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2012年3月の27件の記事

2012年3月31日 (土)

「春の嵐」に耐えつつ、常連コメンテーターさん達を想う

 いやはや、本日お仕事されていた方々はホントに大変でしたね。一日中「春の嵐」が吹き荒れて、ワタシなども、もう午前中でチカラが尽きそうでした(トシあるね:笑)。

 今日は、しばらく取り上げておりませんでした、「当ブログのコメンテーター諸氏」へのワタシからのお礼をさせて頂きたいと思っております。当ブログ、昨3月30日号から遡って3月16日号のコメント欄までに登場して頂いた方々です(もちろん順不同ですヨ:笑)。

 まずは、本日ここで取り上げなかった方々も含めまして、当ブログコメンテーター諸氏におかれましては、常々このような「ニッチなブログ」をご覧になってくださるのみならず、有難い励ましのコメントを折に触れくださいます事、誠に有難く思っております。ワタシ、心からの感謝の気持ちを今さらながらに表明いたします(ペコリ)。

 続いては、各々方にパーソナルなワタシからのひとりごとを・・・

「おぐ」さん、ギブリスポーツ走行への道をこれからともに追求してまいりましょう!

「テツヲタ」さん、ハヤくGW来ないかな、と、待ち遠しいですね。ご家族の皆さんにもよろしく。

「Wさま」さん、毎日、湘南方面に手を合わせております(色々な意味で本当に感謝しております!)。

「練馬のH」さん、早速「新井薬師」、イッたんでしょー(やっぱ、地の利が一番だもんね:笑)。

「Hでございます」さん、GWには「爆笑南長崎話」をぜひ聞きたいです。もちろん奥様も御同伴でね。

「りゅたろう」さん、「日本人の品位劣化」に打ちひしがれるワタシを慰めてね(今日もツカれる電話ばっかし:笑泣)。

「湯河原のタレ目」さん、味のある軽妙洒脱なコメントには、いつも笑うばかりです。

「一松」さん、お子さんには目の保養(逆か?)になる「カトー」、今度またぜひどうぞ。

「しいなまちお・K」さん、また、椎名町界隈、伺わせてもらいます。今後ともよろしく願います。

「いつかはシャマル」さん、ワタシともども酒量が増えてる?「まっいっか。飲も!飲も!(笑)」

「Ryo」さん、愛車は無事到着。来週からちょっと「モンで」やろうかな(笑)。ちょっと待っててね。

「woodykida」さん、日々御期待に添えますように頑張っておりますよ。あと少し!ラストスパートです。

「nearco」さん、四角いビトルボの愛好家のカガミ。ともに「その道」追求いたしましょう。

「ぐりしるおっとー」さん、御目に掛るたびに、柔らかい「ホッ」とした空気を頂いてます、感謝!

「OS」さん、愛車「ミス・ユニバース号」、ようやく本領発揮となりそうです。御迷惑をお掛けいたしました。

「ボロネーゼ」さん、「一行コメント王(笑)」の異名を奉ります。ソレがまたいいのですよ。

「まおぴー」さん、いつも絶妙なタイミングでのひとこと、楽しいです。今後もよろしく。

「ひこうき班長」さん、「ざ・ナイス判断」のコメント(助け舟)有難う!ところで、GWはあるの? 

 以上です。

 ・・・ほとんどの方々は、そのハンドルネームと内容から類推してワタシに正体が「バレ」てしまっております(笑)が、もちろん御目に掛かったコトがおそらくは無い方も時にコメントをくださいます。この間、あるお客さんとおハナシしていて、「最近、コメント欄が同じヒトばっかりになってるような気がするケド気のせい?」と仰いますので、「いやー、そうでもないと思うんだけどなー」とはぐらかしましたが、こうやって半月分を拝見しただけでも、こんなに「豪華で多彩な執筆陣(笑)」ではありませんか。

 マセラティというキーワードを媒介として、こういった「ヒトの繋がり」が長く連続して保てるコトはかなり稀なコトであると感じております。これも一重に皆さま方の「お人柄」に助けられての賜物と、日々ナミダが出るほど嬉しく思っております。

 朝、パソコンを開き、暖かいコメントやメールを拝見した時の高揚感は何物にも代えがたいものです。「さぁ、ヤルぞ!」そんな日は一日中ウキウキと仕事が出来るモノです。

 想えば今日で、平日の連続更新も満14ヶ月となりました。皆さんもお忙しい時やお疲れの時の息抜きとして、今後もこの駄文を御活用頂けましたら望外の喜びです。

 それでは、また来週(来月)!

2012年3月30日 (金)

とりあえず、お掃除は大事。

 今日も、春何番だか分りませんが、「冷えた南風」というよくわからない風が一日中吹き荒れた東京は練馬です。おだやかな「春」よー、はやくきてちょー!というわけで、本日はハッキリ云って「小ネタ(笑泣)」。

 このブログや当店のホームページを作成するのに使っているパソコンは、一昨年の「ホームページ大リニューアル」を一気にハイスピードで推し進めるために導入したもので、かれこれ満2年の間、それはそれは猛烈に酷使されてきたモノです。

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 で、またまた今年も「某セキュリティソフト(N-トン)」が毎日のように有効期限切れを「警告!!」してくる時期になりました。

 昨年の更新では、ネット上のダウンロードで行う方式を採用いたしましたが、法人対応の場合にはコンビニに行って支払ったり、FAXで申込書を送ったりと結局メンドくさかったので、今年は近所の「コ○マ電機」に行って、CD-ROMで購入してまいりました。で、一昨日に早速インストールして、再起動させたのですが・・・うおー、ディスクドライブ(ハード)も、ついでにそのドライバ(ソフト)もなぜかブッ壊れた(笑)。「コンピューター」というメニューから、各ドライブの構成を見ても、ディスクドライブが無くなっちゃってる(パソコンがディスクドライブを認識してない)んです。で、せっかく買ってきたCDソフトも取り出せなくなっちゃって・・・結局分解してみるコトに。

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 筺体の左右カバーをはずす前には外観をだいたい掃除機やマイクロファイバークロスでキレイにしてみました。

 で、カバーを開けると「んごヴぇー(コトバになってない:笑)、きったねーなー、コレ」なコトになってました。内部を観察すると、4つの電動冷却ファンが常時作動しているようですね。さすがにコレ以上深くバラしていく気力は(時間も)無かったので、接点復活剤とマイクロファイバークロス、そしてティッシュペーパーでしつこい汚れと闘いました。年末の大掃除で、台所のレンジ周りとか換気扇のしつこい油汚れを落とすのがあるでしょ、アレの極小版といった感じです。写真の中央奥のヤツはメインCPU冷却用と思いますが、裏側のフィルタープレートは完全にゴッテリと詰まってましたね。オーバーヒート寸前というヤツであります。

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 外装は時々拭き掃除や掃除機掛けくらいしてたのですが、内部はやっぱりスゴいことになってるものですね。

 丁寧に分解掃除をして、CDを強制排出させ再度組み上げた結果、 見事に復活を果たしました。原因はよくわかりません。

 我がアパートにも、コレとまったく同型機を装備しておりまして、万一のためのバックアップ機としておりますが(というわけでブログはアパートに帰ってからでも書けるわけです) 、購入時期は会社用より少し早かった(しかも購入後スグに初期トラブル発生でひと月入院歴あり)こともありますので、帰宅後スグにこちらも分解してみました。やっぱりスゴかったです(泣笑)。コレ見て良い子はマネしないでね(あくまで自己責任で:笑)。気のせいかどちらも調子が良くなったような気がする(あくまでも気のせいだと思うけど:笑)。

 マセラティとかフェラーリのエアコンコントローラー内部にも、このファン付けた方がいいような気がいたしました(小型で静かでとても良い:笑)けど、結構「風の抜け方向」とか考えるのは難しそうだにゃー。

 それでは、また明日!   

2012年3月29日 (木)

都営大江戸線の小さな小さな旅(その4)

 今日は、なんだかようやく「春」の訪れを感じさせる麗らかさ。光が丘公園の「桜」たちもツボミがほころんでまいりました。この週末あたり咲き始めないかなあ。ワタシの中でもほのかに期待は高まっております。

 アッ、久しぶりに書いておこ。このブログは「たこさんぽ」でも「たこちゃんの小さな春みぃーつけた!」でもありませんで、マセラティ専門店マイクロ・デポの「マセラティでイッてみよう!Part2」ですからね。・・・で、なんで内容がこうなっちゃうんだろうな、ワタシの場合。

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 「哲学堂公園」をあとにした「たこちゃんズ」。今度は西武新宿線の「新井薬師駅」周辺を目指します。

 大江戸線の落合南長崎駅で降りまして、その裏表を両方廻り、哲学堂ハイキングとここまで歩きっぱなしです。土支田のアパート出てから、通算どれくらい歩いたモノでありましょうかね。さすがに足も腰も疲れたわいな。

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 踏切からは遠くに「新井薬師駅」のホームが見えています。

 このあたり、これからの時期は桜の名所として、たいそうな数のお客さんで賑わうコトでしょう。例年、この「中野通り沿い」といい「薬師様」周辺といい、たいへんに混雑いたします。当日は桜がまだまだでしたので、いまだヒトもまばら。のんびりとぷらぷら歩けます。

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 この中野中心部に近い界隈でも、まだまだイイ味の出てる建造物が結構残っておりますね。

 路地を歩くと、周囲の植栽の木々が花をつけ始めたのに出くわしました。あー、ようやくツラい冬も終わりに近づいてきたなぁ、と実感しながら、新井薬師の商店街(薬師あいロード商店街)を目指します。

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 で、ようやく「今回の小さな旅」の本来の目的地に到着。

 ワタシの親友、T君の経営する「自動車趣味の店 ブックガレージ(BOOK GARAGE)」であります。特に自動車の本カタログに関しては、戦前の貴重なものから、歴代世界各国のクルマにいたるまで、その在庫量と品質、そしてリーズナブルプライスで古くからの「自動車趣味人(もちろんオートバイ野郎にも)」には広くその名を知られた業界最古参の老舗です。ここで詳しく御紹介しておきましょうね。

 自動車趣味の店 ブックガレージ(BOOK GARAGE)
 所在地:〒165-0026 中野区新井1-36-3
 営業時間:平日 正午~午後8時  日曜 午前11時~午後7時
 定休日:毎週木曜 第二水曜(夏期・年末年始に不定休有)
 電話&FAX番号:03-3387-5168

 「趣味のコレクションは足を使って行なうべし」という、自らも実践してきた信念が店主にあるため、流行りのネット通販などは現在でも行なっておりませんし、店舗の公式サイトもありません。よって、ネット検索を掛けるとまったく同名の後発店が引っかかりますが、「中野区新井のブックガレージ」だけが「本格的な古今東西クルマ関係の資料を扱うお店」でありますので、ここはお間違えの無き様にお願い申しあげます。

 あとねー、ワタシたち「たこちゃんズ」は都営大江戸線の落合南長崎駅からここまで歩いてきちゃったわけなんですが、普通の脚力の方は大江戸線の「中井駅」で降り、そこから途歩一分の西武新宿線「中井駅」で新宿線下り方向に乗り、「新井薬師駅」で下車してください。そこからだいたい「薬師様」の方向に歩いて約10分です。JR中野駅からもアーケード(中野サンモール・ブロードウェイ)を端から端まで歩く気概があれば途歩圏と云えます。ゆっくりで20分くらいかな。クルマの場合は中野通り沿いのパーキングメーターや近隣の100円パーキングに停めるのがいいでしょう。時間帯によっては、商店街の中にクルマが入れなくなっている場合がありますゆえ。

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 大きな看板は出しておりませんので、「薬師あいロード商店街」をボーっと歩いているだけでは、ここが”そういったスジのお店:笑”であることにはなかなか気づくコトが出来ません。

 近づいてガラスに目を凝らすと「あー、こういったコトなのね」と分かる仕掛け。洋邦を問わず旧いクルマたちにご興味のある方であれば、ぜひ一度足を運んでみるのをお奨めいたします。都心部や城南地区に大店舗を構え、メディア露出も多かった「このスジの”いわゆる大型有名店”」が次々と消滅していった中で、地味な立地ながら、いよいよ盛業中でありますところが嬉しいものです。

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 左は店主の店舗周辺行動用自転車(70年代のスズキ製に似せたレプリカをわざわざこしらえたモノ)。

 右は、良きビジネスパートナーでもある”お連れ合い”の愛車。コレを見ただけでも「地味ながら、タダものでは無い」御夫婦であるコトが分かります。こんな自転車、ドコで見つけたんだろうな、しかし。

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 店内に入ると、図書館と中古レコード屋とミニカー屋を足して三で割り、古道具屋のフレーバーを振りかけたような按配。古本屋然とした「ハタキを持ったオヤヂが迷惑そうにウロウロしている」というイメージは皆無の清潔で明るい店内。女性の方でも安心して入れますよ。可愛いポストカードでもお部屋のインテリアに如何でしょうかね。

 BGMには店主の趣味で常に「1960年代70年代の洋邦オールディーズ」が流れています(面倒くさいからFMラジオ垂れ流しの場合もあるそーですが:笑)。当日も盛業中で常にお客様が切れること無き状態でした(でも、平日はそーでも無いよ!とのコト)が、その方々が反対側の筋で座り込んでカタログを吟味している、そのスキを狙って、店内撮影を行なう事がようやく出来ました。

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 小さなショーケース内といい、引き出しの中といい、珍しい品々で溢れています。

 右側の写真は「旧い(そして価値のある)イタリア車のカタログ」コーナー。ちなみに当日には右の列の底を掘っていくと「ヴィンテージマセラティ各車」の本カタログがザクザクとありましたよ(”マセラティメキシコ”とかの本カタログが普通にある)!

