまんねーな。ムカシのプロ野球選手御用達、BMW3.0CSのエンジンと内装。

 まぁ、いいクルマなんだろうけどなー、やっぱりちょっと「クル」もんが足りないような感じがします。だいたい、カラフルじゃないよな、エンジンルームも室内も。ガッチリとした造りのリクライニングバケットシートだけが印象に残ります。ドイツ人はデカイですからね、これくらいしっかりとしてないと役不足なのでしょう。でも、ここでの人気はあって、常時人だかりが出来てたので、外装写真を撮るコトが叶いませんでした。

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 ナロー時代のポルシェ911Sをフルレストアし掛けての出品。4月完成予定だそうです。

 ネジ一本まで新品を使って渾身の作を目指しているそう。さすがに美しいですね。値段は、っと・・・「ベース車輛700万円、レストア費用800万円、合計予定価格:1500万円也」・・・(いいなあ・・・泣)。

 外車の部、他にもフェラーリを持ってきてたところがあったんですけどね、なんか場違いな感じで浮いてました。

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 実は本日一番の衝撃だったのが、こちら。・・・「異世界」って、まだまだあるんですね。世の中はこんなコトになってるんですか。「西○警察ヲタ」とか「あぶ○い刑事ヲタ」とかが大挙して日本中にいるのかしら。「ニッサンサファリ専門店」ってのもあるんだろうか。フェアレディのTバー専門とか。ある意味ウチの店よりニッチ!

 窓のボード見て卒倒しそうになりました。イタ車屋って(いうか、マイクロ・デポって)、つくづく難儀な稼業だなーと実感。「あのー、マセラティとかフェラーリってのもいいクルマですのよ」なんてね。ギブリなんか「あぶ○い刑事」にも出て来るし。だいたいウチのモンディアルtの超絶価格より・・・。あーあ!ソレでも、イタ車が好きだから続けられるのよねー(と前向きに愚痴ってみる:笑)。ともあれ、需要と供給のバランスは自由主義経済の基本原則ですからね。今より一層みんなが欲しがるマセラティやフェラーリを造ってみせるぞー!!

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 通路に置かれた怪しい手提げ類。コレは何?と思っていると・・・

 ・・・はじまりましたよ、キャンディーズ(のそっくりさん)コンサートが。出てくる出てくる、懐かしのキャンディーズ持ち歌。おざなりに紙テープが舞い、それなりに「カブリつき」のおぢさん(おぢーさんも)達は盛り上がって喜んでおります。

 来場客の年齢層ボリュームゾーンを50代前半から半ばくらいにおいての人選でしょうか。よかった、「美空ひばソ(かたかなの「ソ」)」ショーじゃ無くて(笑)。

 というわけで、このシリーズ、これにて一件落着!

 また明日をお楽しみに。

                        

2012年2月28日 (火)

Nostalgic2daysに行ってみたヨ(その2)

 昨日の続きから。とにかく、場内をくまなく歩き、コレはといった車輛をバシバシ写真に残します。どちらかと云えば旧車といっても国産車寄りのイベントですが、往年の国産車にはヨーロッパテイストの物が数多く存在するので、現在の目で見るとハッとするほど美しいと思うモノもまた多数あります。また、ムカシのモデルは(コレは世界的な傾向ですけれど)おしなべて小さいですよね、サイズ自体が。小さなクルマが好きなワタシにとっては、そこもチャームポイントのひとつに数えられます。

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 まずは、代表格の一台。一部マニアには非常に有名なクルマ、プリンススカイラインスポーツです。ウルトラQの主役たちがこれのオープンで活躍していました。

 右フロントフェンダーに誇らしげに貼りつけてあるのは、イタリアのカロッツェリア「ジョヴァンニミケロッティ」の作であることを示すエンブレムです。堂々たる体躯に見えますが実物は小さなものです。往年のランチアあたりにいかにもありそうなルックスですね。

 こういった、昔のエンブレム類は見事としか云いようがないデザインで、コレが貼ってあるクルマが欲しい!と今でも思わずにはいられないモノばかりです。このイベントでは目にしませんでしたが、日野コンテッサ1300クーペにもリアフェンダーにこのミケロッティエンブレムが付いてました。

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 続いては「チェリー2題」。このニッサンチェリーこそが、本邦本格的FF車の嚆矢であったことは、もはや忘却の彼方に忘れられかけているようですが、内外装のデザインと併せて、このパッケージは傑作だと思います。そのムカシ「コニー」などの軽自動車を製造していた、愛知機械工業(戦前の愛知時計→飛行機)を日産が吸収し、その製造ラインで作られていたという逸話もあります。特にマニアには、このハッチバッククーペのX-1Rはものすごく「クル」ものがありますよね。ワタシも欲しいもん、こんなに程度の良いものなら。

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 特徴的な丸型テールランプは(もちろんランチアの)ストラトスHFを髣髴とさせます。誰だ?ポーターキャブ(マツダ)に似てるって云ってるヤツ(笑)。

 エンジン周りも見事にレストアされていますね。ムカシの英国車のような美しく塗装された鉄製のタペットカバーです。SUツインキャブレターとそれに繋がる鮮烈なオレンジ色のエアクリーナーケース・・・タメ息が出ます。センスいいわあ、コレ欲しい。

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 お隣はノンハッチのX-1クーペ。こちらが、デザイン的にはオリジンと云えましょう。

 もう、今の日本じゃ、こんなにも小粋なクルマは作れないだろうな。見てください、このオシリのツンとすましたところなんか絶品ではありませんか。可愛いです。

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 一方で、当時の本物イタ車、アルファロメオスプリントヴェローチェ(ザガートボディ)です。「1957年 SVZ」と説明ボードにはありました。

 西暦で1957年と云えば、昭和32年、戦後12年、まだ東京タワーも完成前です。日本と同じく敗戦国であったイタリアでは、すでにかくも美しく破綻の無い造形を造り出すことが出来ていたのですね。デザインの天才的センスもさることながら、それを造り出す技術もまた存在したというところに驚嘆を禁じ得ません。多くの場合、レーシーなアルファロメオはロッソ塗色ですが、この消えゆくように儚い、微妙で薄いトーンの水色も素敵な塗色です。

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 フロントフェンダーの「コンレロチューンエンジン搭載車」を示すエンブレムと御馴染ザガートの紋章。

 トランクにも「スプリントヴェローチェ」「ザガート」と金文字で描かれています。とかく下卑たものに堕しがちな「金色」をここまで上品な佇まいに見せるデザインの手腕はイタリア工芸の面目躍如といった感じです。

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 この、微妙極まるテールラインをご覧ください。ルーフ後端部のわざと間延びさせた感じも効いています。ここで「間」をおけないのがジャパニーズデザインなんだよなー。この微妙なギリギリ感が見飽きないデザインのキモなんですけどね。

 顔の方は御馴染のアルファ顔。キュートそのものですが、きっと轟音とともに走るのでしょうね。その二面性もまたイタ旧車の魅力です。

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 さて、このエンジンは・・・そう、ホンダ1300空冷ユニットです。かの本田宗一郎さんが最後までこだわったという伝説の小型自動車用空冷エンジン。

 空冷と云えば、ポルシェやチェコのタトラが最後までやってたイメージですが、時代は廻り、フィアットも現行の500で「ツインエア」って空冷二気筒を出しましたし、ダイハツも次期軽自動車用エンジンではすべての車種での空冷化を目指しているらしい。・・・天才はいつの世もハヤ過ぎるのです。天性の技術者、宗一郎さんには、きっと40年先までが見えていたのでしょう。

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 確かな手ごたえのある太古の昔とウソくさい未来が並んでました(笑)。

 ムカシの英国車は、大衆向けでも重厚ですね。2トーンカラーの使い方もおしゃれで堂に入っています。デローリアンは、自動車史的には賛否両論飛び交うクルマですが、面白いことは面白いです。ただ、心に沁みてくる「何か」がウスいんですよね。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」での劇中主人公車としての活躍で、永遠に人々の心に残っていくコトでしょう。あまり映画を見ないワタシも、この三部作は何度も見直しました。

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 なにげない410型ブルーバードですが、なにか得体の知れないオーラがワタシを誘います。

 あぁ、ファンシーデラックスなんだ、これ。当時としては画期的な「女性専用車」として発売されたブルーバードなのです。アイボリーホワイトがなんとも上品。ピニンファリナデザインと云われる「尻下がりテール」は日本では今一つ受け入れられませんでしたけど、旧いフィアットと見紛うばかりのグッドデザインです。

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 内装のディスプレイがまた、いいじゃありませんか。手造り感溢れるニットのクッション。ダッシュボードやドアトリムも全面的にアイボリー(昼間は光って運転し難そうだけど:笑)でいかにも楽しげです。後席のピクニックテーブルには、当時の雑誌。そして、水筒がぶらさがっています。オーナーさんの小粋なしゃれっ気が伝わる楽しい一台です。

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  ファンシーデラックスの助手席サンバイザーには、ご覧のように化粧品収納ポーチが内蔵されています。

 何か時代を感じさせますが、国産の旧車はこんなところも楽しみのひとつではありますね。こんな素敵なクルマにのって、当時っぽい扮装に身を包み、「箱根」あたりにドライブに行って、ロープウェイや温泉など一通り満喫してみたいものです。1960年代富裕層の追体験が出来そうな楽しみに溢れています。

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 本日最後は、60年代の子供用ホンダモンキー(多摩テック場内仕様)と、70年代の不良用(笑)カワサキ750SSマッハⅢです。

 このモンキーは「本物テック仕様」なのかなー?ご覧の様に、前後のサスペンションすらもありません。モンキーはそもそも、かつてホンダがやってた遊園地、関東圏では「多摩テック 」「朝霞テック」などありましたが 、そこのアトラクション(乗り物)であったものを強引に商品化して公道を走れるようにしたモノです。スーパーカブ系のエンジン搭載で非常に丈夫。現在でも愛好家の多いシリーズですね。

 一方のマッハⅢ、ただカッチョいい(笑)。ワタシにとっては、もはや永遠のあこがれになってしまいそうですケドね。 やっぱ、「これなら買える」と思ってる時期には多少無理してでも買っておくモンですね(ウチの店でマセラティを買おうか買うまいか悩んでいるヒトも、きっとそう:笑)。ワタシなんか、我が身を振り返るとそういうのが実に多くて(クルマ・オートバイ・プラモetc)・・・ 。「もう」は「まだ」、「まだ」は「もう」、このサジ加減が難しいんですけどねー。今からでも間に合うモノ、どれくらいあるかなぁ。人生、前向きに考えるコトにします。

 それでは、また明日。このシリーズはまだ続くんだろな、きっと(笑)。                

2012年2月27日 (月)

Nostalgic2daysに行ってみたヨ(その1)

 日曜日は朝から晴れるというハナシだったのに、なんだかどんよりとした空です。先週の疲れでカラダ中がイタいし、「これから、傘さして出掛けるのぉー?」といった感じではありましたが、イキましょう!思い切って。

 練馬区土支田の仮住まいアパートから、通りに出てバスに乗り、地下鉄成増駅にまいります。「新都市線」という地下鉄はハナシには聞いていたのですが、便利ですねー。たまたま「特急」というのが来まして、それに乗車したところ、気が付いたら渋谷に。うぉー、コレは速い。東急東横線に乗り換えて、今度はみなとみらい線という新しいラインまで一気に。これまた「特急」ですと想像していたよりも速かったですね。まずは終点の駅まで行き、中華街で朝昼兼用メシでも食べようと思いまして・・・。

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 みなとみらい線というだけあって、駅構内はドーム状の未来都市風ですね。

 とにかく大深度を掘ってあるらしく、急こう配のエスカレーターが延々と続きます。振り返るのコワかったけど、頑張って撮影してみました。独特の空間的雰囲気が伝わっているといいのですけれど。

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 久しぶりに中華街に行ったら、いつも馴染みにしていた店(中華街のハズレにあって美味い)が、少し前に店をたたんでしまったらしく、あるべきところにありません(泣)。

 仕方が無いので、別の店でランチメニューを食べたらボリュームありすぎで、「はらポンポン」状態に。中華街を出て山下公園を右手に見ながらハラごなしに歩いてバス停を探します。いきなりヨメが「あぁっ、トヨタ2000GTよ!」と指を指しつつ叫んでいます。続いてはジャガーEタイプ+2クーペ。反対側の車線からはホンダ1300クーペ9がカっ飛んで来るし、しばらくすると、ロータスヨーロッパスペシャルが爆音高らかに登場。・・・「あー、カメラ、カメラ・・・」とあたふた探すも重ね着した服のどのポッケに入ってるかがにわかに判らずぜーんぶ、撮影し損ないました(笑)。とにかくココは、時空がクルっとる。

 バス停で、経路図見てたら、並んでた地元風のおぢいちゃんが、「大桟橋行くなら、バス乗るより、ソコ歩いてった方が近いよ」と教えてくれたので、可愛いレトロバスをあきらめて、全行程を徒歩で行く決心を固めました。ああ、「チャリタクシー」もたくさん徘徊していましたけどね。いっそ、ハラごなしというコトで、とことん歩こうというコトに。

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 今までこのあたりに来る時には間違いなくクルマで来ていたので、テクテク歩くのも新鮮な発見があって面白いモノでした。

 大桟橋を右手に見ながら、「象の鼻波止場」というところを歩いていきます。美しい景観の公園です。30年前なら、「デートコース」に最適とか思うところで、ここはチェックしておこうといった感じだったのでしょうけどね(笑)。

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 左手のガードも人道橋らしいです。ムカシは「可動ギミック」がきっとあったのでしょうね。

 埋め込まれたプレートには、ワタシの生まれ年が刻まれておりました。ああ、なんか海っぽくてイイ感じです。雨が時々パラつくのは想定外だよなぁ。

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 「あ○ない刑事」などで御馴染の赤レンガ倉庫というヤツが見えてまいりました。

 近づいてみると、テレビバラエティ番組の収録が行なわれている様子。さらに寄って写真撮ってたら、「ヒトばらいの兄ーちゃん」にオコられた(笑)。だったら、日曜の真昼間に観光地の人ゴミの中で収録なんかするなっつーの!こうして注目されてるウチが華ですよーだ。お笑いタレントが5人くらいいました。ワタシですら知ってるような、それなりに(面白くないケド)有名な面々でした、と云うに留めておきます。

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 環状に歩道橋を形成した「なんとか(正式名失念)サークル」というのを渡りますと、いよいよ「みなとみらい」地域の建物群が近づいてまいります。

 20年ほど前に来たときには、ランドマークタワーと、コスモクロック21(だったかな?)という写真の観覧車、そして、インターコンチネンタルホテルの3つしか目を引く建造物は無かったモノですが、今では、ランドマークタワーが「ランドマークの役割」をしていないと思えるくらいに、高層の建物が林立しています。20年は「ふたムカシ」なんですね、やっぱり。

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 と、歩いていくと、なにやら中に行列の見える建物を発見。「バーゲンでもやってるのかな?」と中を凝視すると・・・

 あぁー、これが名にし負う「カップヌードルミュージアム」ってヤツなんですか。最近オープンしたとかで、何かと話題のスポットですね。行列は「マイ・カップヌードル」の製造工程に並ぶ人々なのでしょう。世界にひとつだけのカップヌードル造りの参加費用は300円。入場料は500円だけど、家族で一日遊ぶにはもってこいでしょうね。こりゃ、混雑するのも頷ける。今度は、コレ目当てでみなとみらいに来てみよう(笑)。

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 はい、左の写真、真ん中がランドマークタワー(ですよね、確か:笑)とその周囲に立つ高層ビル群。

 そして、右の写真。特徴的なフォルムのインターコンチネンタルホテル。隣の低いのが本日の会場たるパシフィコ横浜エントランス棟です。

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 なーんか、人っ気も少なくて薄暗いコンコースを延々と奥まで歩き、エスカレーターで階下に降りますとようやく会場入口を発見。よかった、ホントにやってて。

 入場券をモギってもらい、早速、中に入りますと、いきなり目を引いたのが、ニッサンの「3代目シルビア(もしくは初代ガゼール)」ベースのラリーカーです。「240RS」とか云うんでしたっけ(違ってたらゴメン)。コレ以前に見たコトあるなー、千葉の奥地のダットサンイベントで。

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 場内アナウンスで、しきりになにか怒鳴っているので、なんだろうとイッてみますと・・・おぉ、トミカスカイライン長谷見仕様・・・んっ?アレは紛れも無く長谷見昌弘選手御本人ではありませんか!ヨメが「あのおぢさんダレ?」とか失礼なコトを申しますので「ハセミだよ、ハ・セ・ミ!本物の、カーレーサーの」「ゆーめい?」「ちょー、ゆーーーめい!!(笑)」

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 往年のスーパースター来臨に、ギャラリーの「ジジイども(失礼!)」の目はみな一様にハートマーク。特に「ニッサンヲタク」の皆さんは、体中の色んなところにサインしてもらってました。

 なんとか近寄って正面写真を一枚でもと思いましたが、あまりの人の多さに近づくコトが出来ません。手ぶれ写真がようやっと。

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 会場の真ん中には、当イベントの目玉のひとつである、「トラック野郎(リンク先、音出ます)」のデコトラが鎮座して存在感を放っていました。

 人が周囲に張り付いているんで、なかなかいい写真が撮れません。どうにか撮影に成功したのが、ここの数枚のもの。

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 当時、バンダイから発売されていたプラモ作ったわ、そー云えば。パネルバン部分の大面積サイドデカール(ただのステッカーだったような気も・・・)を貼るのに苦労した思い出があります。

 菅原文太さん、キンキンさん・・・何もかも皆懐かしい(ヤマト、沖田艦長の声で:笑)。

 続きは、また明日!

 

2012年2月25日 (土)

今日もたくさんのお問い合わせ、有難うございました。

 雨は降れども、朝は比較的過ごしやすい気温ではありましたが、時間が経過するに従って徐々に寒くなってまいりまして、昼過ぎ頃にはカラダ中がカチンカチンに凍りついてしまうといった一日でした。 

 そのような中、昨日お知らせした「Goo-net」経由でたくさんのお問い合わせを頂戴しております。いまだGooにおける回答フォーマットに関して当方が不慣れな上に、時間制限や、字数制限もあったりして、作業の合間を縫ってなんとか今日中にご回答を差し上げるようにいたしましたが、色々と不足の点もあったかと想像しております。お問い合わせ頂いたお客さん方には、「当店ホームページをぜひご覧ください」という旨と、「当店メールアドレスに直接お問い合わせください」というご案内をいたしました。 

 本来、「Goo-net」から直接当店ホームページにジャンプ出来る「直リンク」サービスを付帯した掲載契約をしておったのですが、その機能の発動が27日以降となるというコトで、先行して車輌情報が昨日ネットにアップされたゆえ、早速ご覧になってお問い合わせくださった皆様には、色々とご不便をお掛けいたしました。

 今月は特に「全在庫車の価格応談キャンペーン中」に付き、掲載各車をASK扱いにしておりますので、より一層お手間をお掛けする結果となってしまいましたね。まずは、弊社ホームページとこのブログをお読み頂き、マセラティ車や旧いフェラーリに関する購入イメージを抱いて頂けますと有難いです。 

 当店が常々「力説(笑)」しておりますのは、「旧車は、はじめこそが肝心」という一点に尽きます。そのあたりの「ココロ」を是非お汲み取り頂けたらなぁーと念願しております。 

 また、全員が「作業者」であり、それぞれの作業に没頭しているマイクロ・デポでは、不意のご来店に即応出来ない場合も、ままございます。ご試乗を希望されるお客さんは、ぜひ、「これから出るよ」の一言で結構ですので、お電話でお知らせ頂けますと有難いです。

・・・今日は、さすがに「ちょっとヨソ行き」の文章になってしまいましたね(笑)。 

 来週もたくさんのお問い合わせをお待ち申し上げておりますよ。

 

2012年2月24日 (金)

Goo-netに出稿してみました

 今日は、とっても春らしい陽気だったですにょ(という感じで使います、「おぐ」さん。:笑)。今日のワタシ、午後からは、フェラーリモンディアルtカブリオレ(なかなかお嫁入りがキマらない子:泣笑)の幌を内装屋さんと一緒に新品に張り替え交換する作業をやってました。先日も、固まってなかなか取れないネジを半日掛かりで必死に除去してたら、またまた歯が折れた(今度は先週治療が終わったばかりの上顎左の犬歯)。志村けん演ずる「ヘンなおぢさん」みたいと、ヨメには笑われた(こっちは泣きそうダヨ、ほんとーに「グスン」)。

 あっ、そうそう。先日の3200GTネタのコメント欄に本日の明け方になってコメントをお寄せくださった「イモビライザーECUで困ってる」お客様、そういったパーソナルなトラブルバナシは、あらためて当店のメールコーナーの方に本名とご連絡先明記でお尋ねくださいますよう、この場を借りてお願い申し上げます。もしコレをご覧になっていらっしゃいましたらメールを頂戴にょ(笑)。お待ちしてまーす!

 さてさて本題です。昨年の秋頃よりプロトコーポレーションの営業さんが熱心に当店を訪れまして、「Goo World誌への掲載をぜひ」、と猛プッシュを受けておりましたが、思えば旭町に移転してからは、一度だけ店舗移転周知のために「カーマガ」と「カーセンサーエッジ」に載せてもらっただけで、ここ5年以上はまったく雑誌媒体への広告出稿をしてないよなー、とあまりにも商売気が無さすぎるのに気づかされ、実に久しぶりではありますが、掲載を依頼するコトにしてみました。http://www.goo-net.com/usedcar_shop/9572125/ 

 「Goo-net」などの媒体をご覧になってお見えになる様々な価値観をお持ちのお客様と相見えるのは、マイクロ・デポ一同慣れてないので、こんなワタシでもキンチョーいたします(ホントか?:笑)。初めてお問い合わせ頂く皆様には、お手柔らかにお願いいたしますよ。歯に衣着せぬ物言いは、やっぱしない方がいいんだろーなー。 

 明日は早速の土曜日ですが、天気予報はあいにくの「雨」らしいです。とはいえ、ゆっくりハナシだけでも聴きに来ませんか?もちろん、既に当店顧客である皆様もどうぞ(笑)。 

 

 

 

 

2012年2月23日 (木)

ウチの店で付けてる「ETC」は、「南ちゃん」の声でしゃべるって知ってた?

 はい!こんばんは。ここのところは本ネタを中心にお送りしておりますが、今一つコメント欄が盛り上がりませんねー(泣笑)。常連コメンテーターさん(ホントに毎日有難うございます)以外の方々もタマにはお願いしますよ、一行でいいんですから(いやホント:笑)。ブログのアクセス数は爆発的に伸びているのに、なんで反応が薄いんだろうと「あーでも無い、こーでも無い」と、日々無いアタマをヒネっておりますゆえ。というわけで、今日は一風変わったハナシ。

 マイクロ・デポでは、お客さんから「ETCをつけてね」と依頼された場合、ムカシから迷わず「パナソニック製のアンテナ分離型」をお薦めして、コレを取り付けるようにしているのですが、「カードが挿入されていません」とか「ETCが利用可能です」とかしゃべる音声アナウンス機能が付いているモデルは、すべてアニメ「タッチの南ちゃん(声優:日高のり子サン)」の声になってるそうです。なんと、パナソニック公式サイトに、デモ音声を聞けるコーナーがあります。 

 ・・・当時から、30年余り経過していますからねぇー、なるほど「ちょっと薹(トウ)が立った南ちゃん」といった感じになってはいますが、そう云われて聴いてみると「タッちゃん・・・」と囁く南ちゃんボイスに聞こえてくるから不思議です(笑)。 

 今日のこのネタ、数年前のギャグアニメ「デ・ジ・キャラットにょ」の劇中、主役の母である「でじこママ(cv:日高のり子)」が歌う「ほげほげ小唄(設定では20番まであるらしい)」がなぜか現在の我が家でマイブーム(死語)になってるために思いついた次第(って、この部分を分かってくれそーなのは、ボロネーゼさんくらいだろーけど:笑泣)。・・・あ、このブログは、「アニメヲタクの園(なんぢゃ、ソレ)」ではなくて「マセラティでイッてみよう!:2」ですからねー。今日も歌えばとにかく元気が出るという「ほげほげ小唄」を夫婦で口ずさみつつ、これから鍋でもつついて、一杯ヤッて、ゴロゴロと休むコトにいたしましょ。 

 皆さんも、ユッタリと一杯ヤリながら「ほげほげ」と、ね(笑)。

2012年2月22日 (水)

フロントウインドースクリーン上部からの水漏れ修理

 今日は、お日柄も良く「2月22日は”222”の日(いつかはシャマルさん命名)」。ちょっと小春日和の陽気で作業が捗りました(すごく嬉しい:笑)。ところが、夕方過ぎたらいつもの真冬(すごく悲しい:笑泣)。皆さんも風邪やら花粉症にはお気を付けくださいね。

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 さて、本日の患者さん。フロントウインドーの上部から雨水が時々「ポタリ」と落ちてくるといった症状を訴える「Aさま」のクアトロポルテ。

 クアトロポルテでは、今までのところ、ちょっと珍しい症状ですので、ガラス屋さんを呼んで徹底的にシュートするコトにいたしました。早速、ウインドー周辺の内張り艤装を取り外し、まずは、ガラスとボディの密着度を検証します。隅々まで疑わしい部分にエアを吹き付けていきます。

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 ウインドーの外部接合部分には、あらかじめ界面活性剤(要は洗剤ですな)を塗布しておき、エアを内側から吹きつけますと・・・写真でご覧のように、ブクブクと泡が湧きたちます。・・・これが「患部」。

 旧くなったウインドーシーラーは硬化委縮して、特に真冬などの厳冬期にはガラスやボディとの密着が急激に悪くなるモノです。以前にレストアを依頼された222SRでは、ドアを締めたら、そのキャビン瞬間内圧の上昇に負けて、フロントウインドーが「カパッ!」っと飛び出したことさえありました(この時は、さすがに全員「まじかよー」という感じで大爆笑でした→この時は一旦ガラスをはずして、一から完全に接着し直しましたケド)。

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 このクルマの場合は、上辺以外はまったく問題が無い(というよりも、全周に亘ってガッチリシーリングはされていました)ので、複数か所患部を発見した窓の上辺に内側からシーラーを入れ込むコトといたしました。マスキングをし、シーラーを練り込む要領で塗布していきます。明日までに完全に乾いたらもう一度水を掛けてみましょうね。

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 昨日から、症状がコロコロ変るので「ハマりかけてた」電動格納ミラーのトラブルも、ようやく原因を見つけて完治いたしました。

 クアトロポルテ前期型やギブリの格納ミラータイプはこのユニットです。昨日の222ミラーと比べて見てください。

 やっぱ、可動部の配線に「カプラー接合」を採用するもんぢゃありませんね。見た目は刺さってたんですからコマったものです(先日のドアのハナシと同じ)。 旧いクルマの電気周りの信頼性の確保には、まずは各部ギボシの導通からといったところです。

 それじゃ、また明日!      