 お忙しい方のためには、通販もやってます。でも、出来るコトなら直接この「自動車趣味の世界」独特の空気感を味わって頂きたいと思います。古今東西すべてのクルマ(商用車も含めて)やオートバイに極めて造詣の深い店主(なんと云いましても、このワタシ自身にとってもクルマ趣味の師匠なんですから、このヒトは)と語らうのも面白いですよ。もちろん木戸銭代わりになんか買ってやってくださいな。下のポストカードなんかシリーズで何枚でも欲しくなっちゃいますね。

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 国産車のも戦前の軍用車などの歴史的資料級のモノから色々と揃います。有名な自動車評論家の重鎮先生方は、自動車の歴史についての論述をする際に、必ずと云ってよいほどこの店の門を叩きます(モン、無いけど:笑)。

 また、近年、数々上梓されている、「懐かしの自動車カタログ」の画像を集めた豪華上製本は、そのほとんどがこの店と、その顧客様方が資料を提供し、それを撮影してつくられたものです。

 もちろん、こういった蒐集の世界では、「ある時にはあるけど、ひとたび無くなっちゃうと何年でも出てこない」といったケースがあり得ます。いつでも、歴史上に存在したすべての本カタログが在庫されているわけではありません。意中の品がある場合には、事前に必ず在庫をお問い合わせになってから行かれるのが賢明です。

 ここで逢ったが百年目、意中の品物が出てきましたら即買いが鉄則でありましょう(そこは、マセラティの実物買う場合もそーなんだけどなぁ・・・泣笑)。

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 さあ、御本人たちの同意を得て、「ネット上、初お目見え」の店主「高橋御夫妻」をご紹介いたしましょうね。

 「T君」こと、高橋真司君とは「中学校の入学式」からのつきあいがあります。入学式の朝一番に登校したワタシは、校庭に張り出されたクラス割りの表が命ずるままに、教室に入ると窓から校庭をボーっと眺めておりました。やおら「ぽんぽん」と右の肩を叩かれ、驚いて振り向くワタシに「彼」が発した第一声は「ねーねー、しとろえんにーしーぶいって知ってる?」であったのです(笑)。スーパーカーブームのハシリの頃にシトロエン。後に彼が回想して云うには、「だってさー、みんな何を今さらランボルギーニだのフェラーリだのと騒いでるんだろうね」といった感じで周囲の友達が「お子様」に見えていた(5才の頃から、この世界ドップリなもんで)とのコトです。この出会いが無ければ、おそらくスーパーカーブームも「三日ばしか」のようにワタシの中を通り過ぎ、現在の岡本三兄弟の趣味趣向のベクトルもそれぞれ大きくズレ、当然の帰結としてマイクロ・デポもあり得なかったコトでありましょう。そーいった意味では、まぁ、偉大な人物ではあります(ホメすぎちゃったかな:笑)。

 店内が混雑してまいりましたので、彼への「誕生日プレゼント(事前に彼自身からリクエストのあった懐かしのCM映像集)」をそそくさと渡してオモテに出ることといたしました。「またねー!!」

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 あー、ここも数年前までは営業していたハズの本屋さんだった建物ですが、ヤメちゃったようですね。

 この木戸の味わい深さは素晴らしいモノです。玄関エンブレム類もとても良いアクセントになっております。よく見ると上部のガラス窓枠などは規格化されていないようで、非常に凝った造りなのですね。

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 商店街を歩き、今度は中野駅方面を目指しますが、いかにしても、ハラが減りました。ふと見れば、佇まいは確かに旧いんだけど、前に来た時には無かったよなといった感じの不思議なお蕎麦屋さんが。「浅見製麺所」というお店です。「製麺所」の響きに「スパルタン」なこだわりを感じさせますが・・・コワいオヤヂのやってる店だったらどーしよ。

 心配そうに覗きこむワタシたちを朗らかなお兄さんが「どうぞ、中へ!」と誘いますので、導かれるままに入ってみました。午後三時くらいでしたので、10席ほどの店内には、ワタシたち以外に3人だけ。

 昼なお薄暗い店内は、選び抜かれたであろう旧い調度品の数々と相まって独特の雰囲気です。ウマそうな香りが漂います。かき揚げそばと揚げ餅そば(どちらも別盛り、粗塩がついてる)、そして清酒「菊水」を注文してみました。・・・いやー、美味かったです。オリジナルだという「七味」も絶品。そば湯も付いてくるのですが、「全飲み」しました。コレすべてで2120円はたいへん満足でした。剣豪小説の大家で食通としても知られた故池波正太郎先生のグルメ紀行文の世界を、わずか三分の一のコストで達成出来ます(笑)。新井薬師探訪の折にはぜひどうぞ。

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 新井の商店群を抜けますと「早稲田通り」へと出ますが、そのまま横断して前方に進んで行きますと、その名も「昭和新道」というムカシっぽい風情の路地に入ります。久しぶりに来たけど、結構新しい飲食店も出来て賑わっておりました。

 深く入れば入るほど、些かならず下卑たムードが濃厚に漂いますので、暗くなると女性の一人歩きには向いてないかも知れません。地元の方々にとってはコワいものでは無いのでしょうけれど、ワタシこういった繁華街に慣れてないもので。

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 外観に、「昭和40年代初頭の未来図」を感じさせる「中野ブロードウェイセンター」です。完成当初は、大型商業施設と高層マンションのカップリングで大いに時代の最先端を行くスポットだったらしいです。有名芸能人や著名人、文化人も数多く住んでいたと聞きます。元東京都知事、国会議員で、タレント放送作家であった今は亡き「あの方」もここにお住まいであったそうです。ムカシ新井薬師の蕎麦屋でムスメさんともども出くわしたコトがありましたっけ。

 それが今では「オタクの巣(笑)」。有名な「Mだらけ」を中心に、いまや4階までのほとんどの店舗が「そのスジの方(そればっかし:笑)」用のテナントになってしまいました。ところどころにムカシながらの定食屋さんとか洋食屋さんなどがそのまま挟み込まれて位置しているので、「異次元空間」に迷い込んだ感覚に襲われます。地下に降りれば有名なソフトクリーム屋さん周辺には立錐の余地無くヒトが群れています。

 ワタシも数年前に買いそびれた「食玩」を探してさまよってみたのですが、どこにそういったお店、そういったコーナーがあるのかさえ、シロウトのワタシにはもはや分からなくなってしまいました(商品構成の細分化が行きわたり過ぎての結果だと思う)。サブカルチャー好きなワタシではありますが、なんだかそんなモノまで「金・かね・カネ」といった感じに見えてくると悲しくなって「精力減退(笑)」してしまいそう。「アキハバラ」もこんななのかなぁー。かれこれ15年以上はアシを踏み入れて無いけれど。・・・さぁ、帰ろ!

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 JR中野駅から一駅の「東中野」で降り、都営大江戸線に乗り換えて、ようやく「光が丘駅」に戻ってきました。

 あぁ、朝の8時半に土支田のアパートを出て、光が丘で散髪→練馬で墓参り→銀だこで精進落とし→トキワ荘界隈周遊→ホビーセンターカトー見学→哲学堂公園探索→新井薬師のブックガレージでプレゼント贈呈→蕎麦屋で一杯→中野ブロードウェイ全館ひやかし→土支田アパートに帰還といった強行軍でした。5時半過ぎにアパートにたどりつき、ヨメの携帯電話に装備されている「万歩計」を見て仰天!18キロも歩いちゃったんですか「たこちゃんズ」。やはり「バカ夫婦」としか云いようがありません。おそまつ!

 明日から、別のネタ行きます。引き続きよろしく!

                        

2012年3月28日 (水)

都営大江戸線の小さな小さな旅(その3)

 いやー、今日は一日中一点のクモりも無く晴れるものとばかり思っておりましたら、午後3時あたりから急激に風向きも変り、天候がアヤしくなってまいりまして、そんなところに新しい入荷車、マセラティクアトロポルテ(ガンディーニ)最初期型(グリジオヴァルカーノ/黒革、4万キロ)が陸送されて到着いたしました。それを子細にチェックしておりましたところ、一瞬、目の前が黄砂に包まれたと思いきや、「ゴー」という風音とともに、強烈な風の渦の中に巻き込まれました。急いで店舗のシャッターを降ろし、目の前の「紳士服のア○キ」さんに目をやると、玄関前のワゴンハンガーやら、ノボリやらがことごとく「ブッ飛んで」ひっくり返ってました。恐るべし練馬、ここはテキサスかっちゅーの!

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 そんな本日の荒れ模様とは対照的な「のどかな日曜日」のおハナシの続きであります。

 あぁ、ココも周囲をクルマで通るコトは頻繁でありましたが、こうして歩いてやってきて、中に入るのは「高校生」の頃以来かも知れません。知るヒトぞ知る「中野区立 哲学堂公園」です。ムカーシから気にはなってたんですけどね。何がどう、「哲学」なのでしょうかね。興味津々ではあります。

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 園内に入ると、まずは普通に親水公園の趣き。公園内には桜の樹がたくさん植わっておりましたから、これからの季節はいよいよ楽しみな景観を呈するコトでありましょう。

 いまだ、桜はコレっぽっちも咲いてはおりませんでしたけど、気のハヤい御家族がブルーシート敷いてハイキング気分を味わっておられました。まだシーズン前でお客さんが少ないですから、天気の良い日にはこういった楽しみ方もいいものですね。

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 あっ、さっそく「哲学」がはじまっちゃたみたいです(笑)。歩きすすめるうちに目に留まる公園内の様々な造作には、いちいち「聞いたコトがあるよな無いよな」哲学用語が散りばめられております。

 なんか、のっけから難しそうな文言が並んでおります。

 「概念橋」「唯心庭」「鬼燈」・・・ホントはもっともっとあるのですが、クドいのでこのあたりの写真はコレくらいにしておきましょうね。

 知性(痴性なら自信あるけど:笑)も教養も低ーいワタシたち夫婦、果してこの「おカタい」公園の「ノリ」についてイケるのでありましょうか。それでも頑張って片っ端から写真におさめ、ひとつひとつの文言に目を通して勉強してまいります。

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 「看板」を見ると、ココを上に登っていくと悟りでもヒラけそうな雰囲気のコトが書いてありますので、いそいそとノボってまいりましょう。

 ・・・結構キツいわ、この階段。いやいや、登り切れば何かが見えてくるかもしれませんので、頑張るコトといたしました。さらにヨチヨチと登る(もう結構、足はイタい)。

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 丘上まで登りきると、こんどは沢山の楼閣が点在して建っております。

 例によって、そのひとつひとつには、哲学上の謂われがなぞらえてあるようです。「館宙宇:かんちゅーう?」・・・「宇宙館」ですよね(笑)、やっぱり。明治時代の哲人が考えるコトは、やはり気宇壮大です。発想がデカい、ちまちましてない。なにせ、小さな山を一個丸ごと、こんな「哲学テーマパーク」にしてしまっているんですからねー。

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 洋邦中、古今を問わず、「哲学者」を顕彰するこの施設。

 看板見てアタマの中では「ソッ・ソッ・ソークラテスかプラトンかぁー、ニッ・ニッ・ニーチェかサルトルかぁー(コレ知ってるヒト、そーとートシあるね:笑:最近コレばっかし)」と野坂昭如センセーがお謡いになるのでコマります。思えば「哲学書」って手にしたコト一度も無いかも。ギョエテ(ゲーテ)とか大江健三郎とか、普通は読むよな、高校生くらいの頃には。「ライダースクラブ」と「別冊モーターサイクリスト」「オートバイ」これがその頃の愛読書(あとねー、週刊プレイボーイと平凡パンチ、ポパイにホットドッグプレスも・・・:恥笑)。

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 このプレートに浮き出ている人物こそ、この施設を造り上げた「井上円了」博士であります。東京帝国大学文学部哲学科に初めての1年生として入学された方だそうです。

 また長い歴史を誇る「東洋大学」の建学者(同校公式サイト)でもあるそうです。そーなのか、「哲学」というのは森羅万象の根底に横たわっているであろう根本理念を追求するというコトだったんですね(何を今さら:笑泣)。そのムカシ「走る哲学」と云われた「メルセデスベンツ」は「走る根本理念」というわけですか(なんか、この理解は違ってるような気もするケド:泣)。思えば、ワタシには「人生哲学」って無いよなー。今からでも遅くはないかな、何か哲学書でも読んでみようかしら。ひとりぢゃつまんないから皆さんもどう(笑)?

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 コレは、印・中・邦の六人の賢人を祀った楼閣です。

 なにか横浜中華街を髣髴とさせる建造物ですね。そんな不埒なコト考えてたらハラが減ってきたように思う。周囲の木々の緑とのコントラストはなかなかイイ感じではありましたよ。

 ふと見れば、まだまだ上があるようなので、頑張って歩きましょ!

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 というわけで、またまた急な階段をさらなる「高み」を目指してえっちらおっちらと登ります。

 頂上にあるのは、神道・儒教・仏教のそれぞれの分野において最も著作物が多いとされる「三碩学」を祀った「祠(ほこら)?」っぽい建物。「平田篤胤」「林羅山」「釈擬然」の「レリーフ(石額)」が掲げられております。「碩学」の「石額」ってひょっとしてシャレ?井上先生(笑)。

 お三人とも、ワタシなどは「名前はどこかで聞いたコトあるけどなー」くらいの認識でした。「パネルクイズアタック25」で仮に25枚のパネルをすべて我がモノにしていても、「(司会の故児玉清さん)さて、その人物の名は?」「(ワタシ)うー、分かりません!」「んー、残念!!また次回もパリがあなたを待っております。ごきげんよう、さようならー(ぱねるくいずぅー”アタック!”にじゅうごー。チャチャチャ-ン:女性コーラスのエンドテーマで締め:笑)」・・・となるコト必定の御三方ですよね(いかにも出題されそうでしょ:笑)。

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 「あー、デッカイ硯、発見!」・・・というわけで「硯塚(すずりづか:そのまんま:笑)」です。井上博士が全国行脚して哲学の講演旅行をされていた折には常に硯をお持ちになっていたというのに因み、この石碑が建てられております。

 子供の頃、墨を磨るのって苦手だったな。なかなか濃いモノにならなくて、いつも正月明けに学校へ持っていくワタシの書き初めは「薄墨仕様」でして、まるで「お香典」の表書きみたいになってました(笑)。

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 「哲・哲・哲・・・」と無数に並ぶ瓦を持つ「哲理門(妖怪門)」。なんで一名妖怪門?水木しげる先生の解説をお伺いしたいモノです。

 なんか、「物質」と「精神」がどーたら、こーたらとワタシたちには理解不能な文言が並んでおります。こういった難しいモノを平易な言葉で解説してくれる「社会人教室」的なモノがあったら、今さらではありますが聴講生として講義を聞いてみたいモノではあります。何か新しい「人生の指針」となるような発見があるかもしれません。

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 はい、「哲学堂」ですよ、の看板。

 今回の写真には収めませんでしたが、この公園のすぐ近所にインドの「タージマハル」に似た大きな建物がそびえているんですけど、それのコトを「哲学堂」というのだと今まで勘違いしていました。この丘の上全体が「哲学堂」だったのですね。

 コレを機会に、そのうち井上円了先生の著作でも読んでみようと思います。

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 「世間の多元的見解」と「哲学の一元的見解」の境界がこの門だそうです。確かに一歩表に出れば、なんか浮世の風が吹いてくるような感じがいたします。

 あー、なんか「哲学」って、やっぱツカれるわー。ワタシら夫婦には荷が重かった(笑)かも。

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 そのスグとなりにある「地味」な裏口風なヤツが「常識門」とされています。

 

 やっぱ、常識は打ち破るべきもののような気がいたしますが。今の世の中で「常識」とされている物事は、なんだかみんな「カネ」の臭いがいたしますね。なんとかならんものでしょうか、この地球(笑泣)。

 シアワセは結構そのあたりにコロがっているかもしれませんのにねぇー。

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 で、下界に出ますと、いきなり嘗ての「煩悩世界」が目の前に。30年前は、キャピキャピ女子大生がスコートをヒラヒラしていたコトと思われますが、そのヒトたちの「30年後」と思われる方々しか、もはやコート上にはおりません。

 若者よ、いったいドコへいったやら。テニスくらい本物の世界でヤレよなー。

 ・・・といったところで、明日に続く(えー、まだ続くの?)のであった。

 

2012年3月27日 (火)

都営大江戸線の小さな小さな旅(その2)

 今日は、ちょっと風がツメたかったけれど、スカッとした青空ではあった東京練馬。納車を待つクルマたちも青空を恋しそうにしておりますので頑張らなきゃね(笑)。といったところで、本日も昨日の続きから・・・。

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 目白通りの旧道まで出まして、新青梅街道の入り口目指しテクテクと歩きます。

 こういった表通りにも「昭和の香り」が芳醇とただよう商店建物が結構現存しているのは嬉しい限りです。

 「いつもここクルマで通る時に気になってる”まねきねこ地蔵”さんに寄ってみたい」とヨメが申しますので、新青梅街道に入ってしばらく進むと・・・ホントに立ってるよ「まねきねこ」さんが。

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 「自性院(じしょういん)」というのが、ここの正式な名称であることが分かりました。

 ちょうど、法事が終わったばかりなのか、ご家族の集合スナップ写真撮影を御僧侶自らがカメラマン役になって行なっておられ、パチパチと撮影されている風景に出くわしました。皆さんニコニコとしていて、とても良い雰囲気であったのが印象的でした。

 そんな、ちょっと暖かくなってきた春に相応しい風景を拝見しながら奥へと進みますと、美しく整えられた御堂や御庭には目を見張るばかりです。緑豊かなとても風情のあるお寺さんでした。

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 その「自性院」の裏手の朱門を潜り抜けて、外界へと戻ります。