2012年2月21日 (火)

ドアミラーの内部構造(デ・トマソ期マセラティ用)

 皆さんお忙しい様で、ここ数日はコメント欄がちょっぴりサビしいですね(泣)。この間、3200GTネタやった時などは、過去に類をみないアクセス数だったんですけどねー。でも、ヘソ曲がりのワタシは「四角いビトルボねた」で今日もイク(笑)。

 というわけで、地味ながら重要な艤装品である、ドアミラーユニットについての考察をしてみましょう。とは云いつつも、我ながら、なんかやっぱり地味なネタではあるな(大丈夫か?:笑)。

 本日御説明するドアミラーは、主にデ・トマソ期のビトルボマセラティに採用されてきた、「脱落式砲弾型電動ドアミラー」です。日本正規輸入仕様としての対象車種はすべての222シリーズ、すべての430シリーズ、すべてのスパイダーザガート、カリフ、シャマル、228、ギブリⅡの前半期モデル等などです。

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 特に助手席側は「あさっての方向(笑)」を向いているようにしか見えないという感じの些か実用性に欠けるきらいのあるデザインですが、ある意味この時期のマセラティにおける象徴的な艤装品のひとつではあります。左側がドアミラーの本体ケースです。ソレを上から見たところ。

 右側写真がその内部構造物です。「x軸」「y軸」と器用にミラーが動くのはこういった仕掛けになっているのですね(懐かしの地球ゴマにちょっと似てる→まぁ、ジャイロですからね)。このミラー筐体部分をブツけたりなどして強い衝撃が内部構造に伝わりますと・・・

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 大概、左写真の「樹脂ラック部分」が折損します。そうなることによって、上下か左右どちらかのミラー動作が不動になってしまいます。

 また、モーター軸に取り付けられたピニオンギアが欠けたり、それと噛みあわせられたラックギア部が一部欠損したり、スリ減ったりしますと、「ギャいーーーーーん」と甲高い耳障りな音を伴って動作するようになる場合もあります。

 さらに、特に衝撃を与えなくとも、右の写真にありますカプラー内部に水気が入りますと、導通不良の原因となり、動作が不安定になったり、不動になるコトがあります。もちろん、写真にはありませんが、スイッチの方がダメな場合もあります(というか、コッチが原因というのがほとんど:笑)。

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 ここからは、ミラーの電動機構部分とミラー(鏡)自体の接合方法を示した写真です。

 写真にありますように、「カエルの後ろ脚」のような形状に成型された一本のスプリングを、溝に引っかけるようにして固定する方法をとっています。機構部分がケース内に取りつけられた状態のままで、鏡の部分だけを交換することも出来ないコトはないのですが、ご覧のようなスプリングを溝に入れつつ引っかけ位置までもっていくのはなかなかに大変です。

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 組み立ての際に気を付けなければならないポイントは、右の写真にある凹凸のダボをキッチリと合わせて嵌め合わせるというところです。

 ここをムリヤリにイキますと、鏡部分の位置が定まらなくなってしまったり、走行中の震動により、ミラーがビビった像を結ぶコトになってしまいます。

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 この一連の組立作業は、文章で説明するの、とっても難しいんですよね(表現力の欠如を嘆く:泣笑)。

 とにかく、右の写真の様に鏡と機構部分をピッタリと所定位置に嵌めあわせたら、溝に沿ってスプリングを入れこんでいきます。最後にはスプリング端部に若干テンションが掛かった状態となりますので、指や目に思わぬケガをせぬように、慎重に所定位置に引っかけます。

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 上側の引っかけが終わったら、同様に下側にもスプリングを掛けていきます。コレで、機構部分と鏡の締結が完了いたしました。続いてはメインとなるケースへとコレを仕込む作業です。

 折角、キレイに塗装し直したケースですから、キズを付けぬ様に組み込んでいきたいものです。しかしながら、ソレが至難な設計なのですからイヤになってしまうというのが、「イタ公(笑)の世界」というものです。

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 左の写真(何枚かチャレンジしてようやく、やっと微妙に写った)のように、ご覧のスキマから小さなタッピングビスをまずは入れていかなくてはなりません。しかも2本。

 2本のタッピングビスは仮締めといった感じで、先端の数コマのみ噛ませておきます。ここで完全に締めこんでしまうと、次の工程でハマります(笑泣)。

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 今度は、底面部の皿ビス(よりによって、こちらはタッピングではない上、相手はナメやすいダイキャスト素材)を写真のように位置決めしながら、丁寧に噛ませ、 2本の先端タップが数コマ分キチンと噛んだのを確認した上で、両方を交互に少しずつ締めこみます。そして、先ほどのタッピングビスを2本とも本締めして完成です。

 ・・・こうして、マセラティ222SEも外観艤装がようやく出来あがりました。 

 それじゃ、また明日!             

2012年2月20日 (月)

Nostalgic2days、イッてみよーかなー。

 この間、弊社の協力会社の営業さんから、あるクルマイベントのチケットを頂戴いたしました。「Nostalgic2days(ノスタルジック 2デイズ:リンク先はいきなりドカンと音が出ますのでご注意を!)」という自称(笑)日本最大級を謳った旧車の祭典です。ワタシ、かつてコレの原型だったと思われる旧車イベントにおいて、20年程前に「古本屋さん」を手伝ったコトがあります。

 今日も、当ブログでおなじみ、中野新井薬師商店街にある旧車専門のカタログ&本屋、「ブックガレージ」T橋店主から電話があり、「チケットあるけど、オレ行けないから、たこちゃん行かない?」とお誘いがきまして、「もう、持ってるよ」とツレなくお返事しておきました(ありがとね:笑)。その電話により、「行くのどーしよーかなー」と逡巡していた気持ちがふっ切れて、どうやら「はい、行きます!」という心境になりました(ブログねたにもなりそうだし:笑)。

 今週末の2月25日(土)と2月26日(日)の二日間、横浜にある見本市会場(この言い回しがレトロでしょ:笑)、「パシフィコ横浜(展示ホールC・D)」にて開催されます。開催時間は両日ともにAM10:00~PM5:00だそうです。詳細は上にリンクを張りました公式サイトでご確認ください。

 ワタシは当然ながら26日(日)にまいろうと思っております。当日の会場にて、当ブログ読者の方々で、現物のワタシを知る方がいらっしゃいましたら、ぜひお声を掛けてくださいな。紺色地に深紅のストライプでおなじみのマセラティジャケット(厚手のブルゾン)を着用し、ワタシのトレードマークである「肩からナナメに掛けた赤いポーチを背中にしょった姿(笑)」をしたタレ目でアゴ髭の男は、間違い無く「ワタシ」です。「たーこーちゃん!」とお呼びくださいな。

 皆さんお忙しいので、なかなか旧車イベントにも参加出来ないとは思いますが、ヒトが出品しているクルマたちを眺めているだけなのは、かえって気楽でいいもんですよ。

 ・・・それじゃ、また明日!

2012年2月18日 (土)

なぜか今、ラー油に凝るワタシ

 きょーは、ホント寒かったですね、もはや狂おしいほどに(笑)。ここのところ毎日「寒い」ってところからブログのフリが始まってるような気もいたしますが、それくらいに今年の冬は「パンチもキックも効きまくった寒さ」なのだというコトでしょう。皆さんも業種に関わらず、特に出勤時などは毎朝の氷点下の寒さに耐えていらっしゃるコトと思います。

 夜になり、いよいよ芯から冷えきった体を癒すため、最近のワタシが凝っているのが「ラー油」。もう、どんな料理も「とりあえずラー油漬け(笑)」。李錦記(リキンキ)というメーカーは香港発祥のオイスターソースで有名な会社。ウチのヨメがソコの様々な調味料商品を従来より贔屓にしているのですが、リキンキの「具入りラー油(エスビー食品取扱)」というのが絶品でして、鍋によし、餃子によし、とにかくキリっと辛くて独特の風味があり、あっという間にクセになりました。とりわけポン酢やら、バルサミコ酢をツケダレにして、以前にご紹介した「豚バラ白菜鍋」を食する時などにこのラー油と鍋のだし汁を加えますと、最後にこの渾然一体となったスープは「辛旨」で最高です。シメのうどんがまたウマい!ハッキリ云って、数年前の一時期、爆発的に流行った「M屋の具沢山ラー油」はワタシの味覚には合わなかったのですが(だって辛くないんだもん、ラー油なのに。それでいて結構クドいし:笑)、コチラは(現地っぽく)本格的で上品(なんのこっちゃ)なお味。

 また、京都の山田製油というメーカーのごまラー油もお奨めで、コチラはひたすら(ある意味、和のテイストで)上品なお味。どんな鍋にもほど良く合います。そして何段もグレードアップした風味になります。ラー油としては高価(とは云っても、一本500円弱)な部類ですが、何事もチューンナップにはアブラが重要です(あたかも、MOTUL300Vルマンのように:笑)。

 カラダの中から、ポッカポカになりますよ!「ぜひとも御賞味あれ」とヨメさんが申しております。ワタシは責任持てませんけどね(笑)。.でも、美味しいと思いますよ、いや、マジメな話。

 では、また来週!今日も、皆さん暖かくしてお休みくださいね。

 

2012年2月17日 (金)

とりあえず驚いた。けど助かった!

 今日の日中は日なたであれば、風もなく、ちょっと春めいた穏やかな気候でしたが、夕方にはまたまた雪がパラついてきたりして、なんか「うららか方向」には、なかなか天候が安定しませんね。「はーるよ来い!」とくらぁー(笑)。

 ところで、ちょうど一週間前、2月10日(金)の当ブログにおける前フリ「文京区在住「Mさま」クアトロポルテV6の「エンジンハンチング(アイドル回転が極端に上がったり下がったりする)」のトラブルシュートの続きを再開しまして、「ホントに驚くような(笑泣)」初トラブルに遭遇し・・・」の中身のハナシを、本日Mさまに無事納車完了いたしましたのを記念(笑)してお送りしたいと思っております。

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 そもそも、Mさんがお見えになった日に、その場でトラブルシュートして即日お返しするハズだったんですけどね、例によって「ハマりまして」、まったく何をやっても不思議なくらいに治りません。で、大変申しわけなかったのですが、Mさんには後日の納車を約して、一旦御帰宅頂いていたのです。数日の後、作業再開。とは云うものの当初は「もー、あとはメインコンピューターくらいしか無いよなぁー」と云う感じでした。相変わらずエンジンが温まり出すと、ハンチングは「びよーん、びよーん」とタコメーターを激しく上下動させています。コレはアイドルアップエアバルブ故障の典型的症状のひとつではありますが、電気的な故障を見る場合にはこの部材に繋がるカプラーを付けたり外したりして挙動が変るかどうかで判断するのが通常の流儀でした。

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 とりあえず、スロットルボディを外してみるというコトに。

 そしてアイドルアップバルブも・・・。「んっ?あコレ、中身無いぢゃん!」と叫ぶ三男さん。

 さあ、ハンチングの原因そのものはコレで間違い無かろうというコトになりまして、正常品を取りつけ、周囲を組み直し、エンジン始動→暖気完了、エンジンは何事も無かったかのように粛々と(轟々と、かな?やっぱ:笑)正常なアイドル回転をしています。30分連続でも平気。

 これにて一件落着・・・わー、ダメだよねー、やっぱり。ここから本題を大きくハズれて「エアバルブの中身は何処へ」の問題をシュートしなくてはならなくなりました。普通コワれるかぁー、こんなメカ部分が。

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 取れちゃったエアバルブの中身(というか構成要素)をまずは検証しないとね。

 その後は夜遅くまで(そして朝早くから)メーカー純正の吸排気系概念図とにらめっこしながら三人して「うー」と、考えてました。

 それというのも、このクアトロポルテ、自走して埼玉の西の奥地(失礼!)から現に自走で東京まで帰って来てるんです。当店への御持込みも自走でした。Mさんもエンジンのハンチングを感じない高速道路走行ではまあ、走れると仰ってたしなー。どこかにすでに吸い込んでしまっていたら、エンジンに重篤な障害がとっくに発生しているハズ。エンジン音自体は極めて正常だし。天文学的な確率で難関の数々を突破して、いまや、すべての内部構造物がエキゾーストまで出ちゃっているのか?いやいや、そんなワケは無い。最低でもサージタンクにはなんか残ってるハズ。・・・やっぱ、半バラ(半分バラシ:笑)ですか。→3人でモヤモヤしてる場合には必ずこうなってしまうというところがマイクロ・デポ的悲しい持ち味(笑泣)。

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 サージタンクを「えいやー!」と撤去すると、中から「カラカラ」と音がいたします。「あー、なんか入ってるよ、やっぱり」と次男さん。

 作業灯を当てて、吸気口を丁寧に覗いていきます。エアバルブに近い方はまずは大丈夫そう・・・。

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 で、「ひえー!ギリッギリ!!」と叫び声。詳細は左の写真2枚をご参照。

 「マセラティの神様」が、ワタシたちを御護りくださってるとしか思えぬ「芸術的な」引っかかり方でエアバルブ内から飛び出したスプリングが吸気口上部に見えました。あー、バラして良かったなぁー、やっぱり。

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 日中の光で再検証しようというコトになり、もう一度目を凝らして各部を確認していきました。

 それにしても、バルブクラッシュ寸前で、コト無きを得たのはあらためて奇跡的でした。Mさんの日頃の行ないが良いのに違いありません(笑)。ホントに感謝、感謝です!

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 エアバルブの内部構造物で一番大きい「シャッタースリーブ」部分はサージタンク内から出てきました。

 さすがにコレを吸い込んだら、エンジンはひとたまりも無かったと思われますが、サージタンクの内部で吸い込み口は一番上部にあるので、これだけカサがあると一旦下に落下してしまえばまあ、問題が無かったかもしれません。だけど、はずれた瞬間には先程のスプリングで射出されたと思われますので、内部の負圧状況によっては、「スポッ」と上の口から出て行ってしまっていても不思議ではありませんよね。ここも、非常にラッキーだったと思っています。

 いや、まーソレにしても色々と勉強になるモンです。これからも飽くなき探求を続けてイキましょうね、と思っております。

 ・・・ここ数日、また別件で「大きくハマり中」ですが、まっ、なんとかなるでしょう(でないと泣いちゃうよ:笑)!今までそうしてきたし。             

2012年2月16日 (木)

ボディの最終仕上げ前磨き

 ひぇーーーーー!!今日は、油断してたらホンット、寒かったですね。今朝早くネットで確認した練馬のピンポイント天気予報では、「午前中は晴れで午後3時から曇り」となっていたのですが、少なくとも当店の頭上の空は一日中「どんより雲」で覆われて、あまつさえ「雪」までチラつくありさま。もー、勘弁して。頼むから晴れてちょー!