 もう一度新青梅街道に出て、さらに西へと歩を進めていきます。ワタシたちが想定している「次の目的地」は、もうこのあたりのハズなのですが・・・目の前の交番で尋ねると「あぁ、すぐこの坂を下っていった左側ですヨ」と即答してくれました。なんというか、聞かれ慣れてる感じ。このスポットに訪れる人の多さを偲ばせます。

 左側を見ながら歩くと、右の写真にある物件を発見。元はスナックかなんかだったんでしょうかね、玄関アーチの朽ち具合がたいへん良い按配です(笑)。にしても、写真では伝わりにくいかもしれませんが、ひどく傾斜のついたスロープに面した、この半地下みたいな配置では、大雨の時など水が入り放題だったのではなかろうかと、余計な心配をしてしまいます。どうやって排水してたのでありましょうかね。

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 じゃーん!「落合南長崎駅」で降りた本来の目的地、それはココ。

 鉄道模型界の一方の総本山とも云うべき「ホビーセンターカトー」であります。「KATO」ブランドの鉄道模型メーカーとして知られる、株式会社関水金属の本社ショールームです。「赤い電車が目印!」とはあったのですが、赤い電車もこんなにフツーの住宅街の中にあるんじゃ、おいそれと目がイキませんよね。そう云えば15年以上前にも、ここにクルマで来たコトがあったのですが、その時も「散々迷ってようやくたどり着いた」のだというのをココまで来て思い出しました。

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 この看板、中身をよく読まなければホテルのラウンジ案内みたいなムードですよね。

 中でコーヒーでも飲みながら鉄道模型レイアウトでも眺められそうな雰囲気ですが、残念ながら、そういった喫茶施設はありません。そういうのを設置すれば奥様同伴での来店もあろうかというところですが、マイクロ・デポもヒトの事は云えませんね(笑)。ワタシのヨメ以外は全員が男性(しかーも、オヤヂ:笑)であることは云うまでもありません。

 ただひたすらに「鉄道模型趣味」に没頭して頂くといった趣きの、「お好きな方々(笑)」向けショールームなのです。

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 来客者駐車場にも、いかにも「お好きな」感じのクルマが。

 あぁ、クルマが生きてる、と云う感じのする「ヨタ8」君です。むりやりレストアした感が無いところがいい。当時の空気が伝わってくる逸品です。とは云いますものの、程度はかなり良い部類だと御見受けいたしました。なんとも云えない良いムードの「ひとケタ5ナンバー」車でしたが、ヨタ8オーナーさんは「鉄」の世界にもさぞや造詣が深いのでしょうね。おそらくは結構いいお歳(笑)なのではないかと。

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 なんだか次々と来店客がここに吸い込まれていきます。「オヤヂ専用掃除機」のようです。

 ワタシたち(合計98才)も吸い込まれようとしております。そもそも今回の訪問はヨメからのリクエストでありまして・・・「なんかさー、大江戸線に乗ると、落合南長崎駅に着くたびに”ホビーセンターカトーへはこちらが便利です”ってアナウンスされるから、とっても行かなきゃならないような気がするの。というわけで、久しぶりに行ってみたいのよねー」と申しますので、なんとなく「落合南長崎」で降りてみたのでした。改札を出て、行き先表示板を見ると、「トキワ荘界隈の案内」が目に入り、駅を中心に考えるとこちら「カトー」とは反対側の地域を散策していたというのが昨日の顛末であったのです。さあ、階段を上がって「禁断の園」にいざ参らん!

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 で、いきなり「西武池袋線(ムカシの)」。高架レイアウトにして「練馬高野台駅を作ろう!」とキャプションが貼ってありました。 地方在住の方々には、いったい何のコトやらわかりますまい(笑)。

 マイクロ・デポのある練馬区旭町・土支田界隈から、「笹目通り」を南進しますと、谷原交差点の先あたりからは「環状8号線」に自動的に合流いたします。かつてその先には、この「西武池袋線」とさらにその南の「西武新宿線:井荻駅」脇の二つの「開かずの踏切」というイヤな名物(笑)がありまして、近年、悲願の高架化達成とともに池袋線の環8交差部に新たに出来たのが「練馬高野台駅」というわけなのであります。

 右の写真が新製品なの?懐かしい特急だな、東海圏以西の方々にとっては。

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 鉄道模型趣味はハマると「たいへんそう(笑)」なので、ワタシも「ずーっとガマン」をしてまいりました。

 なんか最近はコンパクトな市街地レイアウトで遊べるように「路面電車用」軌道というのまで発売されてしまっております。意外と高価なので、我がココロにも歯止めが掛け易いというのが、嬉しい様な、残念な様な・・・。

 かといって、小さなレイアウト上をオーバル型に敷道して「車輛がグルグル回るだけ」というのは、実際にはありえない状態なので、せめて「真っすぐに行ったり来たり」を再現したいもの。子供の頃の「プラレール」遊び時代から、この指向性があったもので、当時のプラレールには「行ったり来たり方向を転換するギミック」が無かったせいもあり(たぶん現在のプラレール製品にはこの仕掛けが付いてるモノがあるのでは?)、この世界にハマらずに来れました。

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 さすがは「総本山」だけあって、場内のレイアウトにはこのように大規模なモノもあります。車両の先頭にカメラを搭載してテレビモニターに繋ぐと「運転手気分」を画面上で味わえるという「カメラカーに仕立てるための」モジュールセット(3万円ほどする)が目を引きました。

 あと、この辺りは「プラレール」にもあると思うのですが、列車が近づくと「警報音」を「かんかんかんかん」とか「るんるんるんるん」とか鳴らしつつ遮断機が開閉する踏切(ちゃんとランプも右左交互に明滅する:笑)にもいたく感銘を受けました。警報音は数種類の中から選べるそうで、色々な私鉄の芸風にあわせたレイアウトが楽しめるようになっているのでしょう。確かに「音」は、気分を高めるのに重要な要素ですよね。それにしても、「オトナコドモ」ってしょうがないなぁー(なまじ技術とカネがあるだけに始末に負えないですな:笑)。

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 本社ショールームの裏手に回り、なにげなく路地の奥を見ますと、どうも、ここが本来の本社工場である様子。

 昔ながらの町工場感が絶妙な風味を醸し出しております。認可工場の表示板を拝見すると・・・あぁ、やっぱり「加藤さん」なんですね。

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 「カトー」周辺をあとにして歩き始めますと、またまた美しく木々の生い茂る神社がありました。

 こちらは伊勢神宮の流れをくむ神社であると書いてあったと参拝したヨメが云ってましたので、そうなのでしょう。 ワタシは些か歩き疲れて道路で坐り込んでましたが(笑)。 ・・・まだずいぶん先は長そうだなー。

 続きは、また明日!                           

2012年3月26日 (月)

都営大江戸線の小さな小さな旅(その1)

 なかなか本格的な春の到来とはまいりませんが、昨日、本日と天気はまあまあであった東京の城北地区。昨日曜日には昨年暮れ以来伸ばし放題であった頭髪をなんとかせねばと、いつもの散髪屋(1000円カット)に行きました。あー、せいせいした!といったところで、日曜にせっかく外出をしたもので、ついでに当ブログで毎度御馴染の親友T君のところに誕生日プレゼントでも持っていってやろうと思い立ち光が丘駅から「都営大江戸線」に乗車いたしました。

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 ヨメが「只今、春のワンデーパスが絶賛発売中!」というので、コレを購入しました。500円で一日中全都営地下鉄が乗り放題のキップです。

 画像にもありますように、都電、都バス、日暮里⇔舎人(にっぽり・とねり)ライナーには御利用になれませんから御注意を。

 いざ、光が丘駅をあとにいたします。座席の向かいに「黒い服を着て花束を持った人々」が座り、「ウー、オレもなんか忘れてるような気がする」・・・と、ハタと思い出したのは、「あー、御彼岸だよ」。墓参りに行かなきゃ(笑)。というわけで、急遽「練馬」で下車。

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 この西武池袋線練馬駅の北口にはワタシが小さい頃、今はもう無くなってしまった「カネボウ」の工場がありました。

 同工場が無くなったあとも相当長い期間、広場として放置されておりましたが、25年ほど前からでしょうかね、こんな感じに徐々に整備され、今では「練馬文化センター」とこの「平成つつじ公園」が整然とあります。

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 初めに当地に建った「練馬文化センター」。ふと掲示板を見れば懐かしいポップスピアニスト「リチャード・クレイダーマン」が来ると云う。この公会堂が出来た頃、コノ人は日本で人気絶頂でしたが、なんとこんな練馬の公会堂でコンサートをやるというので家族していそいそと観覧したことがあります。30年ほど前のハナシです。なんで「観賞で無くて観覧」なのかと云うと、場内のPA悪すぎで、音が悪く、家でレコード聞いてた方が良かったからです(泣)。バンドもナマが入って無かったしな。今行くとどんなサウンドで聞かせてくれるのでありましょうか。妙に値段が安いのが気になるところではありますけれど。

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 御参りの帰りに公園の外周を散策すると、そこかしこに「春」が訪れているのがわかりました。

 自然は、やはりナメてはイケません。微妙な気温の差だとか分かるのだろなー。今年は梅も桜もまだまだと思っておりましたが、ここ数日少々暖かくなったせいか、梅だのボケだのが咲き始めたようです。

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 練馬駅のターミナルビルも数年前の高架化工事ですっかり様変わりしました。

 ご覧のように「銀だこ」だってちゃんとあるんですから(エヘン!:笑)。たこ焼きで精進落としといたしましょう。

 最近では色々と種類がありますが、やはりプレーンなやつが一番美味いように思いますね。

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 コンビニで発泡酒も仕入れて、いざ「プシュッ!」。

 「んっ、んんっ、んんんっ・・・ぷハァー」んー、コタえられませんな。「オレは今、モーレツに生きてる」って感じがしました。たこ焼き+発泡酒はジャンクフードとは申せ、最高のコンビネーションのひとつでありませう。あー、蘇生したぁー。

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 再開発され切っていないところもこの練馬駅北口の魅力ですが、こちらのバスターミナル上のスペースは、青い空を見ながら弁当喰ったりするのも最高の気分です。えっ?そんなの恥ずかしいって?ダレも見ちゃいませんよ、ワタシのことなんか。あくまで堂々としてりゃいいんですよ、堂々と(居直ってる:笑)。外メシ(飲み:笑)の楽しさはコタえられませんね。

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 大江戸線でとりあえず歩を先にすすめます。んで、降りた駅は「落合南長崎駅」。フツー降りないよな、こんなトコ。

 ちょうど「目白通り」が新道と旧道に分岐するところ、新青梅街道と交差する位置にあります。いつもクルマでは爆走してピューっと通り過ぎてしまうところなので、外に上がると「こんなだったけ?」という感覚に捉われます。駅の周辺も新しいテナントビルが建ち、景観はワタシの知るものとまったく違ったモノになっていました。

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 駅を降りたら案内表示に「トキワ荘のヒーローたち」という碑が立ってる公園があるという。「トキワ荘」と云えば、手塚治虫先生とその弟子たちの梁山泊としてあまりにも有名なスポット。「あー、ココがそうなのね」というわけで元来の予定にはまったくありませんでしたが、所縁の地を訪ねる旅に一部変更(いつもこう:笑)するコトに急遽いたしました。

 良く分からないながら、ぶらぶらキョロキョロと歩いていると、見知らぬバーサンがどこからともなくあらわれて、「ドコかお探しですかぁー」とヨメに話しかけております。「あのー、南長崎花咲公園っていうのにイキたいんですけどぉー」「あぁ、それならね・・・」といった調子で丁寧に教えてくれたので、こちらも深々とアタマを下げて先を急ぎます。

 このあたりは「昭和の香りがそのまんま冷凍保存」されているようなごくごく普通の住宅街ですから、あたりを伺う怪しげな夫婦と映ったのかもしれませんね(笑)。しかしながら、こういったシチュエーションもきっと多かろうと思います。おそらく全国から聖地巡礼の旅というコトで当地を訪れる方々は多いでしょうから。

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 で、そのモニュメントがこちら。結構大きくて精巧なトキワ荘のオブジェが頭上を頂きます。

 実際、ワタシはマンガ家さんのことはあまり詳しく知りませんし、子供の頃にもあまり読んではいなかった(ホントなんですよ!)もので、マンガに関しては「一般教養レベル」の知識しか持ち合わせておりません。

 ところが、全国を旅する過程で、東京都青梅市にある「青梅赤塚不二夫会館」や、兵庫県宝塚市の「宝塚市立手塚治虫記念館(4回訪問:2回入場)」、宮城県石巻市の「石ノ森萬画館(2回入場)」と同県登米市の「石ノ森章太郎ふるさと記念館」、世田谷区にある「財団法人長谷川町子美術館」等などの著名マンガ家を顕彰する施設をついつい訪れてしまうコマったクセが治りません(コレはどー見ても、もはやマンガオタクの所業だよね:笑)。あー、この鈴木伸一さん(オバQに出てくるコイケさんのモデルだと云われている元マンガ家)が館長を務める「杉並アニメーションミュージアム」にも何度も行ったっけな。

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 みごとな「トキワ荘」のオブジェを各方向から撮影してみました。

 玄関の横に停めてあるラビットスクーターは、当時トキワ荘に居住こそしていなかったものの常連「通い組」であったという「つのだじろう(うしろの百太郎、空手バカ一代)」先生がいつもこうして駐車してたのを再現したモノだそうです。こういったところの芸の細やかさがサービス精神というものですね。

 それにしても、結構部屋の数が多い大型物件だったんですね、このトキワ荘。イメージしていたものよりはるかにリッパ。窓の数を数えると相当ありそう。

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 そんなギモンに答える如くに二階の見取り図が。

 はやり現在ならば「大規模なワンルームマンション」といった感じですね。

 ムカシは3畳が普通、4畳半はちょっとしたぜいたく、「ろくじょーま」ともなればアコガレであったコトでしょう。現在、普段のワタシは夫婦で8畳一間のアパート暮しですが、それなりに結構楽しんで生活しておりますよ。巨匠たちでもこのつましい暮しぶりであったコトを思えば有難いコトです。

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 左の写真の絵中では「どなたがどなた」かがお分かりになりますかね(わかるヒトは、そーとートシ&マニアあるね:笑)。鈴木伸一さんの絵だと思いますが、自画像(一番左のカメラマン役)はほんとに、まんまコイケさんです。

 「所縁の地マップ」が立ってましたので、概略をアタマに叩きこんで、これから商店街巡りをしてみるコトといたしましょう。

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 ・・・って、もう、商店街自体が「昭和」そのものだもんな。

 こんな、地下鉄で15分ほどのところに「鉱脈」を発見した思いです。

 キョロキョロしながら、見るもの見るモノ写真におさめずにはいられません。結構そのまま営業している(動態保存:笑)というのが見てとれるのも嬉しいばかりです。残念ながら日曜日のためかそのほとんどはシャッターを降ろしておりましたが。この写真の「○○マーケット」、間口に対する奥行きの深さがいかにも当時っぽくて特にタマりませんね。

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 そろそろノドが渇いたなあーと、いうところで酒屋さんを発見。

 寺田ヒロオ先生がその製法を考案されたという、焼酎とソーダーをブレンドして作る「チューダーあめ」というのと「チューハイ」を同時に手に入れました。

 固体と液体のガソリン(チューハイのことよ:笑)を補給しながら、なおも散策を続けます。

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 数々のマンガの巨匠が修業時代のハナシを書くに及んで必ず登場させるという、中華料理屋さんがココのお店だそうです。

 トキワ荘では、ここのラーメンが引越しそば替わりであったそう。いまや、立派なビルに変貌してしまいましたが、往時は味のある建物であったのでしょう。ある意味有名店なので、お客さんがたくさん来たものと思われます。時間が中途半端だったので伝説のラーメンを御相伴に預かるコトができませんでしたが。

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 さあ、左の写真ですが・・・ここ、いったいどこ?