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 ハレると思って薄着で来たのがマズかった。今朝は、鈑金業者の職人さんに直接来てもらい、納車直前222SEの、「最終仕上げ前の磨き工程」を行なう予定を入れておりましたので、「どんより空」を眺めては、深ーくタメ息が出そうでしたが、「ええい!ままよ」とばかりに決行してしまいました。ひとつひとつのアラに付き、「ここはどう処置します?」ということになりますので、ワタシも一日中、そばに付きっきりで作業を見守ります。そして、オーナーさんの代弁者として、作業を細かく依頼→施工→上がり状態の確認、といったループを繰り返します(そんなのにいちいち付き合ってくれる職人さんは、まー、なかなかいません)。

 旧いクルマの鈑金跡には「パテ目」というのが出てくる場合があります。下地のサフェーサー等とパテ、そして塗料とのの相性が今ひとつな場合などに経年で浮き出てまいります。また、前に塗装をした業者がイマイチの技術である場合にも「ペーパー目(表面を均すのに使用したヤスリのスジ)」などが見えてくるコトがあります。

 いずれにいたしましても、こういったアラは、最後の最後に磨き倒してコーティングをすると、却って目立つモノになってしまいますので、ある時期から、このように「非効率」な工程を一旦入れるのがルーティンになってしまいました。

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 続いては、クアトロポルテV8のボディ各部に付けられてしまった「ネコさんの爪跡」除去作業です。

 パテ目除去といい、深いネコキズの除去といい、通常の磨き屋さんが行なうバフ掛けやポリッシュだけでは、なかなか美しい仕上がりは望めません。ワタシなど小心者が見ると、こういった類のクルマのボディにペーパーを入れるのは「大冒険(ウン十年も見てきてるんですけどね:笑)」といった感じがするのですが、職人さんは飄々と「擦って」しまいます。かくて、ボディ全周に亘って無数に付いていたキズ跡をひとつひとつ丁寧にスリ取っていきました。あー、夕方になって、また雪が降ってきたよ。なんとか間に合ってホッといたしました。いや、しかし寒かったコト。

 皆さんも暖かくしておやすみください。では、また明日!

2012年2月15日 (水)

パッケージの魔力

 今日は、久しぶりにワタシの趣味そのもののネタ、イッてみましょう。毎日帰宅しますと、最近の楽しみは「プラモデルを扱ったサイト(また出た:笑)」でして、朝に晩にネットサーフィンしては眺めておりますよ。

 なんのコトは無い、検索してるのは「懐かしのプラモねた」ばっかりなんですけどね。ムカシのプラモデルには、なんというかこう、夢が詰まっている感じで(箱を開けるとガックリなモノも、また多かったのですが:笑)ボックスアートを眺めるだけでも陶然といたします。

 お年玉なんかで、欲しくて欲しくてたまらなかったプラモデルを買った日には、布団の枕元に置いて、寝る直前まで中身を眺めては、「あーでもない、こーでもない」と夢想に耽ったものです。バンダイ1/20セリカ(リンク先の3枚目写真ブルーメタのやつ:もちろん初代セリカ)などは、エンジンやラジエターグリル、そしてデカールが数種類付いてて、GT、ST、LT、ETと各グレードが選択できるコンパチモデルだったりして、おまけにビニール製のフロアマットまで別パーツで付いてて、ホント子供の夢をかきたてる(というか、掻きむしる?:笑)名作モデルでした。

 マイクロ・デポで販売するマセラティたちも、ホントはカッチョいいボックスアートの書かれた箱に入れて納車したいくらい(迷惑?:笑)。今は亡き小松崎茂先生には荒々しくも精微なタッチで、また高荷義之先生には清潔感溢れる精密なタッチで、それぞれ箱絵を書いてもらいたかったなー。

 本日は小ネタで失礼しました!・・・追伸:本家ホームページのトップバナー画像を試験的に「今年仕様に」リニューアルしてみました。御感想をどうぞ。

2012年2月14日 (火)

親ガメの背中に子ガメを載せてー(笑)

 雨模様の続く、東京は練馬。外に出せない作業中のクルマ達はこのようにしながら保管するのです。そして、そのまま下段のクルマでは作業を続けます。今日もこの状態で下のカリフには馬を掛け、140Km/hでの走行状態を現じてみました。スピードメーターの具合を見るためです。

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 可愛く2台が重なる風景は、あたかも「親ガメと子ガメ」。上段のクルマから一切のオイル漏れが無い状態ですと、こうやって重ねるコトが出来ます。

 また、少しでも不安がある場合は下段のクルマにビニールシートを掛けておき、作業の間だけ、そのフチを少々めくっては、クルマの中に入ります。狭い場内は立錐の余地も無いですが、ただただ情熱を込めて作業を続けています。濡らすことが出来ない大事なマシン達。お待ちになっているお客さんのために少しでも早く完遂したい作業の数々。・・・キワキワの選択。立派な工場がちょっと羨ましいと思えてまいります。それでも「春日町時代」に比べればリフトもあるし、ずいぶん贅沢になったモンなんだけどなー。ともあれ、これぢゃー「高級さ」とは縁遠いですね。皆さんの愛車にはいつも窮屈な思いをさせて申し訳ありません。しかしながら、クルマをお返しする時には、お預かりした時よりも必ずキレイにしてお納めしていますのでご勘弁を! 

 ところで、今日は「バレンタインデー」。義理だの人情だのの(笑)チョコ、貰いましたか? 

 ・・・それでは、また明日!

2012年2月13日 (月)

「新しい設計のモノは、必ず改善されている」と思ったら・・・(その2)

 まぁ、旧いイタ車を扱ってると、毎日、色々な事例に遭遇するわけなのですが、「技術的な年代的特徴」という側面を想像しながら、あれやこれやとトラブルシュートをしていくのも、この仕事における醍醐味のひとつではあります(もはや、マゾ系:笑)。

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 早速、金曜日のネタを写真で表現したのが、左の2葉。

 ボディ側から出てきた大量のワイヤリングハーネスを、小さな穴からドア内部へと「ツイツイ」して導入し、全部が入り切ったところでジャバラ部分を留めるのが「エボ以前(フェラーリ期未満)」の考え方。この工法では、組み立て時にドアの中身のあれこれが出来るだけ「入って」いない状態でないと作業は大変だったはずです。そしてすべての臓物の組み立て調整が済んでから、最後に内装トリムを組み立てる必要が出てきます。で、あとから内装を組むと、そのせいでさらにロード(各種抵抗)が増加し、パワーウインドーの走行や、集中ロックリンクの動作などに「再調整」の必要が出てくるという問題もあったハズです(ウチでいつもそーだから:笑)。

 右がフェラーリ期の理念(エボ)。この写真では内装がとれちゃってますが、マセラティ組み立て工場では、内装まですべて組み立てたドアAssyを丸ごと最後にボディに締結していたものと、その各部の構造変更を見てワタシは以前から想像しておりました。先日のマセラティ工場探訪番組を見ると、グランカブリオではまさにそうやってました。あー、やっぱり。

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 しかしながら、カプラー化には、組み立てやすくするというメーカー側の都合しか入っておりませんので、経年で左のような問題が多く発生します。

 こういったトラブルはデ・トマソ期マセラティではむしろ皆無に近い(カプラー締結の理念自体がドア周辺にはありませんから:笑)です。

 ちなみに「近い」と書くのは「絶無」ではないからで、内部ハーネスが屈曲により、その絶縁被膜が剥け、その外側に巻かれたビニールテ-プ層も破れ、おまけに運悪く、その外側をさらに覆うゴムチューブ(一番最初のクアトロポルテドアの写真内のジャバラに相当する部分)までチギレ、とどめにドア側に開いた、ハーネス導入孔の周囲に巻かれた樹脂製のチューブガイドが破損して無くなっていれば「ショート」にいたります。但し、この4重防御をすべて突破するにいたるケースは「見たコトはある(ソレでもあるんだよーん:笑)」けど、そうならないようにウチのクルマではすべてチェックするので、あまり心配要りません。

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 ウインドーレギュレータ「三世代」。

 初め、全金属製で作り、非常に組み立てと調整、そして経年時のサビに苦労したので、同じ設計理念で樹脂化したら、組み立ては楽になり、部品製造コストはさがったものの、こんどは肝心の耐久性が低くなり・・・(第一、最初からチャンと動かないし:笑)。

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 ・・・で、考え方を1960年代まで戻した「メカメカしい」全金属製のモノに変更。各部にマイクロスイッチを装着し、ドアの開閉時に微妙にウインドーを下げるギミックを付けて出したはいいが、思ったほどには耐久性が無く、ギミックもまともに動作しにくいモノになってしまいました。

 こういった設計は英国車・ドイツ車に範をとったものですが、どのメーカーのもあまりよろしくありません。3200GTの場合もドアインナーパネルの剛性不足で、旧くなってくるとまともに動作させにくい部分です。「ひょっとすると」壊れても直しやすい「デ・トマソビトルボ」のヤツがシンプルで、結局一番いいのかもと思ったりして(動作に正確性を欠くところが玉にキズ→やっぱ、ダメぢゃん:泣笑)。

・・・続きはまた明日。      

2012年2月11日 (土)

パソコンの向こう側には・・・

 本日は、祝日土曜日のせいかお客さんがたくさんみえて(皆さん、有難うございます:感謝!)、その間隙を縫いつつ、お問い合わせメールの返信も(しかも超長文で:笑)何本か送信させて頂いたりと、今日は一日を通して昨日の続き用に使おうと思っていた写真の準備が出来ませんでしたので、昨日の続きは来週やります。ご期待に添えずに申し訳ありません。

 ところで、いつも、そういったメールに返信をさせて頂きます折に、すでに当店顧客であり、お顔を存じ上げているお客さんが御相手で、それが「故障ネタ(泣)」の場合であれば、そのお客さんのお顔を思い浮かべながら、またその方の運転の癖や、諸々の使用条件、また保管状態などを想像(あるいは想定)しながら、ある症状に関してのトラブルシュートをするわけです。一方ではメールの文面を打ちながら、アタマの中では、対応策を同時進行で考えていきます。

 お相手が初めてのお客さんであり、それが「在庫車両に関するお問い合わせ」の場合は直接的に商売のハナシとなりますので、お相手のお客さんがどういった趣向の持ち主でいらっしゃるのか、家族構成は?、お仕事は?はたまたお幾つぐらいの方なのかしら?等などと、これまた色々と思いを巡らしながら一生懸命にマセラティの魅力を書き綴り、また、お客さんの不安や不信を少しずつでも解きほぐして差し上げようと、出来るだけ詳しくありのままをお伝えしようと努力しております。マセラティなどの旧いイタリア車は「その場の勢いだけで」購入するクルマではありません。十分な吟味が必要であると考えるからです。そのあたりを正直にお伝えしすぎて「夢が無い」とお相手から云われたことも数知れずありますし、折角「その気」になっていらっしゃるお客さんのアタマの中を冷却(笑泣)させてしまうことも多くあったコトでしょう。そういった意味では商売ベタとしか云いようがありませんね(泣)。 

 そんなわけで、メールはどれも非常に長いモノとなりがちで、読む側にとってはツライかも知れませんね(笑)。しかしながら、マセラティには語りたいことが山ほどある。そして、単に「イタリア製の自動車」というところに留まらない、歴史的、文化的な側面もあります。そのあたりへのご興味まで持って頂けますと、より一層マセラティやイタリアの文化に浴しつつ、クルマ趣味の世界も深まるのでは無かろうかと思っております。 

 また、多くの「予防整備」」や「各種対策」を文面内でお勧め申し上げるのも、「(そのクルマの)生涯トータルコスト」と、「(そのクルマの)生涯整備時間」の極小化を達成するための方策であり、ある種の「方便」でもあるのです。総額金額を意味も無くいたずらに上げていこうとするものではありません。

 当店のお客さんだけが知る、「時間とコストの読めるマセラティライフ」ならではの楽しさや安心感を広くご理解頂くには、まだまだ何年も時間が掛かりそうですね。といったわけで、ワタシのメール返信は、日々長くなる一方ではありますよ(でも一応目は通してくださいね:笑)。 

 ・・・そんなこんなで、一体ワタシは週に「400字詰め原稿用紙」何枚分の文章を書いてるんだろうねぇー(このブログや、ホームページの更新作業を含めて:笑)。もはや、滑稽ではあります。

2012年2月10日 (金)

「新しい設計のモノは、必ず改善されている」と思ったら・・・(その1)

 いやー、今日も文京区在住「Mさま」クアトロポルテV6の「エンジンハンチング(アイドル回転が極端に上がったり下がったりする)」のトラブルシュートの続きを再開しまして、「ホントに驚くような(笑泣)」初トラブルに遭遇し、明日もその事後処理のための作業を継続予定としておりますが、その内容は「ほとんどおとぎ話」の世界とも云うべきモノすごいものでした。そのネタは作業完了時のお楽しみ(?)と云う事で、ここでは、「ハンチングの原因そのものは特定出来たよ」と御報告するに留めます。

 ・・・といった感じで、とにかくマセラティというクルマは、万事が万事、思わぬところが、思わぬ原因で「イッて」しまう(しかもいきなり)ところが特徴的でして、時にトラブルシュートに手こずるのは必ずしもワタシたち三兄弟がアホだからという理由だけではありますまい(と、一応自己弁護しておこーっと:笑)。

 さてさて、火曜日にお届けした「マセラティ工場探訪番組ネタ」に対して、多くのコメントを頂戴いたしましたが、番組そのものはホント面白いから是非ともご覧になって頂くとして、本日からは「ぢゃ、ムカシはどーだったんだろね(「Ryo」さんのコメントにより着想)」といったところを「あくまで想像で(笑)」おハナシしてまいろうと思っております。

 マイクロ・デポにおいては「ボディ艤装品組み立て担当(笑)」のワタシが、よく皆さんにここらへんのハナシをする時に例として引くのは、ドア内部に内蔵するワイヤリングハーネス(要は電気配線の束)に関わる、新旧の設計の違いについてです。ここは、旧いイタ車とここ15年くらいの新し目イタ車との間には、設計理念上、モノすごい相違があるんです。 