 答え:トキワ荘の跡地であります。全然普通の会社の社屋になってますけど、オタクの人々が訪れるので近隣の人々はスッカリ慣れている様子です。もっとも、晴れた日曜の午前中から、こんな地味なところに喜んで来てるのはワタシたちだけですけどね(笑)。 

 一方、路地の向かいの街並みが右の写真。いまだ往時の雰囲気を残していると思われます。路地の先は味わい深い昭和の風景が続いていきます。

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 まるで、「三丁目の夕日」のセットであるかのような街並みがごくごく普通にあるのがこのあたりのスゴいところ。

 あー、朽ちかけた配電盤、何と云ういい感じのダシの出方(笑)よ。残念ながら現在は営業をしていない元文房具屋さんの脇を入ると、昭和タイムスリップは頂点に達します。右の写真、元はいったい何の建物だったんでしょうね。看板の残骸、脇に並ぶ掲示板の群れ・・・。

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 その玄関部分をクローズアップすると、懐かしい「玄関バッチ」の数々が見受けられます。

なんか旧い家に行くとこういったモノがやたらと貼ってあったんですよね。旧車にもあるでしょ、カッチョいい「エンブレム」の数々が。水道、電話、電気、N○K、靖国神社、日本赤十字会員・・・。

 

20120326452012032646_2 残念ながら、ペンキで塗りこめてあったり、風化したりしているので、拡大しても読みとるコトが出来ません。でも、どこかに残してほしいなこういう空気感は(江戸東京たてもの園とか)。街のそこかしこに「昭和」は香ります。

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 うぉー、「出たな?ショッカーの改造人間!(藤岡弘。の声で:笑)」。なんで、フツーにこんなクルマがガレージに置いてあるのでしょう。

 スズキフロンテのおそらくは1972年製あたりのモノ(音出ます、気を付けて)が何事も無かったかのように、鎮座しているのには、驚きを通り越してアキレました(笑)。全然マニアのものでは無いと思われます。現在のおぢーさんがまだ若い頃に買って、そのままずぅーっと持ってて、今でもそのまま持ってる(笑)。ただひたすらにフツー。だからこそスゴいのであります。もう一度「なぞの掲示板スペースを撮影して」いいかげんに次行こう。

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 次は赤塚不二夫先生が、そのムカシ、作業場(スタジオ)として借りていたという謂われのある「紫雲荘」というアパート。

 現存している当荘は、現在でも本当にマンガ家を志す若者のために開放(紫雲荘・活用プロジェクト)されているようです。この空気感も大器を熟成するには必要な空間でありましょう。ラーメン喰いながら、ね。

 追記(平成24年3月27日):当コメント欄にて「しいなまちお・K」さんよりご指摘&訂正依頼がありましたので、上記のように訂正させて頂きました。なにせ門外漢のブログなのでお許しください。トキワ荘プロジェクトは別のNPOだそうです。ご迷惑をお掛けいたしました。いずれにいたしましても、当ブログがご関係者の目にとまるとは嬉しい誤算(笑)でした。コメントを寄せて頂き有難うございました。

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 その紫雲荘の真向かいにある駐車場を跨ぐと、今どき珍しい「未舗装」の空間が出現いたします。路地の脇には「カラオケスナック」などが立ち並び、とっても昭和でイイ感じ。

 なんか向こうに看板が見えるのでとりあえず行ってみるコトにいたしましょう。

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 ・・・「子育地蔵尊」というところでした。ウチには子供がいないけど、とりあえず「みんな元気に・・・」とお参りしました。

 そのスグ横に聳え立つ「カベ」にいたく感銘を受けるワタシ(アタマがへん:笑)。この風格は一朝一夕には醸し出せません。そう思いません?(思いません→皆さんのお答え:泣笑)

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 あー、「キンギョ屋」さん。こんな看板が今どき見られるとは。

 

 駅の案内看板をチラっと見ただけで、南長崎界隈を探検するコトになりましたが、有意義で濃密な2時間でした。後髪を引かれつつも次に行かなきゃね。

 コレ、まだまだ続くんだけど、いい(笑)? それでは、また明日。

 

                        

2012年3月24日 (土)

またも、雨の土曜日

 またまた、そぼ降る雨で始まってしまった土曜日。もう、ここのところ梅雨みたいですね。濡らせないクルマばっかりだし、空を見上げては「うー」っと、思わず恨めしげな目つきになってしまいます(あぁ、イカん、イカん・・・0.2秒で前向きに:笑)。午前中は朝一番からお越しになったお客さんと商談。ハナシ込むうちに気が付けば13:30。もうこんな時間?

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 早いもので、もう継続車検を迎える「超絶ギブリカップ」が午後になり来臨。御打ち合わせをしてオーナーさんが御帰りになったあとは念入りに拭きあげておきました。

 残念なのはこのデジカメで撮影した写真。夕暮れ時に撮影したのですが、あの「ブルーフランス」独特の得体の知れない(笑)ブルーの深みがどのようにしても写真で再現出来ないのです。

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 ご覧の様に、撮る写真、撮る写真で色調がまったく違っちゃいます(ちなみに、ここの3枚の中に現車の色調を再現出来ているものは1枚もありません:笑泣)。一度ホンモノを見てみて欲しいモノだよなー。ほれぼれいたします。

 エンジンルームも納車時以上にコンディションを維持してくださっています。愛情の賜物でありましょう。もっとも、「もったいなくてカジュアルに乗れなくなった」とはオーナーさんの弁。まー、そう云わず、これからも「淡々と」乗ってあげてくださいな。

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 一方、リフトに上がるクアトロポルテはタイミングベルト交換を終え、現在インジェクションユニットをはずして整備続行中。

 この「三叉鉾」に相応しい仕上がりを目指して作業をしております。コンディションの良いマセラティは本当に目の保養になりますね。眼福、眼福。この喜びをもっと皆さんにお届けしたいなー。それには、もっとワタシの写真撮影の腕をあげなきゃね(カメラもダメかも)。

 それでは、また来週!      

2012年3月23日 (金)

マセラティ本社のサイトを久しぶりに観たら・・・

 昨日は、ワタシが思わず自らの「老い」をテーマにしてしまったところ、コメント欄がなんだか「加齢臭(爆笑)」漂う雰囲気になってしまい、御若い閲覧者の方々には、どーもすいませんでしたね。しかしながら、最近流行りの「アンチエイジング」って言葉には、どうにもこう、「通販系サプリメント屋さん」関係者の商売の香りが馥郁と(笑)いたしますので、「いつかはシャマル」さんが仰るように「老化に逆らうという発想は正しくない。老化の進行をいかにしてゆっくりとしたものにするかということを心がけ」つつ、「老いる事もまた喜びに変えて」生きるといった自然体がワタシには相応しいのかなと思ったりしています。

 ワタシたち人間と同様に、我らが青年期、壮年期のクルマたちの方もすっかり「老い」てまいりましたね。また残念ながら、国策によって「環境に優しくない」というレッテルまで貼られ、13年落ちより旧いクルマの納税証明書には「グリーン化 10%重課」と書かれ、より高額の自動車税まで徴収されております。「温故知新」という言葉は、そのうちこの国から無くなってしまうことでしょう。今日もさっきタバコを買いにコンビニへ歩いていく道すがら、「ミョーに程度の良いシトロエンCX」がすれ違い、キャビン内を見れば「老夫婦(失礼!)が仲良く」鎮座されておりました。純白のボディは雨露に濡れて眩いばかり。御夫婦とこのクルマがともに良いお年の召され方をしてきているのだなと思うと嬉しくなりました。

 ところで、旧いクルマを全損にしてしまった場合に御本人加入の自動車保険を使いますと原則的には保険会社が当該車輛を引き上げていってしまいます。こちらから「ソレ欲しいんだけど・・・」と云うと高いコト云われそうなので(笑)多くの場合は断腸の別れという感じになっちゃいますね。

 あー、また貴重なマセラティが一台無くなってしまうのだなと思うとココロもイタみます。ふと、現在のマセラティ本社公式サイトでは、ビトルボマセラティたちの製造台数を今ではどのように発表しているのかが気になってしまい、ものスゴく久しぶりに覗いてみました。

 このサイト、デザイン的体裁のための「java sprict」などによるギミックが多用されすぎているよう(タグソースを見ると確かにそうなってる)で、たいした画面でもない(写真の画質も良くない)のに、やけに重い(ページを読み込むのが遅い)のが、かなりの難点ではあります。

 ともあれ、「ビトルボ乗り」にとっては面白いネタも結構拾えますよ。たとえば、日本で云う「スパイダーザガート最終型(SR顔のヤツ)」はガンディーニ先生プロデュースとなっていますし(だからフロントフェンダーの「ZAGATO」エンブレムが無い)、「228」ではアンドレアーニ先生の名前が出てまいります。各種ギブリカップの詳細なる説明、オリジナルビトルボは前期(Ⅰ)・後期(Ⅱ)と区分があり、メーカー的見解では一定の線引きをしているらしいこと、430全種のトータル製造台数がワタシが従来認識していたものより遥かに少ないこと、222SEとSRは合わせて210台(えー、ムカシは確かSEが1134台でSR単独で210台とあったハズなのだが、内部資料が変ったのかしら)しか無い・・・等など、興味は尽きません。何しろ各ページがサクサク開かないし、トップページから、このコーナーまで辿りつくのも、「予めこのコーナーが絶対にあるはず」と強く信じて臨まなければ、メゲてしまいそうな深ーい階層まで掘らなければなりません(というわけで、以下にいきなり飛べるリンク貼って置きました)。

 ビトルボシリーズ、マセラティ本社も「ようやく認め始める」姿勢をあらわしてきました。モデル紹介の中にはアレッサンドロ・デ・トマソさんに関する記述もしっかりと出てきますし、「同種カテゴリーの中では比べるモノ無き高性能であり、カルトな(笑)マニア向けのモノとして、もうじき「クル」存在であろう」と(要旨抜粋&超意訳:笑)しています。

 本社公式サイト「ヘリテイジ」コーナー、お休みの日のヒマつぶしにご覧になってみては如何でしょうか(でも、御勤務先の高速サーバーパソコンの方が見やすかったりして:笑)?ビトルボ以前のマセラティロードカーを知ろうと云った方には入門編として最高の資料だと思います。同コーナー下部の車名検索窓右側の▲を押すと、車名がずるずると出てまいりますので、コレ使うのがが一番ヒキ易いです。年式検索は、我が国内の感覚と大きくズレてますから、いったん空欄にして「網」を掛けない方がよろしいかと思います。

 それにいたしましても、10年以上も前に原型を造った、弊社ホームページの車種別詳細解説コーナーは内容がスッカリ「老朽化」してますよね(笑泣)。その理由は「すべての車種を自らが撮影した写真で解説したい」と、主に著作権を侵すこと無きよう配慮してきたために、ネット上での拾い画像などを載せてこなかったからなんですよねー。だいぶん写真は溜まってまいりましたので、そろそろ重い腰をあげて(いやいや、0.2秒で前向きに:笑)全面的なリニューアルでもしていこうかな。それでも、当時はいまだ本格的ネット時代のアケボノであった時期。ビトルボ系マセラティの膨大で複雑な系譜を調べるのに「山ほどのカーグラ・カーマガ・日本国内向けの本カタログや価格表・現地本国仕様のカタログ・純正パーツリスト」等などをひとつひとつ調べつつ、現車の実際と比較しつつ書いていったものです。当時から自動車雑誌におけるマセラティ関係の記述は「子引き・孫引き」があたりまえで、出元の記事が間違ってると、延々と間違いが伝播していくといった感がありましたので、なんとか一石を投じるコトは叶わないかと頑張ったモノです(若かったし:笑)。

 インターネットの時代は情報がより一層錯綜いたします。これからもゆっくりとこのあたりの「ビトルボマセラティの真実」につきましては研究を進めてまいりたいと思っております。実際、メーカー提供の資料も、現車にあたると「んー?」ってことが多いんですから(笑)。

 それでは、また明日!

2012年3月22日 (木)

眼の性能に老いを感じるこの頃

 たいへん残念なコトに、最近あるお客さんが遭遇された「120%もらいジコ」の修理をすると仮定した場合(実際にはダメージがかなり深いので事実上修理は不可能なのですが・・・)の金額算定のため、早朝から一日中パーツリストとパソコンモニターを交互に「にらめっこ」して資料を作成(ウナるほどパーツ点数が多い)しておりましたら、午後になる頃には脳内がクラクラといたしました。階下に降りてソトの空気を吸い込むと、太陽の光が真っ白にみえます。あー、幻惑。

 ここ数年、ワタシの「老眼は」明らかにすすんでおりまして、ドアの内部に手を突っこんでリンク類をはずしたり調整したりする作業をする場合には、「もー、腕が2メートルくらいあればいいのに・・・」と嘆くコトしきり。もはや、そういった場合は「心眼」で見る。指先の触感に頼って作業をすすめ、出来たら「遠くから確認する(笑)」というプロセスが必要だったりします。実は当ブログに載せている作業中風景の写真は、後にパソコン上で拡大写真にして作業プロセスと仕上がり具合を確認するためのものであったりもしているのです。

 今日の夕方、千葉県在住の「Oさん(マセラティスパイダーザガート乗り・・・というか、一代男:失礼:笑)」がマイナートラブルのシュートのためにお見えになりまして、「この間のこのブログの記事で”0.2秒の法則”って云うのがあったじゃないですか。アレに非常に感銘を受けましてね、会社でも部下にその訓話をしたりしてるんですよ。朝、会社に出て自分のところに山ほど来ているメールを開くと、ホント見るのもいやになっちゃうようなハナシもいっぱい来てる。でも、そういう時は”0.2秒の法則”を思い出して「その案件もきっとうまく行くんだ」とポジティブシンキングするようにしています。日本人みんながポジティブな気持ちにならないとやっぱり国内の疲弊した状況は良くなっていかないと思うんですよね」なんて嬉しいお言葉を頂戴いたしました。ワタシの駄文が一流外資系企業の現場で「講話」になってるなんて、ちょっと申しわけない気持ちではありますが。 

 そのハナシをされて、大震災や原発復旧復興関係事案が一向に好転してこない昨今の国内事情や、相変わらずの(底辺における)景気低迷、我が身自身の老いを日々感じ、些か委縮しておりましたワタシの心も晴れやかになりました。お客さんは有難いものだなあ、ホントに(感謝!)。 

 いつまで五体満足でいられるかはわかりませんが、一日一日を最大限充実させて、全力匍匐前進でイクしかありません。もちろん、いつでも「ポジティブシンキング(0.2秒以内に:コレが意外と難しい!:笑)」でね。 

 皆さんもお試しあれ。それでは、また明日!

2012年3月21日 (水)

外套を羽織ったクアトロポルテ

 いやはや、今日の北風はホンに寒いのなんの!なーんか、ここのところ「三寒四温」ならぬ「六寒一温」といった感じですね。何にしても、本格的な春が待ち遠しいなあ。

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 というわけで、只今場内で絶賛整備中、北風を受けていかにも寒そうにしていたクアトロポルテ(Kさま号)にコートを着せてみました。ハーフコートだけどね(笑)。

 もちろん、ソレはほんの冗談で、コートの正体は整備時のボディ養生用カバー(純正品)なのです。体中のあちこちにはトライデントがおどります。

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 でもね、ガンディーニのクアトロポルテのためだけにわざわざ造られているモノなの(プレタポルテか?:笑)で、写真の様に各部には専用品ならではの「小ワザ」が効いております。

 厚手のキルティング生地はアップで見るとちょっと暖かそうでしょ。コレと御揃いのジャンパー(って云わないか、今では。ブルゾン?それともジャケット?)が思わず欲しいなと思ってしまいました。もちろんトライデント付を希望(もっと小さくていいけど:笑)。

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 タイミングベルトや各Vベルトをはずして整備中の同車を高くリフトアップした状態で裏側のあれやこれやを撮影いたしましたので、ご覧になってください。

 フロントバンパーの下部奥にはエンジンオイルクーラーが位置しています。前面を覆う防御ネットがメカメカしさを演出しております。このクルマは前期型V6ですが、エボ期になりますと、このあたりは設計変更されているもので、下からの見た目はずいぶんスッキリとしたもの(樹脂の大型アンダーカバーで覆われる)となります。

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 今度は後方下側より見上げてまいりましょう。

 後部底面で大きく目立つのはスペアタイヤの格納のための「出っ張り」です。写真でご説明しておりますように、ここはバッテリーの住処でもあります。 

 下周りにはサビを寄せ付けぬ様にチッピングガードを分厚く塗布してあります。また、エキゾーストパイプやキャタライザーカバーには耐熱塗装を施しました。キャタライザーはご覧のように左右3気筒ずつを担当するように構成されています。非常に低い位置にありますので、底を擦らぬよう注意したいモノですが、コスり跡の無いものの方が珍しいくらいです。       

 デファレンシャルギアボックスを取り囲むように頑強なリアサブフレームのケージが見えます。ギブリ最終期のものや、3200GTも基本的にはコレと同様の設計です。蜘蛛の足のように鋼管アームや配線、配管、ケーブル類がのたくって(笑)おります。

 クアトロポルテ君にも早く重いコートを脱がせてあげて、春を満喫してもらいたいモノですね。梅も咲いてないし、桜もまだだけど(笑)。

 それでは、また明日!

2012年3月20日 (火)

JAFをしゃぶり尽くすオンナ(笑)

 今日もたくさんのお客さんにご来店頂きまして、誠に有難うございます。朝からドタバタとご覧に入れるクルマの準備で忙しくしておりましたところ、今朝方、久しぶりに千葉の我が家に帰って行ったはずのヨメから電話がありまして・・・「なんかさー、コペンのエンジンが掛かんないのよね」と暗ーい声。「スターターは回るの?」「うーん、カタカタカタって音がする」「あー、ギリギリアウトだな、バッテリーが。はい、JAF呼んで!」「わかった、呼んでみる」

 やっぱ、国産車と云えども何カ月もエンジンを掛けないでいるとアガっちゃいますね、バッテリー。コペンは通常千葉の家に置きっぱなしなので、正月休み以来ほとんど数回ヨメが現地での買い物に使用した程度。JAFのロードサービスおぢさんに一旦ジャンピングしてもらい、エンジン掛けたら、5~10分程アイドリングさせた後、おぢさんがまだ居るうちにその場で一旦エンジンを停めて、再始動が可能かどうかを必ず確かめるようにと「指導」しておきましたが・・・。

 ・・・一時間後、「それがねー、これ面白いからブログに書いていいよ」とゲラゲラ笑いながら電話が掛かってきました。

 JAFのおぢさんには、ワタシが指導した通りに、エンジン一旦始動後の再始動試験をねだったそうです。「もう大丈夫でしょ」とおぢさんが仰るので、エンジン停めたら、いまだダメだったそうで。フト見ると、おぢさんの乗ってきたサービスカーは袖ヶ浦ナンバー。「御帰りは大網駅のほう通られますか?」と聞いたら「ああ、通りますよ」とすかさず仰るので「ぢゃ、大網駅の隣のジャスコで買い物するあいだ待っててもらえませんか?」とずーずーしく頼んでみたそうです(笑)。当然のように「否決!」←たりめー(笑)。

 「ぢゃ、ジャスコの駐車場まで(我が家から5Kmくらいある)エンジンの回転上げて走ってイケば、ある程度チャージすると思うので(ワタシからの事前の「入れ知恵」をそのまんま披露)、そこで一旦エンジン止めてみてダメだったらもう一度ジャンピングしてねというのでは、どーでしょ?」と可愛く云ってみたところ、こういう時は云ってみるモノですね、「それくらいなら、いいですよ」と快諾してくださったそうです。

 ジャスコで止めたら、再始動は叶ったそうで、そこでようやくお役御免となったJAFおぢさんは「また何かトラブったら呼んでくださいね。何度呼ばれてもタダですから」と力強く云うと、ニコニコと風のように去ってイキましたとさ。

 田舎のコトゆえ、ロードサービスは茂原と大多喜の間あたりのJAF提携工場から大網までやってきます。片道一時間は掛かるんですよね。だから、バッテリーアガりくらいでいちいち呼ぶのも悪い様な気がいたします。それにしても、「おばはんパワー」ってスゴイな(笑)。

2012年3月19日 (月)

レコードがCDになった頃

 ここのところ、ようやく雨があがったと思って喜んでいると、強い北風が吹き荒れる天候になってしまうので、まったくコマったちゃんではあります。ひと雨ごとに春は近付き、気温は段々と高くなってきてるんでしょうけどもね。季節の変わり目、皆さんもお体ご自愛ください。

 ところで、最近では、納車の時に「i-pod対応コネクターケーブルを付けたいので、USBが前面端子になってるオーディオを装着してください」とオプションを希望されるお客さんがほとんどになってしまいました。なるほど、最新版のカタログを見ますと、もはやCDやMDの1枚差し再生機能すら省かれた、「前面USB端子付、FM/AMチューナーのみ」という製品すらが存在してしまっています(しかもスゴく安い)。

 同世代人の方々には、わざわざ説明するのも憚られますが、いわゆる今の言葉で云う「音声(音楽)コンテンツ」というやつは、そのムカシは「レコード盤」「CD盤」として「レコード屋さん」とか「電気屋さん」というところで売られていました。今ではネット上での「ダウンロード販売」というカタチが一般的なのでしょうけれども、まぁ、味気無いと云えばトシ寄り扱いを受けますかね。

 そのようなコトを考えながら、昨日曜日にネット巡りをして遊んでおりましたところ、動画サイトの「YouTube」でこんなの発見しました。以下、下に行くほど「コア」な感じになっていきますのでご注意あれ(笑)。

'90-94 レコード・CD CM集vol.1

'87-89 レコード・CD CM集vol.2

'78-86 レコード・CD CM集vol.3

・・・なんというか、現在では「大御所」になってるニューミュージック系の方々、いわゆる「一発屋」さん達、A・B・C・D級(笑)アイドルの方々、ワタシですら聞いたコトもない「一発も無い」方から、「超重鎮クラス」まで幅広い演歌系のお歴々、一瞬の花火「イカ天(イカすバンド天国)出身バンド」の数々・・・。サラリーマン時代にカラオケスナックにて歌いまくった(笑)あの曲、この曲。

 こういった、レコードやCDなどの音盤系商品のテレビコマーシャルって、当時(今もなのか?)どういうわけか、ものすごい深夜とか、ものすごい早朝とかにヘビーローテーションされてたんですよね。「バブル絶頂期」に向かっていく頃のワタシは、まだまだ若くて「超夜型人間」でありました。というわけで「夜更かし(夜明かし:笑)テレビ視聴」が毎日の日課、このあたりのCM群は見た憶えのあるモノばかりで、著しく「ササリ」ました(笑)。まー、懐かしーコト!わざわざかくも見やすいように編集された動画管理者の方には頭が下がります。

 曲もさることながら、服装、メイク、クルマ、シチュエーション、決めポーズ、表情のつくり方等々に「時代性」を強く感じました。ぶっちゃけ、そのほとんどは現在の目で見ると「カッチョわるい(笑)」としか云いようが無いんです(特にバブル時代前夜のはヒデーな:笑泣)が、最先端の流行を追っかけ続けることが如何に無意味であるかというコトをあらためて認識いたしましたよ。「定番」って大事だよなー。

 ただし「アイドル系」はムカシの方のほうがグッときますね、おぢさんとしては。やはり、多少クズれてても「天然美」には敵わないというコトで・・・。他の「おぢさん方」は如何お考えですか(笑)?

 本日は「小ネタ」でホントに失礼しましたぁー!では、また明日。

2012年3月17日 (土)

デポにディーノがやってきた午後

 はい、こんばんは。今日もシトシト雨の一日となってしまいました。そのような中でもたくさんのお客さんに御来店頂き、感謝の極みです。有難うございました。皆さん、前向きに御検討くださいね。

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 ところで、コレは昨日のハナシ。店の2階で内装張替作業をしておりますと、階下で「V6エンジンというのは分かるんだけど、聞きなれたマセラティのとは明らかに違う音」が店の前を通り過ぎていった気がしました。

 音量が一旦小さくなっていったので、「チューンドカー」でもバス通りを走り抜けていったのかなーと思いきや、またまたエキゾーストノートが高まって聞こえ出したので、どーもコレはウチの店への御来店車だな、と思い直して階段を走り降りますと、奥の路地でスイッチターンをしてやってきたのは「真紅のディーノ246GTS」ではあーりませんか(旧っ!:笑)。

 中から降り立った紳士は、当店顧客の「Mさん」。この間のブログでご紹介した「奇跡的にエンジン内部破損」を免れたマセラティクアトロポルテ(ロッソオリエンテ)のオーナーさんでもあります。今までディーノを御持ちであると云うおハナシは伺っていたのですが、現車に乗っての御来店は初めて。

 全国を忙しく飛び回りお仕事をされているMさん、このディーノで神戸や仙台へと足を伸ばしてきたコトもあるとのこと。「車齢40年のディーノで」・・・コレはもう、ツワモノとしか云いようがありません。「まぁ、仙台に行った時には途中で止まっちゃって、帰ってコレなかったんですけどね、ハハハハハ(笑)」と清々しく仰られるところがまた、神経質さを微塵も感じさせず、んー、実に「粋」だなあ。カッチョいいぞ!Mさん(笑)。

20120317032012031704 「前のオーナーさんが、結構日常的に乗ってたらしいので、自分のところに来てからも、そんなに手が掛からずまあまあ乗れてますよ」との事。

 「久しぶりにガレージから引っ張り出したら急に遠出したくなっちゃって、近くまで来たんでマイクロ・デポさんに寄ってみました。ところで、ちょっと走ってきて悪いところないか指摘してくださいよ。」とドアを開け、運転席に導かれるまま、お言葉に甘えてワタシも実に久しぶりにディーノのコックピットに身を沈めました。70年代イタリアンエキゾチックカーに特有の、革の芳香とガソリンのにおいが入り交じったような香りを吸い込みながら、室内を見回します。ブレーキを踏んでみる・・・んっ?「警告灯が点いてる」「ええっ?」「だいいち、踏みごたえのタッチがオカシイですよ」「あー、今日久しぶりに走ってなんかいつもよりブレーキが効かないなーとは思ってたんですけどねー」

 ほとんど床ベッタンまで踏むとかろうじて制動するようなので、とりあえず、町内をソロソロと動かしてみました。エンジンは極めて安定しており、きれいに回ります。アイドルも吹けも軽やか。サイズが小さいのも美点ですね。気負わずにカジュアルに乗れるディーノ。本来はコレでいいんだよな(というか、ディーノとはそういう「着る様な感覚」で乗るスポーツカーであって欲しかったとワタシはつくづく思う)、と再認識いたしました。

 今や、とかく「お宝扱い」され、珍重されすぎて「床の間お飾りモード」になってしまっている個体ばかりを見るコトの多いディーノ。かえって、この「軽やかさ、カジュアルさ、そして何とも愛らしいポッチャリ感」を損なわぬよう、ヘンなレストア等には手を出さずに、定期的に問題を解決しつつも大事にしていってほしいなと思うクルマでした。可愛いな、コイツ。

 左右ワイパーブレードのタイミングがズレていき「ゴッツンコ」する症状、ダウンドラフトキャブレターのベースパッキンからのガソリン滲み、三角窓のロックノブの剥がれ、タイヤのヒビ割れ、そして先ほどのブレーキ不調等々を初めとして必要最小限の細かいマイナートラブル修理についての今後のあり方をMさんとお打ち合わせして 、元気よく「ルンルン(笑)」とお帰りになりました。 ・・・無事にお帰りになられましたよね、きっと(笑)。

 それでは、また来週!

2012年3月16日 (金)

ビトルボマセラティの内装分解工程図解(その4)

 昨日は吹き付ける突風に苛まれつつの作業でマイりました。日付変って本日は寒くはありましたが比較的穏やかな天候でした。さぁ、今日も本ブログ、爽やかにイッてみましょう!

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 ・・・はい、ダッシュボード、センターコンソール、左右ドアトリム、左右シートをすべて降ろした状態がコレです。

 ステアリングコラムは一旦元の位置に戻して固定してあります。前にも書いたかも知れませんが、ギブリⅡの初期モデルまでは、すべてのハーネスがご覧のようにボディ側に残りますので、この「トリがら(笑)」状態でのエンジン始動や、各電動装備品の動作が驚くコトに出来てしまいます。

 メーターハーネスとエアコンコントロールユニットを繋げば、エアコンをかけながらの走行すら物理的には可能です(その場合、電気的絶縁ポイントがありますのでどなた様も絶対にマネしないでくださいね:笑)。

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 降ろしたダッシュボードを分解していきます。

 ダッシュボード上のトレーは、写真の様に2本の固定ステーから生えているボルトの締結と、トレーベース鉄板から生えた4本の足にロックワッシャーを噛ませることによりダッシュボードと一体化しているかのように付いて見えます。

 シャマルやギブリⅡでは、写真の固定ステーを造形上オミットしています。その代わり中間部分の固定にはシリコンシーラーをランダムに団子のように盛り付けたうえにトレーを載せるといった、些か豪快で後戻りの出来ない(笑)やり方を採用しておりますので、経年後にこの作業をする場合には、樹脂のヘラ先などでなんとかシーラーをこじりながら徐々に剥がしていくしか打つ手はありません。

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 トレーとダッシュボードを分離しますとこのような状態です。

 アルカンタラの張られたトレーの裏側は鉄板であることがわかります。このクルマでは散見される程度ですが、表面が真っ赤にサビているコトもあります。

 さらにアルカンタラを剥がしますと、ウレタンフォームのシートが出てきます。経年で茶色く変色していますが、かろうじて弾力性は保持している模様。ですが、せっかくですので、ウレタンフォーム部分も新品に張り替えるコトといたしました。

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 前夜までに鉄板上にうっすらと「サビ転換剤」を塗布しておきます。

 乾燥が終りましたら、本格的な張替作業の開始です。

 新品の布地を用意して裁断します。右の写真はウレタンフォームと鉄板のフチの処理についてをご理解頂くための写真です。ここはひと手間と時間を掛けて作業いたします。ウレタンフォームは鉄板端面部分まで接着剤を入れて張り込み、乾燥後に鉄板裏面と「ツラいち」になるあたりで切り取っていきます。トレーをダッシュボードに載せた時、見た目に暖かい風合いと、ダッシュ本体とトレー部分の一体感を醸し出すための工法です。

 ・・・ここで、昨日のセンターコンソールボックスはずしについて、より一層詳しく「云い訳(と云うか、のべ300台以上のビトルボをバラしてきたマイクロ・デポなりに無いアタマをシボって考えてきた、現段階における解→真実の正解であるかどうかは皆さんの御判断におまかせします。海に向かって叫びたい気持ちを抑えつつ・・・:笑)」をいたします。このあたりは従来一度も詳しくおハナシしたことが無かったと思いますので(あまりにも地味すぎるネタですから:笑)コレはちょうどいい機会ですね。

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 「蓋」=ヒジ掛け部分の裏の内張りとは左の写真のようになっています。