 実は、この違いによるトラブルにワタシが初めて遭遇したのは、マセラティでは無くて、フェラーリモンディアルt(ベルリネッタ)でした。ドアを開けたり閉めたりするたびに、パワーウインドーや集中ロックが可動状態or不動状態をランダムに現ずるという症状で、ほとんどオカルトチックなものです。イタ車のこういったトラブルは須らく原因が分かってしまえば「なーーーんだ!」といった感じのものであることが多いのですが、初めて遭遇すると目の前が真っ暗になるモノです。電気屋さんと二人してあーでもない、こーでもないと格闘する中で、ようやく発見したのが、「ドア内部ハーネスとボディ側内部ハーネス同志を接続・締結するカプラー」の防滴用ゴムブーツの中で皮膜が剥けたコードやら、断線しているコードやら。これらが、ドアの開閉に伴ってランダムに触れたり離れたり、無関係のコード同志が接触したりと、まぁ、スゴイことになってまして、それらをすべてきちんと絶縁し直し、断線部も治したら、パーフェクトに完治しました。 

 その後フェラーリでは、348スパイダーでまったく同じ症例を見ることにもなりましたが、この時は信頼の置けないカプラーを介さずに、ボディ側から出てくるコードとドア内部のコードを思い切ってすべて直付けにするという対策を行いました。もちろん、見た目を変えないようにと(見た目原理主義だから:笑)カプラーのケースやゴムブーツは生かしたまま、外部からの見た目は変えぬよう、カプラー自体に大きな穴を開ける等の大改造を施して対応したものです。例によって、ものすご大変でしたが、著効を発揮し、コスト削減と信頼性大幅アップを実現することができました。普通は当時数十万円もした高価なワイヤリングハーネスセットをフル交換するしかない事例です。 

 コレは、旧い時代の、しかも、「一般世間では電気周りのトラブルがとてつも無く多いということになっている」、皆さんお馴染みの(笑)デ・トマソ期マセラティの設計理念を、「あろうことか取り入れて」フェラーリに転用してみたワザです。意外ですか?意外ですねぇー(笑)。でも、これが真実です。

 ・・・続きは、また明日。

 

 

2012年2月 9日 (木)

お腹(ハラ)には気をつけてね

 はい、今日も元気にイッてみましょう!昨日の3200GTネタは「構想10秒(笑)、実制作時間(写真準備と加工を含む)は、延べ10時間」でした。当然一日で書けるワキャ無いので、先週から少しずつ空いた時間に「チマチマ」と書きすすめてきたモノです。幾らなんでも、ワタシにはあれを数時間で作る構成力もパソコン操作のスキルもありません(笑泣)。

 実際、読む方にとっては迷惑ですよね、あの分量で一気に書かれたら(笑)。後の資料としての利便性を考えて、むりやり一つのページにまとめようとしたのがイケませんでした。皆さん御仕事でお疲れのところ御付き合い頂き、誠に有難うございました(&失礼しました。:笑)。あとでゆっくりと読んでくださいね。

 で、本日は些か短めに(それでも写真は12枚あります)お送りしようと思っております。

 「ガンディーニクアトロポルテ」のカテゴリー記事は久しぶりですね。今日は湯河原在住の「Nさん」クアトロポルテV8のATF漏れ修理の実況を抜粋でお届けいたします。 

 「ハラを擦った(ような気がした:笑)時点から、イチゴシロップ色のオイルがクルマの下にたれてくるようになった」というおハナシをまずは頂戴していたので、「パワーステアリングラック」からのフルード漏れを当初は疑っておりましたが、より突っ込んでハナシを伺うと、どうもオイル染みのあとが一定では無い感触を得ました。こりゃ「パワステフルードでは無くて、オートマフルード(ATF)の方クサい」とにらみまして、「自走はしないで、ローダーで運びましょう」というコトにしておりましたが、コレが大正解(ピンポン・ピンポン:笑)、当店にセーフティローダー車に載せられて運ばれて来た時には、ローダー車の荷台にも「不規則に前から後ろまで点々と」オイル染みが出来ておりました。

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 まずは、よごれた外装をキレイに拭きあげていきますと、リアのナンバー周辺や、バンパーまでオイルでギトギト濡れてしまっています。どうも結構な量のATFが出ちゃってる模様。リフトアップするために場内まで自走しようとすると、リバースにいれると「みー(三秒)、がっこん」という感じです。「おー、乗ってなくて良かったわぁ、オイル足りなくなってる」

 ガンディーニルックのマセラティクアトロポルテに於ける、「後期型(エボ前)V8」「エボV6・同V8」に装着されている電子制御4速オートマティックトランスミッションはオーストラリア製で「BTRエンジニアリング(オーストラリア)」という、イタ車では従来あまり耳にしたことが無いメーカーの製品です。

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 このミッションは原則的に「メンテナンスフリー」を謳っているので、通常こういったトラブルに対応した造りになっておりません。ディップスティックも無ければ、ドレーンプラグも無いんですから(泣)・・・で、いきなり「バカーン」とオイルパンをはずします。もうATFは「だーだー」と出ます(笑)。こういった場合、通常は出来るだけ中に入っていたオイル量を量るため抜いたオイルを一旦オイルポットに入れ、概略計量するのですが、今回の場合はすでにオイルが相当量出ちゃっているコトが想定されていますので、豪快な方法をとっています。マネしちゃダメよ(笑)。また、ATFを規定量(多からず少なからず)注入する方法には一定の「御作法(笑)」があり、非常に手間の掛かるものです。

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 オイルパンをはずして、内部を丁寧に清掃します。フルード自体はたいした汚れも無く、まずは一安心といったところ。漏ってた部位も、このオイルパンガスケット全周(特定のピンポイントからでは無かろう)からであると特定し(コレを完全に判明させるまでに、ミッションケース周辺を洗っては、オイルを足し、エンジンを掛け→乾かしの繰り返しで足掛け三日かかった。とにかくあらゆるところに広範囲にオイルが飛び散っていたので。:泣)ました。

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 そこで、オイルパンガスケットと、内部にあるフィルターをも同時交換することにいたしました(コレの交換も結構ややこしい:泣笑)。

 まぁ、メンテナンスフリーミッションのくせに、一応ガスケットやフィルターのパーツがいまだ出てくるといったところが助かりますが、こんなのまでを在庫で持ってたウチもまたスゴい(一応、正規ルートにも照会してみたら国内欠品でした)。

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 フィルターとガスケットを交換し、オイルパンを装着しました。この形式の成型ガスケットでは、「増し締め」しても大量のオイル漏れは止まりません。

 おそらくは、ミッションケースとオイルパンのスキマで上下にピッタリと吸いつくように定住していたガスケットが、オイルパンを軽くぶつけた衝撃により、経年で硬化しているのも相まってその後スキマを形成してしまったままになっていたのでしょう。その後、「ハーヒー」云いながらも用意しておいたATFを注入完了。

 ・・・さあ、今度は下周りを仕上げ直さないとね。

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 当初リフトアップした時にはミッションケース周りのみならず、床下は最後方までオイルを被っておりましたが、入念に清掃し、キレイに復元いたしました。

 もちろん、ボディ表面の方も忘れずにね(笑)。

 最後に岡本三兄弟が交互に光が丘周辺をぐるぐると試運転し、「全員のOK」が出ればようやく完成です。→で、「OK」出ました(喜)。大変お待たせいたしました!まずは大事にいたらずヨカッタ、ヨカッタと御同慶の至り(笑)。

 それでは、また明日!

          

2012年2月 8日 (水)

マセラティ3200GTの買い方

 昨日は一日、雨がシトシトでしたが、南の風が入ってきたのか春っぽい雨とはなりました。うってかわって、今日はピーカンを期待していたのですが・・・結局、練馬では夕方までグズグズした小雪や小雨がパラつく天候(しかも、それなりに寒い:笑泣)。それでも気合いを入れて頑張ってイキましょう。

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 一昨日までは、「当店の本ネタ」とも云える「デ・トマソ期マセラティ」の話を中心に、しばらくお届けしてまいりましたが、本日は趣向を変えて、「フェラーリ期ビトルボ」でありますところのマセラティ3200GTについて、そのバイヤーズガイドっぽいハナシに「当店ならではの愚痴(笑)」も含めつつ中古車業界における現況を解説してまいりたいと思っております。

 先週も書きましたように、近頃マセラティ3200GTに関するお問い合わせが一時よりもさらに増えてきたように感じています。しかしながら皆さんのお話を伺っていますと、「ネットなどで販売相場を見ていると、ずいぶん安くなったように思う」という御感想とともに「予算は総額300万円がマキシマムである」といった御希望が判で押したように「セット」で出てまいります。

 それが、近頃当店に「マセラティ3200GTがあまり入荷しない」原因のひとつであると云ったら皆さんは驚きますでしょうか。一般的な「現状販売価格」が安すぎるのです。一方で皆さんがワタシどもに期待する「超絶デポ仕上げ(まあ、いつもの造り方です:笑)」を達成するには、部品代などを含めて「製造コスト」が掛かりすぎるため、当店での「総額価格」はいよいよ高くつき、一般的な現状販売価格と著しく乖離してしまうことを危惧しているのが現況です。

 このブログを読んでいる方々の中に、近い将来に当店でのご購入を考えてくださっている「マセラティ3200GT予備軍」の方がいらっしゃいましたら、特に耳を(目を:笑)傾けてください。ワタシも本日のこのネタ、初めて披露いたします。以下一生懸命に書きますから。

 一般論としてのマセラティ3200GTは「フェラーリ傘下になって信頼性が著しくアップしたマセラティ」と位置付けられています。確かに「新車時点」における信頼性を比較すると、222や430に代表される「デ・トマソ期マセラティ」やギブリⅡ、クアトロポルテⅣ(エボ前モデル)などの「フィアット期マセラティ」に比して各部が近代化してしっかりとしたイメージであった(過去形であるところにご注目)ことは疑いようが無い事実でした。

 しかしながら、最初期型1999年登録のマセラティ3200GT、車齢は今年で13年です。最終期のものでも10年に垂んとしています。ここでは、「10年(以上)経過した中古車としてのマセラティ3200GT」をテーマにして、論をすすめてまいりたいと思っております。

 ①:マセラティ3200GT、エクステリアの劣化と、当店が考えるそれらへの対応

2012020705 2012020718  まずマセラティ3200GTはジウジアーロの流麗かつクラシカルな流線形が魅力の一つです。凡百のクーペ車型のクルマとは大きな相違点があります。これは多くのフェラーリ各車にも当てはまりますが、「フロントバンパー直後→左右フロントフェンダー→左右Aピラー→ルーフ→左右Cピラー→左右リアフェンダー」、以上ここまでのボディシェルが見た目の上で「シームレス(継ぎ目が無い)」となっており、いわば一体化されているということです。これは「ボディの一部分だけを鈑金塗装」する場合に「塗装境界線(マスキングやボカシ)」を設定し難いという問題をもたらし、外装を美しく仕上げるうえで大きな障害となる要素です。

 アンドレアーニやガンディーニのビトルボマセラティ達には昨日まで解説しましたように、各部のエッジラインがありますので、そこをうまく使って(もちろん簡単では無いですが)「ボカし技法」を使うことが出来ます。

 フェラーリ各車も各部のエッジラインや、各ガーニッシュの切れ目などが塗装境界線として設定出来ます。また各部のディティールもアトラクティブなので、そちらに目がいってアラの方には目がいきにくいものです。

2012020717  この点、このジウジアーロの流麗でプレーンなオブジェは非常に厳しいのです。もう、本当にどこか一部にボカシどころを設定するか、ほとんど全塗装気分で広範囲に塗り広げるかといった選択肢しか残されていません。

 欧州車の場合、特にこういった少量生産車では新車時に日本国内の鈑金工場による「加修塗装」が施されていることは、極めて日常的なコトです(驚かれた方も少なからずいらっしゃると思います)。マセラティ3200GTにおいても、もちろんそれは例外ではありません。

 10年も経過しますと(実際には長くても5年くらいだと思いますが)、「ボカシ目」はハッキリ浮かび上がってくるものです。マセラティ3200GTの場合は前述の理由により、ルーフ中央部まで深く塗りひろげられている個体が多く、黒メタ、紺メタなど濃色系塗色ではかなり目立つ修正跡が出てきているケースもあります。

 ルーフの他に「ボカシ技法」が使われやすい部位としては「Aピラー」「Cピラー」「左右リアフェンダー前縁から30センチくらいのところ」「左右ドア後縁」「左右ドアミラー直下の影になるところ」「左右フロントフェンダー前半部」などがあります。いずれも、「ホントに塗りたかったところ」はホンの些細なモノなのですが、已む無く塗りひろげたか、ピンポイント(最少コスト)で抑えるためかで苦渋の選択の末の結果です。

 中古車の場合では、もちろん「後天的に」ぶつけたり、コスったりといった修正跡も多く出てきます。伝統的に(?)当店にお見えになるお客さんはこのあたりを気になさる方が非常に多くて、以上のようなボディ加修は商品化にあたって不可欠であると考えておりますが、前述の様に「広範囲に塗りひろげる」のみならず、「超絶仕上げ」を目指すには、各部艤装品の脱着も必要になりますので大きなコスト負担と作業労力負担を強いられます。斯くのごとき外装加修の可否につきましては、当店でマセラティ3200GTのご購入を考えておられる予備軍のお客さんからの忌憚なき御意見を伺いたいものです。

2012020702  次に、アルミホイールとタイヤという難関が待ち受けています。超扁平タイヤを装備したマセラティ3200GTでは、操舵しながらの段差の乗り越え時に「フチすり(ガリ)」をクラってしまうことが多く、ほとんどの中古車では4輪ともに修正や塗装が必要です。修正塗装自体のコストや手間は、デ・トマソ期マセラティ用に比べればはるかに楽ですが、工賃の安い業者に外注すると、ギラギラした品の無い色目に塗られてしまうことが多いですし、そのフィニッシュはそれなりのものでしかありません。またせっかくコストを掛けて美しく修正したホイールには新品タイヤを奢りたくなるのが(もちろん走行を思い切って楽しむ上でも)人情と云うものです。超扁平タイヤは非常に高価なものです。また、技術的にもしっかりしたタイヤ屋さんが必要となることは云うまでもありません。

2012020707   エクステリアの最後に艤装品。目立つのは、フロントグリル枠とそこにそそり立つトライデントエンブレムのメッキ劣化。左右ヘッドライトレンズの変退色。テールレンズの退色。フロントウインドーの飛び石跡や小さなヒビ、そしてウインドー周囲のエア噛みによる白濁。以上の他にも、地味ながらドアの当たり面(ボディ側)ウェザーストリップ(大概どこかしらちぎれたり、欠けたりしているのですが、ものすごく高価なので、交換は躊躇することが多い部位)なんてのもあります。これらにどこまで闘いを挑むかが、コストとの狭間で悩みどころとなります。「まあまあ」でいいとするのか、あくまでもどこまでも「超絶」を目指すのか・・・。

 

 ②:マセラティ3200GT、インテリアの劣化と、当店が考えるそれらへの対応

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   「マセラティ3200GT」では、ウッドパネルがセンタコンソールの一か所だけですので、コ レに関する障害に関しては当店においては比較的たやすく突破出来ます。大きな問題となるのは、皮革部分の劣化です。

 この時期のマセラティは、皮革部分が繊細で非常に縮み易く、マセラティ3200GTに関して云えば、多くの中古車で次のような症状が出てきています。

 

 a:ダッシュボード上面(メータークラスター一体型)パネルボードの皮縮み、浮き、ボード自体の歪み変形。

 b:左右ドア内張り中央部の広範囲な皮浮き(エアが混入しているように見える)。

 c:リアトレー部の皮縮み、浮き。

 d:ステアリング中央エアバッグパッドの皮縮み、浮き。

2012020704_3 2012020720_2  以上は、これまで当店で実際に遭遇し、個別に解決してきた事案ですが、年数の経過とともに、こういった瑕疵が一台のクルマに集中してきますとそれらすべてを完全に修復するには一体どれほどのコストと手間を掛ければよいのかと長嘆息の他はありません。もちろん、以上の他にも、普通にシートは荒れているものです(特に運転席左サイド)。特に淡色系色目のシートにおいて、ここに掲げた写真のように美麗なコンディションのものは通常ありえないレベルのものです。

 一方で、デ・トマソ期マセラティの御約束であった「天垂れ」は今のところあまり出ていないようです。ここは風合いや味わいを犠牲にして耐久性をアップさせた部位と云えるでしょう。

2012020701_32012020708   その他、この時期のフィアット系車の御約束「各部の樹脂表面がベタベタしてくる症状(通称ネタネタ病:笑)」も経年により昂進しています。ダッシュボード上面と前面に配置された各エアコン送風口、センターコンソールに配置された各スイッチ類、オーバーヘッドコンソールスイッチ、ステアリングコラムケース、灰皿のフタ等などがその対象部材です。当店ではこのネタネタ病対策を予め施した上で商品化しなければなりません。

 また、今となっては「旧態化した」DVDインダッシュナビなどもインテリアの美観を損なう原因となりますのでやはり外したくなりますが、これには狭い室内各部にあちこちと設置されてしまっているハーネス類や、ユニット類をきちんと撤去する必要が出てまいりますので、内装やトランクルームのトリムを70%程度分解する必要が出てきます。

2012020715 2012020719  インテリアの最後は、カーペットとフロアマット。どういうわけか、「カナリアイエロー色」や「ライトグレー色」など淡色系を装備した個体が多く、ちょっとした汚れも相当目立ちます。また2ドアクーペの宿命か、乗降時にあちらこちらに靴の底をコスることも多いようで、前オーナーさんの家族構成や足癖によってはクリーニング不能な状態になっているものも散見いたします。ここは見逃しがちなポイントです。

 ③:マセラティ3200GT、エンジンとその周辺補器のウイークポイント

2012020703 2012020716  最も代表的で良く知られた部位は「電子制御スロットルユニット」でありましょう。ボッシュ製のこのユニットは、発売当初より走行距離の多寡を問わずにトラブルの多かったパーツです。価格も「時価」といった按配で、日本円で40万円から60万円の間に設定され続けてきました。整備記録簿を見て仮に交換履歴があっても2万キロ前であるとか4年前であるとかであれば少なくとも当店では評価の対象にはいたしません。ものが重要保安部品(アクセルですから)だけに症状が出ている場合の新品交換は必須です。

 エンジン本体に関して云えば、主に「暖気運転をしっかり励行しない」のが原因と思われる「ヘッドガスケット」の抜けが非常に多いのが特徴的です。冷却水の濁りやエンジンオイルへの冷却水混入などしっかりとチェックして買うか、はじめからヘッドガスケット交換を想定して買うかのどちらかが必要です。現在抜けていないものであれば、購入後の手当て如何で急速に昂進するものではありませんので、当店においてはさほど御心配には及びません。

 また、ほとんど見逃されておりますが、マセラティ3200GTに装備されている「インタンク型フューエルポンプ(2基)」は、その周辺のフューエルホースとともに、過去に交換履歴の無いものにおいては、走行距離の多寡を問わず、今後数年の間にすべて交換が必要な時期に来ています。こちらも部品価格が高価な上、工数の掛かる作業でもあり、アタマの痛いハナシではありますね。

 スターターモーターはデ・トマソ期の理念のままですから、心配なら早期交換を予防的にお奨めせざるを得ませんし、オルタネーターは欧州車基準(笑)で普通にコワれます。

 ウォーターホース、エアホースなど多くのホース類もそのほとんどが交換時期を迎えています。その価格は非常に高価で、また入手も一般的には難しいとされています。

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 ターボチャージャーはそれまでのビトルボ同様に、オイル管理さえ行き届いていれば丈夫なもので、ほとんど心配は要りません。逆に「(水蒸気では無く、オイルの焼けるニオイの伴う)白煙モクモク」になってしまっているものは、たとえ「98万円(そんなの無いけど:笑)」でも買ってはならないでしょう。ターボ本体の脱着はエンジン搭載状態のままで行なうにはあまりにも過酷な作業であると云わざるを得ません。また一旦ターボの内部破壊を経験したものは、エンジンやエキゾースト内部などに思わぬ破片を撒き散らしていることがあります。よって、そのあたりのチェックをキチンと行なっているかどうかもカギとなりますが、それを達成するには、エンジンのほとんどすべてを分解することになってしまいますね。

 ④:マセラティ3200GT、ミッションとその周辺

2012020714  AT車がほとんどですが、オーストラリア製のOEMメーカーの造った電子制御ミッションを搭載しています。元来「完全メンテナンスフリー」を謳ったこのミッションは、一般的にはATF交換もままならないという、経年時にあっては却って難しいものです。シフトセレクターを操作した時の独特の「ジョリっと」した何か引っかかりのある感触はこのミッション特有のものです。「Dレンジ」に入れた時の変速時ショックも過大に感じられますが、これはビトルボユニット伝統の高いアイドル回転数に起因するものなので、もちろん程度問題ですが通常は心配要りません。 一方、マニュアル車の場合は、特に初期モデルにおけるクラッチの早減りが問題でした。現在はほとんど対策出来ますので納車時にすべての関連品目を一気に交換するのが正攻法と云えます。ただし正面突破には極めて高額な費用が掛かります。

 ④:マセラティ3200GT、エアコン関係について

 車齢を考えますと、そろそろ全体的に怪しくなってくるのがエアコンシステムです。かなり早い時期から、「エバポレーターの脆弱性」については、ワタシたち同業者間で囁かれていました。フィアット期以前のモデルではほとんど問題の無かった部位ですが、カッパーからアルミ化されたコトによる弊害です。ピンホールが開き、エアコンガスが室内にリークします。

 コンプレッサーは「サンデン製(もちろん日本製)」です。とは申しましても、耐久性は欧州車基準で「並」のものですから過剰な期待はしないでください(笑)。国産品であるにも関わらず、サンデンは修理対応が出来ません。問題が発生した場合、原則的には新品対応しか手立てはありません(しかもヨーロッパからの正規ルートが出元になります)。このあたりも、セイコー精機製の旧モデル(フィアット期以前)ではどうにでもなっていたので、今後、経年したマセラティ3200GTの中古車コストを下げる上での障害となり得る重要なポイントです。

 ⑤:マセラティ3200GT、ブレーキ関係について

 経年により、マスターシリンダーに障害の出るものが散見されています。これから長く乗るならばスパッと新品交換すべきでしょう。一時期は「意味不明」に高価であった、ブレーキローターやパッドも現在では落ちついている模様(それでも高いけど:笑泣)。ABSが壊れたハナシは聞いたことがありませんし、当店でも遭遇していません。

 ⑥:マセラティ3200GT、その他の装備品について

 パワーウインドー→非常に堅牢な造りに見えますが、一定の摺動箇所だけギアをナメます。そのAssy交換と調整作業はとことん手間が掛かり、特に「ドアを開けるときに予め数センチだけドアウインドーを下げるギミック」を制御するために仕組まれた複数のマイクロスイッチ交換と調整は完璧を期そうとすると気がヘンになりそうです(笑泣)。

 パワーシート→意外にも「大ゴワれ」しているのを見たことありませんが、座面の上下運動をさせる機構の他、「後席に入る時にフロントシートの背もたれ部分をシートバックサイドのレバーを上に引き上げつつ前に倒すとわざわざ電動で前方にシートが移動する」というあまり有難くないギミックが付いているのですが、コレのトラブルが出る場合が時々あります。

 メーター・インジケーター→デ・トマソ時代のお約束、「スピードメーターピョンピョン病」はすっかりありません(良かった、良かった:笑)。先日書きましたように、油圧計ピョンピョン病は良く出ますがこちらはエンジン側センシングユニットの方の問題です。外気温計はフィアット時代にはまったくあてにならないシロモノでしたが、装着位置を改善したおかげで精度を増しました。チェックエンジンランプ誤点灯は相変わらず(もう、コレはみーんなアキラメています:笑)。フェラーリ期のものはメーターの文字盤や針の色褪せも、いつも目の前に見えるだけに気になって仕方が無いポイントです。

 電子制御式サスペンション→これも相変わらず内部断線などがこれからもあり得ますが、コストの面を考慮してもアラゴスタなどの車外品対応で「非アクティブ化」して凌ぐしか無さそうです。

 ⑦:マセラティ3200GT、セキュリティーシステムと盗難防止装置(イモビライザー)

 まず、中古車を購入するにあたっては車輛とともに「コードカード」と「ヘッドが赤茶色のキー(マスターキー)」が揃っているかを確認してください。また、キーヘッドの脇にある、キーレスエントリーのスイッチがきれいに押せるかをチェックしてみてください。ここも「ネタネタ病」ポイントとなっており、直前にキーレスで施錠したものが、このスイッチボタンが押せずにセキュリティー解除不能となる場合があります。マスターキーは様々な局面で使用するケースが出てまいりますので決して紛失することの無き様に御注意ください。また、コ-ドカード番号は必ず複数バックアップしておくことをお奨めいたします。イモビライザーECUの故障は完全にエンジンが掛けられなくなります。

 ⑧:マセラティ3200GTを、リーズナブルに「買い、そして飼う」ために

 以上の様に、マセラティ3200GTを10年以上経過した現在買い求め、それを飼っていくのには多くの困難と試練を伴います。前述した「新車時におけるフェラーリのクオリティーコントロール神話」は、10年経って跡かたも無く粉砕されました。

2012020706  それでも、マセラティ3200GTには「クラシカルでエレガント、そしてアヴァンギャルドでもある」というオブジェとしての美しさと、「暴力的な(一名:直線番長:笑)」までの力強さをギリギリのところで両立させているという稀有な魅力があります。その真価に心を打たれたあなたは、それだけで所有する資格を有していると申せましょう。

 但し焦りは禁物です。最低でも上記に列挙してまいりました問題点やウイークポイントの数々に対する「明確な説明や回答」、「オルタネーティヴの提示」が出来ない販売元からは決して購入すべきではないクルマであると考えております。ワタシの知る限り、そのスキルと根性があると思われるのは全国でも数店舗のみです。予算が青天井ならば正規ディーラーという手ももちろんあります。もちろん経験値の高さで「コーンズモータースさん」を推しておきますが、本日現在、東京周辺拠点は非常に混み合っている模様です。

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 そういった意味では、あるコストの制約の中で超絶コンディションを生みだそうとする時、いまや経年したマセラティ3200GTは、もはや「デ・トマソ期マセラティ」よりもそのハードルが高くなってしまったと云っても過言ではないと思います。

 まずはとりあえず安いのを押さえておいて、あとからチョコチョコ治していけばいいと考えている方には、大変申し訳ありませんが未来永劫「超絶車完成の日」は訪れそうにもありません。同じマセラティ車でも思い切って他の車種(例えば、より高年式なるがゆえに信頼性が期待できる「クーペカンビオコルサ」とか、「当店の造った222やギブリ」)で超絶車を目指された方が断じて良いと思います。

 見た目(外装・内装)のある程度大きな瑕疵や、少々のトラブルには一切動ずることが無く、一回の故障あたり50万円の請求書がやってきても微動だにせず、それが同じ年に3回4回と続いて年間を通じほとんど修理工場に入場しっぱなしでも「オールOK!」であるといった「深い懐」を御持ちの方だけが、「安い現状販売車購入レース(笑)」の出場資格者です。このマセラティ3200GTに限らず、旧くて安いイタリア製高級車というのはすべてそういったものです。前にこのブログで書きました、シロウト時代のワタシ自身の体験談(ワタシ自身が出場資格者:笑)をいまだ御読みになっていない方はこちらからイッてみてください(三部作になってます)。

 ・・・あとは自らの御判断におまかせいたします。

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20120208152012020816     ・・・あれっ?コレ「マセラティ3200GTの買い方」って表題だったんですよね(笑)。なんだか、ウシロ向きの解説ばかりになってしまった様で申しわけありません。しかしながら、ふるくからの当店ホームページ読者の方々には御理解頂けると思いますが、「マイクロ・デポ黎明期」における、「デ・トマソビトルボ」の立ち位置に「3200GT」がようやく乗っかったってだけのコトです。