 合計「6本」、長短2種類の皿型タッピングビスをはずして、ヒジ掛け(蓋)本体と内張り部材は分離出来ます。ヒジ掛け(蓋)を閉めた状態の時にセンターコンソールから生えたダボを「適度なクリック感」を伴って咥えるための「U字型スプリング(写真内ではフックスプリングと称しています)」がヒジ掛け(蓋)本体と内張り部材の間にハサまる様に(半フロート状態で)配置されています。

 また、右の写真にありますように、ヒジ掛け(蓋)本体はその固定板に開いた3つの孔を用いてセンターコンソール本体に「タッピングビスで」締結されています。

 ヒジ掛け(蓋)本体がセンターコンソールに取り付けられたままでは、後述いたしますように充分な開口角度が得られない場合があります。よって、この段階でヒジ掛け内張り部材をはずすコトは、再組み立ての時に必ず一旦ヒジ掛け(蓋)本体をセンターコンソールから分離して平面に置き(前述のスプリングを正確な位置に置きつつ内張りを再度組み立てるためには不可欠→その手間を省く場合にはブチルゴムなどでスプリングを仮留めする手法がよく使われていますが、たいがい周囲に除去しきれなかったブチルが附着したままになっています)内張りを取りつける手間とともに、先ほどはずしたヒジ掛け(蓋)本体のコンソールへの固定タッピングビス(3本)をも再度取り付ける手間が生じます。ヒジ掛け(蓋)本体の充分な開口角度が得られない場合には、この3本のナベ型タッピングビス(頭部の+が非常に小さい規格)を入れ直す方がよほど時間と労力が掛かってしまいます。特にひとりで作業を遂行する場合には意外と手間取るモノです。

 とにかくご理解頂きたいのは、センターコンソール本体にも、ヒジかけ各部にも、通常工業製品の組み立てに必要な「寸法精度」の概念が当てはまりにくいという部分です。各部材の接触部に「皮革」が張り巡らせてあるところが、「精度」を出せない最大要因です。化学的に製造された合成皮革とは違い、天然皮革ですから、厚みにコンマ1mm単位の製造公差を要求することは事実上出来ません。また、センターコンソールのボックス挿入用開口部の隅などは、極めて難易度の高い(云いかえれば職人芸の)技術で、熱を掛けつつ接着加工を施してあります。接着剤の部位別の塗布量や、その乾燥時の皮膜厚みは各部が当然均一になるべくもありませんので、いよいよ公差管理など無理というものです。

 部品精度が出せぬ時、登場するのが「現物合わせ(現合)」の手法でして、これは現場作業者のスキルやセンスに大きく左右されてしまう製造理念であると云えます。ここからは、想像が入りますが、センターコンソール側にも穿孔する「タッピングビス用の下穴」は、せいぜい簡単な冶具を用いての「ボール盤」もしくはハンドドリルによる加工により施されていると思われますので、特に取り付け孔の上下方向の穿孔点を、製造全数において同じ位置にキメるのは不可能と思われます。

 上の左写真で示しましたように、ヒジ掛け(蓋)内張りの後端部が引っかかって、センターコンソールボックスが抜きにくいコトはたしかに多いです。しかしながら、その場合には樹脂の薄いヘラや、下敷き状のシートをヒジ掛け内張りとセンターコンソールボックスの間のスキマにカマせるコトにより、比較的簡単に突破出来ます。既に述べました様にわざわざこの段階でヒジ掛け(蓋)内張りをはずしてしまう必要はありません。また、ヒジ掛け(蓋)内張りを留めている6本のタッピングビスを短いスタビドライバーを用いてはずそうにも、それを阻むくらいにヒジ掛けの開口角度が得られない場合も多いのです。製造時の個体差と経年後の個体差、またDIY的な手法で後天的に施された加工・材質改変・接着など、個体差すべてに対応しつつ作業の数をこなしていくにはそれなりの経験に裏打ちされた対応策があるのだというコトをご理解ください。ビトルボマセラティは地球上に「その一台きり」というわけではありませんからね。

 当ブログにおけるこういった「作業の実演」披露は、その時その時の実作業のありのままを御伝えしておりますので、DIYで同じ作業をなさろうとするノンプロの方々が参考にする場合も結果的にはありうる(それはまったく当方の本意ではありませんが)と意識しておりますので、出来るだけ「広汎に」「サービス精神で」分かりやすくご説明しているつもりです。「クドいウンチク(笑)」ととられている向きがあるのも承知で、それでも可能な限り「ナマの現場情報」や「付帯情報」を、ワタシの愛する「当店顧客」と「当店顧客予備軍」の方々にお届けするため(そもそも、ここは商用サイトのおまけブログですから→えー!そーなの?:笑)の適度なクドさを心がけております。当然意識的に「企業秘密(笑)」などと称して、時に肝心の部分をお見せしていない場合もあります。最近では、全国の「プロ」の方々から、ほぼ毎日のように技術相談のお電話が掛かってまいります。マセラティのインポーターでもディーラーでも無い当店としては、ブログにおける作業披露の「按配」はこのあたりでも及第とはして頂けないモノでしょうか。

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 写真でご覧のように、今回ご説明している個体でも、湿気などによると思われる経年変化でボックス周囲の各部が張り付いてしまっていたのです。デ・トマソ時期のものは、通常すべてこういった感じです。

 このように全周がしっかりと張り付いてしまっているケースの場合、仮にヒジ掛け裏の内張り部材をはずしても簡単には出てきませんし「何の抵抗もなくスポッと抜ける」などという事例は(少なくともデ・トマソ期モデルにおいては)、メッタなことではありません。通常は見えなくなっているボックスの裏側(側面部のみ)にまでも「乾燥するとビロード状の触感になる化学的表面処理」がボックス使用面同様にわざわざ施されており、このビロード状接触面が摩擦抵抗に依存しての「ボックスの抜け」防止と、「ボックスの発するカタカタ音」の防止、組み立て時に皮革部を傷付けぬ配慮などを兼ねたモノなのであろうと考えています。

 このハナシに関連してもう一つ付け加えれば、モデル時期により、革の質と、革装裏のウレタンフォーム材の厚みに違いがあります。デ・トマソ時期のものでは、ベース部材に対して比較的ソリッドな感じで、厚めの皮を直接相手部材に接着している部分が多いのが特徴です。また、一部ウレタンフォームを入れてある部分にも極薄いものを採用している様子です。ステッチも上糸と下糸の「調子」がキツ目で、カッチリした印象です。

 一方、ギブリⅡの主に最終期のものになりますと、革質がソフトになり、ウレタンフォームは厚め、ステッチもユル目で、なんとなくダルく縫製されています。センターコンソールのみならず、ドア内張り、メータークラスター、ダッシュボード本体、そしてシートと、すべてこのタッチです。

 このあたりの触感的な違い、見た目の違いは、初めて触り比べた時から感じてはいたのですが、数をこなさないうちは「経年による違い」くらいに捉えておりました。しかしながら、ドア内張りの取っ手部材や、ドアポケット、メータークラスター等を再生する作業が続きますと、こういった違いは単なる気のせいではなく、メーカー側より意識的に改変されてきているのだなということが明確になってまいりました。

 このセンターコンソール部材においてもそう云えます。ギブリⅡ後半期のものは、ボックス挿入の開口部のステッチはユルく、開口部周辺は指で簡単に押し拡げるコトも出来るほど柔らかく、比較的に自由が利きます。周辺のウレタンフォームがしっかりしている間は、ボックスもピッタリとおさまり、再組み立て時にも「なんとなく、新車の時からこうだったんだよねー」といった「ユルい雰囲気(笑)」を醸し出し易いので助かっております。

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 最後に、ヒジ掛けの開口角度についてもおハナシしておきましょう。

 左の写真はギブリⅡのものですが、強く指先で押しつけながら撮影してもこの程度しか開かないものがある(というよりコッチが普通)のです。この樹脂の取付板部分は、見えない半分がヒジ掛け内張り部材の下に隠れていまして強固にリベット留めされています。そもそもヒンジではあるものの蝶つがいとしての「機構」はもっておらず、成型時にひと筋のミゾを形成することにより、その部分(肉厚が薄い)で屈曲するようになっています。

 コンソールボックスの蓋でもあるヒジ掛け部分が充分に開かないと、実際にCDなどの小物を入れ難いという問題が出てまいりますので、この屈曲部ミゾをあえて切ってしまうこともあります。また経年で使用頻度が高いと切れてしまうコトももちろんあります。しかしながら、この「ヒンジ板」の外側には皮革が直接張られていますので、センターコンソール本体とヒジ掛け蓋が分離することはありません。また皮肉なコトにこの状態の方が本来普通のクルマに装備されているセンターコンソールボックスに近い「蓋」の操作感となります。

 「ソレは邪道である」との突っ込みもあろうかと、ヒジ掛け(蓋)本体の取付タッピングビス位置を上げてみたコトも過去にはありましたが、大きい操作感の改善や開口部角度の拡大も見られなかったので結局元に戻しました。固定板屈曲部がせん断するギリギリまで自然に馴染ませるのが一番(なんだかなー:笑)というのが結論となりますか。

 ・・・以上、「昨日のセンターコンソールボックスはずし」についての「云い訳の数々」と「付帯ウンチクの数々」でした。コレでユルしてくださいな(笑)。

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 一方でスパイダーザガート、エンジンの方は昨日までにタイミングベルト・ウォーターポンプ・サーモスタット等などの交換作業が終わり、再始動に成功しております。

 キレイに結晶塗装した左右タペットカバーとサージタンクがエンジンルーム内を引き締めております。うーん、カッチョいい!

 来週の同車にはメインヒューズボックスのワンオフ引き替え作業が待ち受けておりますが、しばらく「本ネタ」が続いてるからなあ(コレばっかじゃ面白くないヒトもいますよね、やっぱり:笑)。

 それでは、また明日!

      

2012年3月15日 (木)

ビトルボマセラティの内装分解工程図解(その3)

 今週は「本ねた勝負」の当ブログ、まだまだ、「あした」の見えない闘いは、しつこく(笑)続いているのであった。はい、続いては「B面」のバラし、イッてみよー!

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 ⑬:右側のドア内張りトリムを下から下からはずしていきます。

 基本的な部分は右も左もかわりありません。リモコンミラースイッチがこちらには付いて無いというのが違いと云えば違いでしょうか。

 一番下方のカバーは2本のタッピングビスで。取っ手とドアポケットの付いたアルカンタラボード部分は6本のタッピングビスと8本の樹脂グロメットで固定されています。

 昨日の説明で分かりにくかったインナーノブのスプラインを図示しておきました。必ずある一定の角度にノブが収まるよう、溝が切り欠いてあるのが拡大するとお分かり頂けます。

 とにかく片っ端からタッピングビスをはずしつつ分解していく様子をご覧になってください。

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 ウッドパネルの付いた上部も昨日の左側と同様に分解していきます。

 4本のタッピングビスと、後縁部の紐状トリムの両面テープ貼りによって固定されています。

 写真で見えますように、タッピングビスの打ちこみ孔がすでに複数開いており、取付時の格闘(笑)が偲ばれます。

 インナーロックノブをはずして、紐トリムをはがせばキレイにパネルがはずれてきます。

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 「エイヤー!」はい、はずれました(笑)。

 このクルマは前に当店が販売したものが帰ってきたという個体なので、ビニールシートもキレイなままですが、数次に亘るドアの鈑金塗装や、ウインドーレギュレータ交換調整を施されてきたものでは、ビリビリに引き裂かれたままで組み付けられているコトもままございます。

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 ⑭:右側シートをはずします。段取りは左側の時とまったく同様です。

 同じ工程でも、430や228の運転席ではレールストッパーが設けられていたりして(前後方向の移動もパワーなため)、結構難儀な作業です。この点スパイダーザガートはシンプルで好き(笑)。シャマルの場合、シートレール寸法の取り合いはコレと同一なのに、リクライニングバケットシート自体がものすごく分厚い上に、リアシートまでありますので、一体どうやって脱着すればよいものやらといつも首を傾げながらも結局なんとかしておりますです、ハイ。「せっけいしたひと」はきっと深く考えてなかったと思います(キッパリ!:笑)。

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 シートベルトキャッチをはずして、その下のカーペットを撤去する準備をします。

 17mmボルトはロックタイトを塗って締めこんでありますので、決してつるつるとは回りません。いやな手ごたえを感じつつキコキコ緩めていきます。

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 ⑮:「ハコもの」をはずします。まずは、グローブボックスを丸ごと。左右のステーをそれぞれ外側に広げるようにして「ぱくん」とはずします。

 次に、センターコンソール内ボックスをはずしますが、ただハマっているだけなのに、慣れないとコイツは結構手ごわいです。

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 皮革は経年で接するものの形状や表面にピッタリとなじんでしまいますので、皮表面をイタめぬ様に丁寧な作業をする必要があります。とっかかりのスキマをつくる際のみ固く尖った工具でこじり、ちょっとスキマが出来たら、出来るだけ指先で勝負いたしますが、それでもダメなら樹脂のヘラでピッタリくっついちゃってる面を剥がしていくコトになります。

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 ⑯:センターコンソールを降ろす準備作業をします。

 その締結は合計5か所のタッピングビスで行なわれていますが、まずは後部の2本をはずしておきます。

 ここまでの途中経過写真では、見た目上あまり変わり映えがしませんね。・・・あるところから、ズドーンとさっぱりしますんで(笑)、もう少々お待ちください。

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 続いて、パーキングブレーキレバーのウッドノブをはずします。写真の様に通常見えにくいところに小さな小さな「イモねじ」があり、それを締めつけることにより締結されています。ぜーんぜん六角レンチの首が振れないので、その作業は匍匐前進としか云いようがありません。

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 続いてパーキングブレーキレバー根元を覆う皮革のカバーをはずします。

 これも、鉄の爪を4か所外側に折り曲げてコンソール本体に括りつけてあるといった感じなので、指先を突っ込んで鉄爪を内側に逃がしつつはずします。慣れないヒトは必ず怪我をいたしますので、充分な注意が必要です。

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 コンソールサイドカーペットを順次はずしていきます。

 右側は前後で2分割になっており、前方部分をはずすと、エンジンインジェクションのメインECUが顔を出すようになっています。カーペットの中ではもっとも頻繁に開け閉めする可能性の高いところです。

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 右側サイドカーペットの後半部はご覧の様な樹脂のグロメットを叩きこんで留めてあります。爪を折らぬように慎重に作業いたしますが、真冬の現在は樹脂が非常に固く脆くなっているので、ホネが折れます。

 カーペットがとれたら、センターコンソールとダッシュボードを締結しているタッピングビスをはずします。

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 ダッシュボード中央部、オーディオ設置のステーは、ダッシュボードセンターのビームの役割も兼ねており、ご覧のタッピングビスでボディ側から生えた羽状ステーにしっかりと締結されています。先ほどから出てくる「タッピングビス締結部」はいずれも「バカ穴」同士を結び付けるようになっており、若干の自由度を持たせてあります。組み立てる際には、すべての部材の角度や寸法の辻褄を合わせつつ最適な位置をキメる必要があり、決まりが無い分、作業者のセンスと裁量に委ねられた「設計者無責任(笑泣)」なつくりと云えましょう。現場はタマったものではありません。これじゃー、当時一日に700人掛かりで2台しか造れなかったというのも頷けます。

 ダッシュボード助手席側の裏にあるエアコンダクト類をはずしていきます。

 今度は運転席側のサイドカーペットをはずしたいので、運転席シートを車外に出します。ようやく室内を自由に移動できる環境がここで整いました。

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 で、運転席サイドカーペットをはずします。こちら側は足元の一番奥から、センターコンソールエンドまで一枚ものなんです。裏側には樹脂のベースがあり、結構手ごたえのある固さをもっていますので、無理無理引っ張り出すコトは出来ません。また、グロメットもしっかりと各部に留められておりますので、適当な姿勢では丁寧確実な除去作業がし難いのです。というわけで、この段階で運転席シートを降ろす必要が出てきてしまうというわけです。