 しかしながら、「デ・トマソ期マセラティ」が「マイナートラブルの集積」により、一般的に「乗れないクルマ・買ってはイケないクルマ」と初めから結論付けられてしまったのとは対照的に「フェラーリ期マセラティ」では、初めの数年はまあまあのコンディションを維持しつつ、「ダマしダマし」でもイケるから距離が延びるけど、ある時期が到来すると「(コスト的にも実用的にも、そして見た目にも)致命的な瑕疵」が大きく出て手放さざるを得なくなるといった違いがあります。ですから市場に出てくるクルマが年式や走行距離の割にアレている様に見えるのです(エヴォ系クアトロポルテも同じ状況です)。そして、それをそのままの状態で売ろうと思うから「張り値(店頭販売現状価格)」はいきおい安くせざるを得なくなります。この日本という国においては「絶対価格の安さ」がすべからく「免罪符」になってしまうので、その慣習を最大限に活用するためです(それを揶揄した「安物買いの銭失い」という言葉も古くからある一方で、「良心的な価格」と云う称号が、もはや総体的に安くみえる物には何にでも使われていますよね。もちろん誤用ですけど。)。しかしながら、「良質なものと、そうでないものの価格差は、それらの車輛個体差よりはるかに小さなものでしかない」と、ここではワタシの経験上の結論を申しあげておくに留めます。平たく云い直せば「最初にあと30万円出せれば、後の100万円に相当するアドバンテージを初めに得る」という中古旧車購入の鉄則とも云える部分に着目してくださいというコトです。

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 フェラーリ車そのものの場合はほとんど日常使用されていないので距離が伸びません。また、雨天時も使用されることはほとんどなく、ほぼ必ず屋根付きシャッター付きの堅固なガレージにおいて大事に保管されます。一方の3200GTは、同時期フェラーリ社の製造理念をそのままに生み出されてきているわけですが、それがマセラティのエンブレムを持つだけで、日本での過酷で日常的な一般使用条件に晒されます。日本独特のマセラティの使われ方、飼われ方は、フェラーリ社にとってもマセラティ社にとっても、いわば「未踏の領域」なのです。

20120208062012020808_2  「旧いイタリア車を如何にしてリーズナブルな実用車へと造り変えていくか」、「その旧さに甘えることなく如何に美しさを維持させていくか」、それらへの回答を一つ一つ提示していくのも、これからのマイクロ・デポの使命であると認識しています。どなたか心あるお客さん方、ワタシたちと手を携えつつ、最後のマセラティ製エンジンを持つ「究極のビトルボグランツーリスモ」、マセラティ3200GTに乗りませんか・・・とびきり芳醇なひとときのために。 

 皆さんのご購入に関する御相談を御受けいたします。どうぞ御来店・御電話を。

2012年2月 7日 (火)

やっぱマセラティって、今でもそうなのね・・・

 今日は帰宅しますと、ヨメが些か興奮した様子で、「ねーねー、さっきCS(ナショナルジオグラフィックチャンネル)でマセラティの工場内部の組立工程を説明する番組やってたわよー!」と申しますので、中途から録画したというその番組を早速見てみました。

 いやー、前に「ボロネーゼ」さんの工場探訪記を当ブログでご紹介させていただきましたが、そのハナシ通りにモノ凄くて、ワタシなどは「大笑い」。持ってるヒトは見たら泣くぞ(って云うか、やっぱ泣笑いすべきか)。

 番組は「マセラティグランカブリオ」の生産工程を一工程ずつ丁寧に見せてくれるもので、本当に勉強になります。コレはこのブログを毎日読んでいるような方々にとって興味の尽きぬものだと思われます。

 残念ながら、本日は「第17工程」からの視聴に留まりましたので、すべてをご紹介するものではありませんが、印象に残ったシーンのアレコレ。

 ステアリング周りのパドルシフト部分の組立、ステアリングのエアバッグ配線やその取り付けに従事するのは、耳からどデカイピアスを下げ、手首にはじゃらじゃらとブレスレットを装用し、おまけに指中に指輪をはめてる「中年のおばはん」。まずはここで大笑い。日本の神経質なユーザーにはとても見せられません(笑)。

 重役曰く「一工程あたり37分(なかなかハヤいでしょといった風に)」。ワタシが20年以上ムカシ、トヨタの外注としてハイラックスの組立をやってた日野自動車の重役(故人)に直接伺ったハナシでは、当時で「一工程42秒」であると仰ってました。ついでにトヨタでのスターレット組立は30秒程度だとも聞かされました。マセラティ工場、あれだけお膳立てが整ってれば、ワタシらなら10分(ってコトはサスガに無いか:笑)。

 「ボロネーゼ」さんからのウワサに聞いてはいたボディの最終艤装工程、ホントにスゴくて大爆笑。ボンネットのチリは金具を直接ハンマーでスッパたいての微調整、ワタシらがよく使う手法。ドアのチリは強引に人力でもって「くいっ、くいっ」っとドアにぶら下がる要領でチカラを加えて調整、これもガンディーニクアトロポルテのドアでワタシ達はよくやってる(笑)。・・・正しかったんだ!このアプローチ法(嬉)。だってそうするしか無いんだモン最後は(笑)。ボンネットのチリ合わせ係のお兄さんはそれでも気に入らないらしく、やおら、折角組み立てたエンジンルーム前方の樹脂カバーをはずし、左フロントフェンダーのインナーパネルへの固定ネジを緩めたのち・・・どうしたと思います?平たくて長い薄板を手にした彼はそれをエンジンルームに突っ込み、テコの要領で無理やりフロントフェンダーパネルを外側へと数ミリ押し出しやがりました!

 その後も如何にマセラティ社が真面目に高級車造りに取り組んでいるかといったハナシは延々と続きます。「厳重にセキュリティチェックされている最終オーバルコーステストでは、完成車を299.7Km/hで走らせる(すべての新車をそうしているかの如くに)」と宣うにいたっては噴飯モノであります。普通、常識的にいってこれから販売する新車を300Km/hもの速度でいちいち走らすかー?ここの映像だけがグランツーリズモであるところが「真偽のカギ」であるように思うのはワタシだけではありますまい。

 そこから帰ってくると、ボディの最終磨き工程の映像なんですが、コレがまたスゴい。係のアンちゃんは片手で「ぴゅーーーーー」とクアトロポルテのトランクを磨いてました。

 最後には、最終審議エリア(看板には”DELIBERA FINALE”とある)にマセラティ社員以外の人間(第三者と称しているが・・・)を集めて「ダメ出し」をさせているという映像が・・・。

 とにかく、マセラティを少しでも知る者にとっては面白さ抜群です。ワタシが常日頃より訴えてる「マセラティのモノ造りの凄さ(よくも、あしきも)」が現代においても連綿と受け継がれているのは嬉ばしいばかりでした。 

 ちなみに、スカパーやケーブルテレビの視聴契約をしている方々は、今月だけでも「ナショナルジオグラフィックチャンネル」を見られるようにしておくのをぜひオススメいたします。マセラティの工場探訪は、2月16日(木)の27時(ということは、2月17日(金)のAM3:00)から再放送予定に入っている模様ですし、類似の番組として、「フェラーリ版」「ランボルギーニ版」その他、BMW、アウディなどもあるようです。すべてこれからでも間に合います。クルマ好きは見逃せませんよ!

 それにしても「マセラティ社」・・・、あー、久しぶりにハラ抱えて笑ったわい。

 

2012年2月 6日 (月)

SWBビトルボマセラティはスパイダーが源流

 んもー、寒い!週の初めから、そぼ降る雨に打たれつつの作業に従事する一日でした。そのような中ではありますが、連日皆さんから頂戴しているたくさんの「暖かいコメント」にお応えするべく、今日も気前よく(笑)「ビトルボ話」でイッてみましょうね。

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 「マセラティビトルボ」のデザインの源流にあるのは、エクステリア、インテリアともに「クアトロポルテⅢ(ジウジアーロの手によるデザインとされています)」であることは、だれの目にも明らかではありますが、写真で見た時のイメージが現車と著しく違ってしまうところまで似てしまっている(要はフォトジェニックじゃない)のは、専門屋としてはヒジョーにコマったことです(笑)。ホントにカッチョいいですから、デ・トマソ期のモデルも先入観を捨てて見に来てくれるといいんだけどなー(ライフルグレーの430とか:笑)。

 まずは、ビトルボ系マセラティ全体にハナシを広げますと、ボディパッケージから考えるプラットフォームの違いとして、

①:オリジナルタイプ(すべてのビトルボクーペ、すべての222系、すべてのギブリⅡ)

②:ロングホイールベースタイプ(すべてのビトルボ425、すべての228、すべての430)③:ロングホイールベース亜種(すべてのクアトロポルテⅣ:それぞれに細かい相違はもちろんある)

④:ショートホイールベースタイプ(すべてのビトルボスパイダー、すべてのスパイダーザガート、カリフ、シャマル)

⑤:3200GT以降のフェラーリ期2ドアクーペ用(もちろんビトルボ系車は3200GTのみ)

といった感じに大雑把な分類が可能だと思います。以上は「モノコックにそれぞれ互換性が完全にある」といったことを論じているのではありませんから、そこは早合点しないでください(例えば、スパイダーザガートとカリフのリアシート周りのボディ骨格パネルはまったく異なり、スパイダーには左右方向を補強する骨格がありません→だから、スパイダーには不自然な位置にリアシートの簡易背もたれのフリをしてる骨格がアト付けでネジ止めされているんです)。

 今日はその中でも④のショートホイールベースタイプのボディを中心に、軽くお話をいたしましょうね。

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 「カリフ」はスパイダーザガートに全鋼製のハードトップを載っけて、そのまま溶接しちゃったような(というか、外皮はホントにそうだと・・・:笑)2ドアクーペボディ。本来、ザガートが、ビトルボのホイールベースを詰めて、オープントップ化しようとした時に、各部の剛性不足を何とかするために施した「補強工作」の数々は、クローズドのカリフやシャマルにそのまま受け継がれています。パッと見た目で分かる特徴は、フロントストラットタワーの補強部材の溶接による追加取付や、フロントフェンダーアウターパネルのアーチ最後端部の折り返しシロが深くて切りっぱなしになっているところなど(シャマルではエアロでうまく隠れる)です。

 シャマルも含めて、このあたりのショートホイールベースビトルボは、「スペシャリテ」としての車格を与えられているとともに、極少量生産のボディ製造を、通常モデルの製造を請け負う工場とは違うところにおそらくは外注していたと思われ、それが「カロッツェリア ザガートそのもの」であるかどうかの真偽の程は明らかではないものの、それらのモデルに共通する、いくつかの特徴的なボディ工作技法やフィニッシュは「将来的な研究対象」として面白いテーマと云えましょう。

 ショートホイールベース車はそれぞれの写真に示しました、「A」部のクォーターウエストラインが独特です。

 スパイダーのボディラインに基本を措く「カリフ」「シャマル」の2車は同じモティーフのウエストラインを描いていることが御理解頂けると思います。Aピラーの立ち上がり角度、左右ドアのインナー&アウターパネルも基本的造作は同じです(些細な相違により互換性があるとは云い難いのではありますが)。

 また、デ・トマソ期ビトルボマセラティに共通の特徴である「Aピラーの付け根が継ぎ目無くシームレスに見える工作」を「B」でそれぞれの写真内に示しておきました。

 デザイン上の特徴「B」は「歴代マセラティロードカー」に於ける「隠しモティーフ」とも云えるもので、ここがまる見えになってしまう222や430までのデ・トマソ期車では、ものすごく手間の掛かった手法でそれを従来通りに達成しているのがわかります。

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 Aピラーの根元接合処理を隠すのと、ルーフの雨どいは残しておきたいとの二つの願いは、天才ガンディーニによってこのシャマルにおいて試されております。左右ルーフサイドからAピラー根元にかけての極太ルーフガーニッシュがそれにあたります。

 いまだ、シャマルにおいては手工業的な工作を必要とする「FRP製」ガーニッシュを全面接着によりボディに固定するといった「通常ありえない(笑泣)」方法論で臨んでおりましたが、「ギブリⅣ」にこの理念を本採用するにあたっては、ルーフガーニッシュをプレスによる全鋼板製とし、室内側からの数か所のネジ止めでしっかりと位置決め、締結が出来得る構造に改変しています。

 また、シャマルだけに、デザイン上「些か不自然な感じで」装着されている、ガンメタ色の「Bピラー&ルーフガーニッシュ」はルーフを後半部(ドアエンド線をルーフにむかって延長したあたり)で「ブッた切って繋いである」のを隠すための「名案(?)」であると思われます。シャマルやカリフのクォーターインナーパネルはホントに222のを切って繋いであるように見えるから、いよいよ「手造り感」満点です(まっ、普通のヒトは見ないで済みますが:笑)。

 ちなみに大きく膨らんだブリスターフェンダー部も全鋼製であり、インナーパネルとの間には広大な容積の空間が見た目そのままに存在します(よって、「漢のクルマ」らしく全幅の広さはまったく室内の有効寸法に寄与しておりません:キッパリ!→強いて云えばトランクルーム右側のフェンダー内スペースに、むりやりバッテリーと車載ジャッキを搭載するというアイデアを着想した・・・ギブリⅣに生かされてる→でも重量配分的にはどうよ?左側にはなんも入って無いし:笑)。

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 一方、こちらは、一昨日の222SE。レギュラーホイールベース車です。このタイプは、本来極端な「尻下がり」のサイドフォルムであるのが特徴でありましたが、最終形態のSE、SR、4vにおいてははリアに大型のスポイラーを背負うことにより、真横から見た目のイメージは「アタマからオシリまで一直線」のウエッジラインになっています。ギブリⅡにおいてこのリアスポイラー側面頂部の線をそのままトランク上面側線として「イタダイて」しまっているわけですね(ホントはSR後期以降のスポイラーになるとサイドフォルムがより一層ギブリⅡのトランク上面ラインに近似しています)。まっ、しかしどの車型もそれぞれに凝った造りで見る者を飽きさせません。どれもそれぞれにカッチョ良く見えてしまうのは「親の欲目(アホ:笑)」なのでしょうか。

 ちなみにガンディーニは「クアトロポルテⅣ」において、より究極的な「Aピラーレス(に見える)」デザインにも(万難を排して:笑:このハナシはいつか「228」に絡めて別枠で詳しくヤリましょう)チャレンジしています。また、3200GTにおいては、ジウジアーロが、またまた完全なる「Aピラーシームレス接合(に見える)」を強いるデザインに戻してしまっています。やっぱ、コダワッてるとしか云いようがありません。このあたりがイタリアン少量生産車の面目躍如といったところですね。

 といったところで、今日はここまで(あー、ツカれたわー:笑)。

2012年2月 4日 (土)

さすがに立春、ちょっと暖か。

 昨日の「節分」に続いては、一夜明けて「立春」の今日。早朝はさすがに寒かったけれど、それでも先週、今週の「氷点下激寒(げきざむ:笑)」に比べれば、なんのなんのといった感じで、日向にいればポカポカと、むしろ暖かさを感じるくらいでした。一方、陽のあたらないところ(デポ場内)はやっぱり寒いままでしたけどね(笑)。

 そんな中、先日エンジンが回ったマセラティ222SEの最終仕上げ中の「チラ見せ写真(笑)」を撮りましたのでご覧ください。

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 エンジンがせっかくきれいに組み上がりましたからね、ボディの方も負けない様に頑張らないとイケません。

 ビトルボ系マセラティのボディでは、やはり派手さとモダーンさを融合させた「ガンディーニルック車」がボディデザイン面では今でも高い人気を維持していますが、「アンドレアーニさん」の四角いヤツらも「ビシっと」仕上げると、それはそれは美しいオブジェになります。

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 予算を無理して中途半端なコンディションのガンディーニ車を購入するよりも、こうしてキチンと仕上げて造ったデ・トマソ期マセラティは非常に高い趣味性を満足させるクルマであり、初エントリー車としてはこちらを嗜んでいる方がまずはシアワセだと思います(そう断言しているのは、後にも先にもマイクロ・デポだけだと思いますが:笑)。ここ二週間ほど、そういったガンディーニ車を御持ちの方々からの御相談の御電話や御来店が非常に多くて、少々どころかかなり心をイタめております。買う前に相談してくれればいいのに・・・(後の祭りみたいなハナシばっかりなんだよなあ:泣笑)。弊社は「マセラティの」専門店ですが、厳選に厳選を重ねた仕入れしかいたしません。無いものはお探しいたしますので、まずは「買う前に」ひと声掛けるとともに御来店くださいね。それだけで、予備軍の方々は「100万円以上のコスト」と「6ヶ月分以上の時間の浪費」を防ぐことが出来ます(コレは本当です)。あまたあるマセラティ車の中でも「車種の選定」そのものを間違えているヒトが多いというのも悩ましいところです。もっと、お客さんのニーズにマッチしたクルマをセレクトしてあげないと、と思う事しきりです。御電話などで、「それは(コスト的に)無理ですよ」とワタシどもがスパッと(あえて冷淡ともとれる口調で)申しあげているので、ハラを立てたお客さんもきっといらっしゃるとは思いますが、顔も知らない御相手のためにあえて悪役を買って出ているのだと御理解頂きたいのです。「売りっぱなし」の商売はしたくありませんから。

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 マセラティの真の実力や魅力を堪能する前に予算も御本人の気力も尽きちゃうのでは元も子もありませんからね。マセラティは、何よりも「ホスピタリティー」を重視したクルマ。オーナーの従順なシモベとなり、傅くように魅力を振り撒いてくれるのが、本来の姿であり、役目であろうと考えています。そこまで持っていくには充分なコストと助走時間がどうしても不可欠です。況や他所で200万前後で売ってる3200GTはどうか?と聞かれても、御答えの返し様もありません。このあたり、ビトルボマセラティ車の「最新バイヤーズガイド」でもそろそろ書かなきゃまずいかな(ホームページの新企画もしばらく出て無いし:笑)、と考えているところではありますよ。

 ともあれ、完成間近の222SE。待ち侘びるオーナー様は「デ・トマソ期マセラティ」、何とこれで3台目なんですよ。でも、「いつかは・・・・」なんですよね?(笑)。マセラティを愛するオーナー様方と、その専門店の理想的な関係がここにあります。弊社顧客の皆様にはいよいよ感謝の誠を捧げつつ、匍匐前進を続けます。あなたの「いつかは・・・」って何でしょね(笑)。

2012年2月 3日 (金)

福はウチ(笑)

 「オニはそとー、福はうちー、パラッ、パラッ、パラッ、パラッ、マメのおとー、オニはー、サッサとにげてゆくー」・・・っていつまで歌ってるんだオレ(って、ワンコーラス結局歌い切ってるぢゃん:笑)。

 というわけで、今日は節分ですね。最近では近所への気兼もあって「豆撒き」もなかなか思い切り出来なくなってしまいました。そのせいもあってか、関西方面の節分風習である「恵方巻」、いわゆる「まるかぶり」というのが東京でもポピュラーな節分の夜のキメ事になって久しいものです。今年の恵方は「北北西の壬」(このサイト、自分の家に居ながらにして方角調べるのに便利ですが、ちょっと重いみたい・・・というよりも、アクセス集中してサーバがダウンしてるっぽいので、「方角図」が出ない場合は何回か「最新の情報に更新」タブを開いて押してみたりしてチャレンジしてください。「壬の方角」は北北西のちょっと右の方)だそうですよ。

 ウチのアパートの場合だと・・・あぁ、「マメタン君」の置いてある自転車置場の方ね、今晩帰って早速「もぐもぐ」してみたいと思います。豆まきの方はどーしよーかなー、アパート住まいだとやっぱりちょっと豪快には撒き散らしにくい。あ、でも今日出掛ける時に玄関口に「節分豆」が用意してあったわ。こうなったら、ちゃんとヤリましょう!豆まきも。

 ここんところの日本(ばかりか世界中)はオニばかり。勢いよくマメを叩きつけ、この際、オニは宇宙の彼方まで追い出してしまいましょうね。だからと云って「気に入らない上司」や「取引先担当者」を思い浮かべちゃダメよ(笑)。

 一方で今年こそは「福はウチ」とイキたいモノですね。家の中の方へもいっぱい撒いとこ。

 皆さんも楽しい節分の夜をお過ごしください!

2012年2月 2日 (木)

凍てつく寒さの中で考えた

 こう、毎日毎日寒い日が続きますと、本当に全身にコタえてまいりますが、皆さんは如何でしょうか。今日などの練馬は、一日中が「ー2℃~5℃」といった気温帯、さしものワタシたちにとっても屋外作業は凍みますよー。・・・3人とも、「ヨダレ」やら「ハナ水」やら「ナミダ」やら「血」やら、そりゃーもーいろんなモノが、もう勝手にいろんなところから出て(尾籠なハナシですいませんね:笑泣)きてしまって、もはや格好なんかつけてる場合じゃあリません。斯くもカッチョ悪い外車屋は他にはありますまい(って、イバってどーする:笑)。・・・この間も、フードを目深に被って作業してたらウチの外注業者さん(しかも複数名)から「ホーム○ス」さんと間違えられたものです(嗚呼ショック:笑)。実際、ヨメからは「ホンモノより本物らしい」と、よくおホメの言葉を頂戴していますし。

 でもね、それだからこそ温かい「夕餉」も楽しみになると云うものです。ワタシの場合、カネは無いけど帰る家はいっぱいあるし(笑)。若い頃は、よせばいいのに真冬の真夜中に寒風をついてオートバイに打ちまたがり、練馬から第三京浜の保土ヶ谷PAまで意味も目的も無く走り続け、エリア内のうどん屋でひと啜り。それでまた練馬に戻るなんて無茶もやってました。今思うと、若さゆえの「ヤケ」もちょっぴり入ってたかなとは思いますけど、こういうのが「粋」なんだと強がり云って。その中途の過程では「ツライこと山積」であるのが分かっちゃいるのに「雪山登山」したり、「フルマラソン」に参加したり、「南極探検」に行ったりというのも、事後(達成時)に待つ「お花畑」を夢見ての行動なのでしょう。ワタシにはそこまでイケる根性も気合いもきっと無いけど、その気持ちは些かならず分かるような気がする。

 段々と世の中が豊かさを増して、生まれた時からなんでも身の回りにあるのがあたりまえ、といった生活に慣れ親しんでいると、ちょっとした「シアワセ」を見逃しちゃうようになってしまいます。不自由さを乗り越えて知る、自由や健康の喜びは一層大きい。

 夕方になり、もはや寒い上にパーツクリーナーが気化熱をも奪うため、冷え切って感覚の無くなった右手指先で「コキコキ」とマセラティのアンサマフラーを磨き続けます。地べたに這いつくばった視界に飛び込んでくるのは徐々に復元してくる「クロームの輝き」。アタマの中、半分は「うぉー!寒みーよー、イテーよー(笑泣)」と思いつつも、一方、目で見てる風景の方は眼福だったりするわけです。

 真夏は真夏で(と書きつつ「夏」、懐かしいっすねぇー:笑)、40℃の茹だるような暑さを一日乗り越えれば冷たいビールが待っている、といったところがまたタマらないワケですよね。真冬の今はと云えば・・・鍋でアツ燗ですか、やっぱり(笑)。

 されど、如何に心頭滅却しようとも、自らを鼓舞しようとも、我らは凡人。やっぱ、暑いモノは暑いし、寒いモノは寒い!だからついつい分かっていても「寒みーよ!」と連発してしまう。口に出して唱えることにより、カラダの方は、自動的に防御反応を高めるという学説もあるらしいし、この際だから、大きな声で元気よく「寒ーい!!」を連発しつつ、事後の楽しみを迎えるコトにいたしましょう。

・・・それにしても、ホントに今日は寒かった(まただ。防御反応発動:笑)。皆さんもご自愛くださいね。今日も駄文で失礼しました。

 

2012年2月 1日 (水)

夢への手ごたえ

 今日も相変わらず寒かったですね。そんなわけで、いささか「ヌルい」ハナシでも如何かと思いまして・・・。

 先週の日曜日(1月22日)に割引券をもらっていたので、「Always三丁目の夕日’64」という話題作の映画を見てきました。一昨年の正月休みに観た「仮面ライダーW(どーしてソレか?:笑)」以来2年ぶりの観劇(?)といった感じです。このシリーズは6年ぶりの3作目で、いよいよ3DCGを駆使した昭和30年代の街並み再現映像がスゴイことになってるという。・・・だけどワタシは「3D」が苦手。20年ほどムカシ、東京「ねずみ」ランド(浦安の:笑)に生涯一度だけ行った折、マイケルジャクソン主演の3D映画見て気分がおかしくなり、医務室に運ばれてしまったという輝かしい実績もあるくらいです。きっと三半規管がおかしいのでしょうね。で、今回の映画もあえて「2D版」のほうを選んでみました。

 原作マンガの「三丁目の夕日」の方は、確かに懐かしネタ満載なんだけど、絵柄のデフォルメ(人物などはほぼ2頭身~3等身)がキツくて、クルマや家電品の描写もやはり物足りない感じ。まあ、ほのぼのとした味わいと、いささかダークな結末で勝負といったマンガだとワタシは捉えており、初めての実写映画化であった一作目の公開時には、正直なところさしたる興味もありませんでした。

 で、たまたま6年前の二作目公開直前にやってた、日テレの「金曜ロードショー」で見た一作目で、その造り込みとディティールの細かさに驚愕し、コレは襟を正して見なければと考えを改めたものです。

 時代をテーマにした映像作品には「その時代のクルマ」は欠かせない小道具(大道具?)ですが、邦画(やテレビドラマ)の場合、ワタシなどは見ていてイライラするほど適当に集められたモノであるコトが多くて、そんなシーン一発で見る気力が失せてしまうものです。ところが、この「Alwaysシリーズ」では、そんなクルマ考証が隅々まで行きとどいていて、本当に清々しいんです。それもビミョーな時系列の違いまで再現されているところが凄い。

 一作目(BGM出ます)と二作目は昭和33年が舞台。そして今回の三作目では昭和39年(1964年)、東京オリンピックの年が舞台です。CG合成で精密に描かれた街(コレも街頭看板の隅々まで考証が行き届いて、2作目の日本橋周辺など実景としか思えません)の中を走る実写のクルマたちといい、主人公の家族が営む家「鈴木オート(整備工場)」の土間に鎮座する修理車輛といい、全国から良質の動態保存車を集めまくって撮っただけのコトはあり、国産旧車マニアの方々は大喜びだと思います。

 例えば、この手の映像作品に欠かせない「スバル360」にしても、昭和33年時にはいわゆる「出目金(量産試作型:小さくてピョコンと出っ張ったヘッドライトが特徴)」がきちんと起用されており、一方39年の描写では、中期以降のセミ奥目タイプがセレクトされているといった按配。三作目では、鈴木オートに「ホープスター」の三輪トラックが置かれており、ここも普通ならマツダかダイハツのメジャーなものを置いて雰囲気を出せばいいところなのでしょうが、制作陣のイジョーなこだわりが感じられます(とはいえ、一作目のダイハツBeeになると、いくらなんでもヤリ過ぎ:笑)。

 肝心の映画の中身なんですが、端的に云って「ほのぼの・人情・お涙ちょうだい・お約束の笑いどころ」といった感じで、コアな映画マニアには面白くないものだそうです。ワタシは、前述のように生涯に映画館で見た映画をすべて諳んじることが出来てしまうほどの「寡視聴者(ってコトバは無いけど:笑)」なので、この三作目をとしまえんのシネコンまでわざわざ地下鉄に乗って観にいったコトにも大いに満足しています。二時間ちょっともある大作ですが、ぜんぜん眠くなりません。ひとつだけ不満があったのが、エンドロールの出し方とそのBGMのヒドさですね。まぁ、このあたりもタイアップなどの事情があるのでしょうけど、もっと余韻に浸れるように「その時代のヒット歌謡メドレー」でシメて頂きたかったなあー。

 まぁ、そのうち件の「金曜ロードショー枠」でテレビ上映されることが確実な映画ではありますが、「映画館の大画面」で観る価値は大いにあると感じました。まずは一作目、二作目を通しで順番に観てから三作目に臨まれるのをお奨めいたします。あー、久しぶりに大笑いして、大泣きさせられましたよ。実際の昭和30年代は必ずしもバラ色とばかりは云えない時代であったと思いますが、高度成長期の夢に向かって突き進む「その時代の良い部分だけを抽出した」SFとして楽しんでみるのもよろしいかと思います。疲れがトレますよ、きっと。

 それでは、また明日!

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