 次に、ちょうどステアリングコラムの上方に位置するエアコンダクト達をはずしていきます。

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 ⑰:センターコンソールをいよいよ完全に降ろしましょう。

 センターコンソールとダッシュボードを繋ぐタッピングビスをはずします。写真にある中央部(通常はウッドパネルの裏側に隠れていますが、すでにオーディオともどもパネルははずしてあります)と、左側に位置するものです。これで、センターコンソールはすべての締結部を開放されたカタチになりましたが・・・。これだけでは、センターコンソールを撤去出来ません。

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 パーキングブレーキレバー自体を一旦ボディから解放してやる必要があります。

 こうすることで、センターコンソールを最大限後ろに下げながら先端部分をダッシュボード中央部から抜き取るコトが可能になるんです。この段階でセンターコンソールを車外に降ろします。

 ⑱:次に、ダッシュボード中央に居並ぶ9つのスイッチを一旦コネクターから抜いて、そのコネクターをダッシュ裏側に押し込みます。その時それぞれのスイッチとコネクターには付番し、写真の様に、再度結合しておきます。

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 先ほどはずしたパーキングブレーキレバーを再度締結します。

 ⑲:ダッシュボードに干渉する電気周り部材をはずしていきます。ダッシュボード右側の裏には写真のようにエアコンリレーのソケットが2連でくっ付いています。

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 ここは、クルマによって、組み付けられ方のキマりが無いようなのですが、左右どちらかのリレーを抜き取ると、写真の様にタッピングビスの頭が見えます。これをはずして、ハーネスごとダッシュボードを降ろす時に干渉しない場所へ避難させます。この時、抜いたリレーは必ず元のソケットに差し込んでおきます。

 また、写真にもあります、ダッシュ側面とボディの締結ステーを締めつけている13mmボルトと樹脂スペーサーを左右同様にはずしておきます。また、左右のドア周りウエザーストリップを一部はずし、内部に貼り付けてあるダッシュボードの左右最端部トリムを剥がします。

 ⑳:ステアリングコラムを落とします。ステアリングコラムケース内から出てきている、イグニッションスイッチハーネス、灯火類コンビネーションスイッチハーネス、ワイパーコンビネーションスイッチハーネス、等などをすべて抜いておきます。17mmの固定ボルト2個をはずせば、コラムシャフト全体が下方に下がります。

20120315612012031562 この段階まで来ると、ダッシュボードに干渉するものが無くなっているハズ。

 ダッシュボード全体をハードにゆすります。

 ヒーターケースとの間に位置する劣化したスキマ充填材がガッチリと張り付いていますので、それらが充分に剥がれるまで上下前後に激しくユスるのです。

 ・・・あっ、この年式だと集中ロックリレーなんかがダッシュの裏にネジ留めされてるんだっけ。写真のようになっておりました。もう少しあとの年式のものは、このあたりがボディに締結されているんです。このクルマの場合は一旦ハズさなきゃ。

 緊迫のあしたを待て(・・・というホドのものでも無し:笑)。             

2012年3月14日 (水)

ビトルボマセラティの内装分解工程図解(その2)

 さあ、今日もどピーカンで清々しい一日でしたが、ブログの方は、「ジクジク」と匍匐前進しているダケの図をいつものようにお届けいたしましょうね(笑)。昨日は、ってぇーっと内装降ろしの準備篇だけで終わっちゃっておりましたが、本日は如何に・・・。

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 ⑧:メータークラスターをユニットごと降ろします。

 二本の締結用タッピングビスをはずしたら、裏側の各ハーネスとブースト計のバキューム管を手探りで解き放ち、「エイヤー」と降ろすのです。

 過去、数人の当店ユーザーさんの眼前でこの工程をご覧に入れたコトがありますが、皆さんあまりのあっけなさに開いた口が塞がらないといったお顔をされていました(笑)っけ。

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 ⑨:左ドアの内張りトリムをはずします。

 この時代のマセラティ、ドアトリムは下から下からバラしていきます。

 見えるところ見えないところに無数のタッピングビスが打ちこんであります。基本的に製造現場では「現物合わせ(現合)」で組み立てられているとみえ、本来あるべきところにネジが入ってなかったり、以前にいじっていたところで(入れにくいから)チョンボしてたりで、まー、まともにとまってるモノは少ない(泣)です。そのくせ、へんなところにタッピングを追加してあったり、接着剤やシーラーでビビリ止めなどを施されていると、あとでバラす係のヒト(ワタシなど:笑)は「んもー、最低ネ!」な気分を味わうコトになります。

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 この車は、当店出身車が戻ってきたものなので、サイワイにも大きくハマるコトは無く、サクサクときれいに(予定通りに)バラけていきます。

 このように、一旦「ルーティン化」しておくのとそうでないのとでは、数年後の作業工程内において雲泥の差が出てまいります。 

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 リモコンミラースイッチは左右の鉄の爪で突っ張って留っています。周囲にキズを付けぬ様に慎重に引き出していきます。

 この過程でスイッチが上下にバラバラに分解してしまうコトもたびたびあります(そういった場合も、ワタシは気にするコトなく進めますけど:笑)。今回はバラけませんでした。

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 ドアインナーノブはスプライン嵌合になっており、ダイキャスト精度が低いせいでなかなか「スポン!」ととれてくれません。慎重にこじりつつ抜いていきます。

 押し込み式グロメットを壊さぬように慎重に抜いていきますと・・・これでようやく「下半分」がはずれましたというわけです。

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 今度は「上半分」イッてみましょう。

 インナーロックノブをまずははずします。コレ、はずすのは簡単(7秒くらい)だけど取りつけ、調整するには、相当な熟練と、事前の段取りが必要です。こねくり回されているモノは収拾がつきません。

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 ドアデフロスターの通風孔内にもボディとの締結タッピングがいます。

 右の写真のように、本来は中心部に孔が開けてあるのですが、ここにまっすぐ「ナリ」でタッピングを打ち込んでいっても、永久に留りません。なぜなら、ビスの進行方向にはボディ側の鉄板がいないからです。ここはいくらなんでも「設計ミス」としか云いようがありませんが、ボディのいる位置にもう一つの下孔を穿孔してそこにタッピングビスを入れて締結するというのが「デフォルト」であります。

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 上部ドアパネルは、この他3本の小さなタッピングビスで留っています。

 それらを解きましたら。ドア縁トリムに通常みえていた部分(実はご覧のようにヒモ状の縫製物)をゆっくりボディ側から剥がしていきます。硬い樹脂の芯が入っているので結構丈夫です。この非常に凝った(というか面倒な造り)トリムは、222系、スパイダーザガート、カリフ、シャマルでは、ドア後縁部のみにあり、430、228、そしてガンディーニクアトロポルテ前期型まででは(ほとんどみえないのに:笑泣)ドア前縁部にもあります。4枚ドア車は後部ドアも同様です。ギブリⅡの場合は上部パネル前縁部にウレタンエラストマーを皮革で包んだトリムを(おそらくはインシュレーターの役割を兼ねてだと思われますが)貼ってあります。

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 はい、といったわけで、上部パネルもはずれました。

 すべてのトリムが無くなってしまいますと、なんだかこう、身も蓋も無いといった感じになってしまうところが、これぞエキゾチックカー(のダマしの手口:笑)といったところで、ワタシは好きだけど(変態だから:笑)、見慣れぬ皆さんには「なんだかなー」だと思います。ボディの方は防水ビニールシートとガムテープだけで、「勝負」しているのがわかります。微笑ましい限りです。

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 ⑩:左側シートを降ろします。

 6mm六角レンチを用いてボディとの締結部を解いていきます。

 まずは、いったん一番うしろまでシートをずらし、前方2本をはずします。続いてシートを一番前までずらし、さらにシートバックを前方に倒しますと、後部2本のアタマが出ます。

 過去何度もこの工程で、ボディ床側に溶接されているはずのナットがはずれ掛かちゃっているために固定ボルトを緩めようにも「共回り」して一向にはずれないという目に逢わされていますが、このクルマでは、何事も無く順調に推移しています。前にシートを降ろした時に、ボルトに噛みこみ防止剤を塗布してあるからです。シートレールを固定する時にボルトをキチンとネジ込むことなく、半ばナメつつ強引にインパクトなどで締めあげてあると、この分解工程で辛酸を嘗めるコトに相成ります(ヒトの失敗の尻ぬぐいはやはり気分のいい思いをしないものですからね:泣笑)。

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 ⑪:センターコンソールの艤装分解。ここからしばらくは、我が「手指」が工具。

 工程は、写真でご覧の通り。正しくルーティン化されているものは、このようにいともあっけなく瞬く間に分解出来ます。もちろん、すべての構造と取り付け方を指先が完全に記憶しているゆえに自信を持ってコトに臨めるのですけどね。

 一方、組み立てとなりますと、須らく「調整」作業を伴いますので、かようにサクサクとはまいりません(修行が足りん:笑)。

 また、クルマによって、ハーネスの「余長」違いやステーの曲げ方の違い、皮革部の貼り込み方の違いなどにより、思わぬ面倒を伴うコトもまた多いです。まっ、一台一台、みな違う(笑)。

 しかしながら、このユルさこそが「手造りの味」の源泉ですから、しかめっ面などせずに「ニコニコ」と作業を進めますよ。

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 ⑫:「金時計」をはずします。

 時計は、その上下にある「突っ張りダボ」により、なんとなくウッドパネルにササっているに過ぎませんが、このあたりも経年で張り付いたようになっていると、簡単に浮き上がってくれない場合があります。さらに、「接着」などされていると・・・「うー」です(笑泣)。 とにかく、この手の「手造り内装イタ車」の場合、先天的に適当な上、後天的にもテキトーさをプラスされている場合が多いので、本来の姿を知らずにコトにあたると、いつまでも完成しないというコトになってしまいます。

 ようやく、ここまでの御説明で、内装の「A面」バラしが済んだ感じです。

 さあ、明日こそはダッシュボード降りるところまで書けるかな(笑)。                                       

2012年3月13日 (火)

ビトルボマセラティの内装分解工程図解(その1)

 雲一つない見た目は爽やかに晴れた空でしたが、やはりまだまだ寒かった今日の東京練馬。おかげ様でワタシもなんとか平常体温を取り戻しましたので、本日は手ごたえのある「本ネタ」、頑張ってイッてみましょうね。

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 マセラティスパイダーザガートの内装をすべて降ろしていく模様をを実況中継(録画だけど:笑)。

①:左右のワイパーアームをはずします(内装外すのに、何故?といきなり疑問を呈しての始まりですね:笑)。不条理の世界へようこそ。

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 ②:ワイパーユニット本体をはずすため、バルクヘッド締結部分のナット(22mm)を緩めてはずしていきます。

 ボディ周辺やフロントウインドーシールドにキズを付けぬ様、慎重に作業を行います。

 この作業、222SR以降のボディだと猛烈に深い22mmのボックスレンチが必要になります(しかも孔がズレててまっすぐにレンチ先端が入らない)。

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 ③:バッテリーターミナルはマイナス端子を外しておきましょうね。

 ワイパーモーターのカプラーも抜いて外します。万一作業中にワイパーが動作したら、ワタシの手首がスッとんじゃいますからね(コレは笑い事ぢゃないよー)。

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 ④:ワイパー本体ユニットのバルクヘッド締結部位(13mmナット)をボックスレンチで外していきます。ナットの下にはスプリングワッシャーと大径ワッシャーがいるのが正解です。無くさぬようにシッカリと保管しておきます。

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⑤:室外気導入部カバーとバキュームサージタンクをプラスドライバーを用いて外していきます。

 それぞれを捲ると・・・うおー、「見なけりゃシアワセ」の衆が見えてきてしまいます。見つけた以上はお掃除を、というコトになります。見て見ぬフリが出来るヒトビトが羨ましく思える(笑泣)瞬間です。

 旧いクルマこそ一旦こういった「通常目に見えない部分のリセット」をするべきだと常々考えて作業をしてきました。商談時にも、このあたりの「重要性」を力説するのですが、御理解とご賛同はなかなか得られない様なので、些か悲しいです。それでも、なおファイティングポーズで臨みます。

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 ⑥:4か所ある、ダッシュボード締結ナイロンロックナットを外します。ロックナットですからどこまでも手ごたえがある上に、ダッシュ側から生えているボルトは不必要に思える(ホントは搭載時にこの長さが必要なんですが)ほど長い。エアツール無しで外すのは、結構ホネの折れる作業です。

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 ⑦:ダッシュボードを締結しているロックナットをすべて外し終えましたら、ワイパーユニットをバルクヘッドから取り出します。「なんか順番が逆な」気がしませんか。ワタシもいつもこの作業やっててそう思います。先にワイパーユニットを外しておけば、ダッシュ締結ネジの緩め作業は遥かにラクなはず。→そのロックナット自体が邪魔して、ワイパーユニットが引っ掛かって取り出せないんですよ(泣笑)。ギブリ以降はワイパーユニットの骨組みにこの部分のニゲが設けてあって、不思議なくらいにラクラク取り出せるんですけどね。

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 スッカリ、バルクヘッド内の「臓物」たちが降ろされた状態です。この状態でバルクヘッド内部の枯れ葉や埃の堆積したゴミを取り除き、清浄な状態を作るための清掃作業を行っていきます。「アレ?内装降ろすんじゃ無かったの?」・・・まだまだこれからであります。

あしたは・・・どぉ、お、っちだぁ(ジャカジャン:笑)。












































2012年3月12日 (月)

あれから一年経ったけど・・・

 一昨日、ご報告した「風邪」は、薬石効なく(笑)みるみると進み、風邪薬の取説にあります「諸症状」というヤツを現在のところ順番にすべて呈しております。皆さんからのコメントを拝見しては、「手を打つのが遅かった」と痛恨の極みではあります。いやはや、お恥ずかしい限り。 

 昨日は、東日本大震災から満一年だったのですね。横たわりウス目を開けつつも普段はあまり見ることのない「報道番組」を眺めていたのですが、相変わらずのレベルの話ばかりで、まるで学級会ですね。お上は自己弁護ばかりに終始。そんなん見てたら具合がより一層・・・。

 「100年の計」とは云わないまでも、もうちょっとは先を見つつ、一方でまずは明日のパンに困ってる人々にヒカリを当て、義援金なんか「今必要なところに」バシバシ使ってしまえばいいのに・・・。 

 地震や津波の直接的な被害もさることながら、原発事故に対して責任があるハズの関係各位の対応は、「まるで他人ごと」。論評のレベルを越え過ぎていてワタシには理解不能です。

 「放射能問題」は風評ではなく、はっきりと直接的被害。CO2は少なくなったけどセシウムがたくさん散らばってるところで音の出ないクルマに乗って生きていく・・・ワタシはいやだ。

 熱のせいか、いやはやトシ(笑)のせいか、今日は些か厭世的になってしまいました。いやいや、まだまだ闘うぞ!

 

 

2012年3月10日 (土)

キャッチ・あ・コールド(泣)

 土曜日の本日もシトシトと「雨」の一日でしたが、新しいお客さんが次々といらしてくださいました。皆さん本当に有難うございます。そのような中でもスパイダーザガート(Hさま号)の内装全バラとエンジン半バラを同時進行で行うことが出来ました。それはもう見事にバラけております(笑)。

 実は昨日の夜、店を締めようとシャッターを降ろしていたら、ついにそのウチの一枚がケース出口で引っかっかって出てこなくなってしまい、とりあえずどうしてもなんとか締める必要があるので、雨に打たれつつズブ濡れ状態で格闘しておりました。なんとか締めるコトは出来たのですが(シャッター自体は、枠の点付け溶接が剥がれてしまっているようで、ブッこわれたままですが:笑泣)、そのあとこのブログ書きをしていたりとすぐに帰宅しなかったのが、カラダにコタえてしまったようで、昨夜半より、セキが出るようになってしまいまして、今日も一日「エヘン虫」が喉の奥の方でくすぶっております(なんかとっても深いところがカユイです:笑)。「のどぬーる」を噴射したり、のど飴を舐めたりいろんなことをしながらダッシュボード降ろし作業と商談に全力で臨んでいたのですが、先ほど帰宅してシャワーを浴び、ついでに「イソジン」でうがいしてたら俄然ノドの調子が悪化しておりますのに気づいてしまいました(現在進行形)。皆さんも季節の変わり目なのでお気をつけてくださいね。

 そういったわけで、今日はハヤ目に寝るようにしようと思っていますが、ヨメが出かけててまだ帰ってきていないのです(泣笑)。メシは食いたいよなー、やっぱり。

 

 とりあえず、フテ寝します(笑)。おやすみなさーい!それでは、また来週。

2012年3月 9日 (金)

思い出そうよ、手造りの心(その5:とりあえず完結篇)

 んもー、毎日が雨ばっかりで、ちょっと天気がおかしいですね。まだ3月の上旬だというのに・・・。なんか、今年の真夏は「酷暑」がやってくるような気がして、ソレもまた考えたくないわー(笑泣)。

 ・・・ささ、気を取り直して、昨日の続き、イッてみましょうね。

 「手づくり」という言葉には、丁寧さ、高尚な感じや精密さ、高度な最先端技術の少量生産というイメージを想起させる力と、一方で素朴さや稚拙さ、ある場合には粗雑さをもイメージさせるパワーとの両方があると思います。この相反する概念のどちらにも当てはまってしまうような気がするところがミソなのだな、と、ここのところの皆さんのコメントを拝見していて、段々とこのようにアタマの中が整理されてまいりました。なにしろ「両極端の世界」を表現できる言葉だったのですね。その中間的なモノ(要は凡百の大量生産品)には馴染まないんだな、きっと。

 先日、ウチの鈑金屋さんに勤める塗装職人さんとハナシをしていたら、「今ね、ピンストライプの練習してるんですよ」と云うので、「それって、ムカシのロールスロイスのボディサイドストライプみたいな、ぴゅーっとひと筆書きするヤツ?」って尋ねたら「そうそう、あの細いのと太いのと2本平行に入っているヤツ。ソレなんです」と。なんでも、この技術、現在では趣味のカスタムオートバイの世界で珍重されているそうで、一時期のエアブラシによるお絵書きよりも、一瞬でシゴトが完了するわりに、工賃が高く貰えるのだそうです。まぁ、超絶技術ですからね、その技術料が高いのは仕方がありません。ご覧になったコトの無い方にはイメージが湧きにくいと思いますが、ひと筆書きのサイドストライプはたしかに「手造り感」を視覚と触感で直接的に感じることが出来る素晴らしさを持っています。ここにおいては「カッティングシート」でいいじゃんという意見に耳を貸すコトは出来なくなります。やはり、その質感は全然違うから。ワタシの拙い表現によれば「なめらかにデコボコしている」といった感じ。コレがパネル毎の面積が大きいロールスロイスやベントレーのともすれば茫洋としたモノになりがちなサイドフォルムを引き締めるのに大きく貢献しているのです。この質感は得難いもので、表面が平滑平板なシールやシートでは、どうにも役不足なのです。

 ところで、「どうして、組み立て工場は、これだけ技術が進歩してもロボット化しないの?」という、昨日ワタシ自らが振ったハナシをしてみたいと思います。昨日のコメント欄には「HYN」さん(連日コメントを有難うございます&同工場5名の日本人技術者の方々にも御礼申しあげるとともに拙文読んでお気を悪くなさらないでくださいね。皆さんのご活躍をお祈りしております)から「一眼レフ製造工程は現在でもスーパー職人だけが為し得る世界」であるというナマのお話をも頂戴いたしました。

 とはいえ、ほとんどあらゆる製造分野で全自動化やロボット化は可能になってしまうところまで「原則技術的には」来てしまっていると、ワタシはそれでも思うのです。ただし「専用全自動組み立て機」というのは、開発に大きなコストと時間が掛かりますので、「永遠の定番量産品目」として見込める物品の製造装置としてしか導入するコトが出来ないのです。ですから、大手の食品メーカーなどではかなり早い時期からコレを達成しているところが多いです。定番の製造品目が数多くありますからね。他方、アパレルメーカーには流行というやっかいなものが存在するので、どうしても多品種少量生産、もしくは期間限定の多品種大量生産になってしまいます。ゆえに人手に拠る縫製作業に頼っているのがほとんどで、こちらは海外シフトが最も迅速に行なわれた業界と云えるでしょう。日本企業のこういった大規模アパレル製造工場は国内においては、いまやほとんど壊滅したと云っても過言ではありません。

 一方で、自動車製造メーカーや、電気機器、精密機器の製造メーカーが直接的に消費者に向けた製品を造る場合、その多くの最終アッセンブリー工程を現在でも人手に拠らざるを得ないのはこういった理由がそのひとつにあるわけです。そもそも、数十から数千、コトによったら数万工程をコナす必要がありますから、コストと品質の折り合いを求めてどこまでもレイバーコスト(工賃と言い換えてもいい)の安い海外生産拠点にシフトしていく(外注協力工場も含めて)。これからは「ミャンマー」が旬だそうです。もう、中国、タイ、台湾、マレーシア、インドネシア、ベトナム等などですらも「コスト的要素、人的資源に折り合いが付かなくなってきた」ことに起因するのでしょう。そろそろアフリカ大陸横断の日も近いのか(笑泣)。

 結論を云えば、年間に見込む単一の完成品製造量数が、「千の単位」や「万の単位」くらいでは、全自動化は仮に技術的に可能であってもコスト的に到底見合わないのです。自動車、家電品、には「恣意的な」流行があり、モデルチェンジや仕様変更も頻繁です。やはり人手に拠るしかありません。但し、永遠に真面目な発展途上国の人々を次々と発掘していくコトの是非(工業植民地化的発想)についてはどこかで立ち止まって考えねばならない時期がそのうち来てしまうでしょう(今がその時期かも)。 

 また、特に精密で複雑な機器の組み立てを自動機化するにおいては、各部材のユニット化とその個々の部品段階での超高精度が求められてきます。その超高精度を目指すには、超々高精度の精度で造られた工作機械か、作業達成までに時間とコストの掛かる部品の超研磨工程(加工する部材が難研磨材ならなおのコト)が必要になり・・・。そういったコトはモノの造り方を知らないし知ろうともしない「非技術畑の方々」には百万回云って聞かせても理解不能だと思いますが、ミクロンオーダーの精度はそうそう簡単に生み出せるものではありません。このあたりのハナシは突っ込んでいくと長くなってしまいますので、また別の機会に論じるコトといたしましょうね(笑)。また、自動機に不可欠なシーケンサ、各部油圧空圧機器、直動システム、ステッピングモーターなども、そこまで細かい制御は物理的限界が理由でおそらくは無理でしょう。ですから上に「ほとんどあらゆる製造分野で」と書きました。不可能領域もまだまだあります。・・・ちなみに超高級機械式腕時計は日本のセイコーの物でもフラッグシップモデルは3500万円ほどいたします。スイスの名だたる名工が拵えたモノはもっと高価です。宝石を鏤めたような宝飾品的腕時計も高価ではありますが、それとはまったく違うベクトルの製品です。まさに手造り工芸品の極致、コレを分かるヒトだけが買ってねといったモデルたちです。他人にひけらかすものではありません。密やかな充実感を左腕に巻いているというところがまた「通の粋人」というものなのですね。

 ・・・さあ、そろそろワタシも広げた「大風呂敷」を畳まねばなりませんね(ヒロげ過ぎちゃった:笑泣)。

 「てづくり」「ものづくり」、一般的に想起される「ほんわかした」イメージと現実の製造現場には、ここまで見てきてかくも大きな乖離があったのです。自動車産業においては、組み立て工程での手造りはいまだ主流であるというコトになってしまいました(でも量産はしています)。そうすると、本当の「手造り」、そのココロとはなんでしょう。

 やはり造る企業や現場作業者の「気持ち」とか「魂」、そして「技術」の籠め具合、というのが「温もりのある手造り感」であったり、「確かな手ごたえのある手造り感」であったり、「精微にして重厚な手造り感」としてヒトの心をつかむのでありましょう。実際には手造りではあっても手造り感を感じられない量産品との差はこのあたりにあるのかなと思い至りました。そしてブランドイメージの構築も、スパイスとして非常に重要な要素であると思います。他と差別化を図るためだけに考案した珍奇なだけの新技術や、メーカー側の都合によるコストダウンを目の肥えたユーザーは見抜きます(でも、必ずしもそうではないところが悔しいんだけどな、なんで皆スグにコロっと・・・)ので必要ありません・・・と信じたい(泣笑)。

 「カッチョいい!」「スゲー!」「なんかステキ!」「コレは美味い!」「(たったこれだけのコトにこんなに手間掛けちゃって・・・)バカでぇ!」・・・こういって貰えるよう(そして云って貰えるのをココロの支えにしている)に日々精進するのが「手造り職人魂」というものだと思いました。ですから、そういった職人や技術者の精神性は「芸術家」とは似て非なるものだとワタシは考えます。芸術家は自分の満足のためだけに活動に打ちこむのが本当の姿でありましょう。本来、芸術活動そのものはメシの種として捉えるべきものでは無いと思われます(結果的にその芸術が世界的に評価され、彼が巨万の富を得たとすれば、ソレはもちろん許されますが)。多くの職人魂は喰えなくなるコトはありませんが、多くの富を得るというコトもまた少ないです。その「製品」を誉めてもらい、喜んでもらい、そのうちまた「ウチの製品」を買ってもらい、食い繋がせてもらいたいと思うのがプロの手造り職人。「製品」はやはり「作品性のある商品」ではあっても、「作品そのもの」ではありません。その「作品」が、あくまで自己満足の世界に留まっていて許される(まっ、ソレじゃ喰えないけど:笑泣)芸術家との大きな違いがそこにあります。手造り製品を享受する主体は、どこまでもお客さんの側にあり、その満足の対価が製品代金や手間賃として職人や技術者の生活を成り立たせていくのですから。

 中古自動車の世界での「手造り感」。コレをいかに追求し続けることが出来るか。・・・ワタシたちにもまだまだ精進と研鑽が必要な気がいたします。長い目で見守ってやってください。

 「バーチャルな世界」に留まっていては決して体験出来ない「手ごたえある手造り感」を目指していこうと思っております。願わくば、ソレを享受されたい(御理解頂ける)お客さんが増えますように(笑)。

 それでは、また明日!

2012年3月 8日 (木)

思い出そうよ、手造りの心(その4)

 今日も一日はっきりしない空模様の練馬でしたが、お日柄もよく、納車も無事終り(喜んで頂けたようで安心しました)、ようやくブログ書きにたどりつくことが出来ました(ホッ!)。

 ところで、昨夜のハナシ。ワタシが帰宅したところ、昨日(その3)の内容を、早速ヨメが読んでまして、「スウェーデンの高級家具(北欧家具のロールスロイスと呼ばれる、同国イエスナス社製) に使う皮革素材はわざとキズのある部分を選んで使って「味」を出してるのよォー」とウンチク垂れられました(笑)。彼女はワタシと結婚する直前まで、今はヒルズになっちゃったところにかつて建ってた、六本木のスゥエーデンセンター(独特のチグハグな感じの書体であったメイン看板ロゴも懐かしい)というところで同国大使館商務部の外交官秘書っつー字面だけ見るとカタいシゴト(スウェーデン国王来日時には通訳をしたというのが密かな自慢:笑)をしてまして・・・とは申しましても、通常業務はスウェーデン製高級家具の売り子みたいなモンなんで、日常的にはヘラヘラしてたらしいですが、とにかくそういったコトだそうです。

 皆さんからのコメントを拝見しましても、「手造り」の概念を定義するコトが如何に難しいか、あらためて垣間見えました。

 てづくり、ものづくり、といった語感は、やはりまず「天然素材」の加工行為に馴染むのかなーと色々考えたあげくに思いついたので、今日はそのあたりをボンヤリ(笑)と。

 金属加工業、木工業、窯業に古来より共通して使われてきた基本的製造技術に「ろくろ」というのがありますよね。被加工物を回転可能な台に定置もしくは固定して、それを回転させつつ、その円周上の、ある決まった位置で円の中心部に向かって刃物や指先を「おくる」コトにより、「真円度」と「同芯度」をキレイに出すことが出来ます。

 このあたりは、加工素材の差こそあれ、旋盤で丸棒部材を削るのも、ろくろを用いて指先で器をかたち造るのも、なんつーか、こう手造りの香りが芳しい工法であるような気がします。しかしながら、「土」、「木」、「金属」の順に手造り感は「高→低」という感じがしませんか?製造原理もやってるコトも基本的にはほとんど同じなのに。

 一方で、「電気モノ」になってくると、より一層イメージが変るような気がします。例えば、ワタシの子供の頃、仲の良かった近所の友達の家では内職仕事で、電気部品のハンダ付け作業をお母さんがやってました。一か所のハンダで幾らの工賃だったのか、今となっては知るよしもありませんけれど、これなどは紛うコト無き「手造り」なんですが、なんかちょっと違うような気もするでしょ?ムカシの映像で「テレビ製造工場」などのネタを見ますと、ベルトコンベアーの上を次々とブラウン管やら、真空管やら、基板やらを少しずつ組み立てられながらテレビが形づくられていくのですが、組み立てている主体は頭に三角巾を巻いた作業服を着たおねえさん方です。どうみても手造りですよね。でも手造り感は製品のどこからも滲み出てはいませんでした(というよりも、ことさら人の手を介して製造しているコトを出来れば隠したいのではといった感じすらいたします)。

 さて、現代の自動車製造における「手造り」とはいったいどういった概念なのでしょうか。またまた、ワタシの卑近なハナシで申しわけありませんが、昨年の暮れに入手した「ダイハツコペン」を例に引いてみましょう。このクルマ、「手造り」を標榜してるんです。難しい電動オープン機構をキチンと組み上げるのに卓越した技術が必要だと説く。

 大阪は池田市にあるダイハツ本社工場内エキスパートセンターというところで、社内の厳格な技術資格をパスした「匠集団」と呼ばれる熟練作業者達だけが「手造りで」組み立てていますと。

 実際問題、他のカーメーカーの普通の組み立てラインでも、全ロボット化を達成した工場なんてモノは程度の差はあれ聞いたことがありません。普通の軽自動車、例えばスズキの生産ラインの映像を見ますとおねーちゃんが「ずどどどど」なんてインパクトレンチや電動ドライバーを片手に組み立てたりしています。

 造る側の自己満足に終わっているのはワタシみたいなユーザーから見ますとあきらかで、「やっぱり、手造りってゆーのは出来が悪いというコトなのか(対策を講じなければ、とてもクローズド状態では乗っていられないレベルの軋み音がします→マセラティスパイダーザガートの偉大さが身に沁みます:泣)」という一方の結論と、他方「ワタシが求める手造りの味は決してしない(その本革シートは座り心地も決してホメられたものではなく、見た目も合皮にしか見えない。そのくせ簡単にキズが付く)」というのも見えてきてしまい、所詮マスプロメーカーに手造りの味を期待してはならないなと悟りました。

 コレは根の深い問題ですね、やはり。現在の様に「訴訟社会」であったり、重箱の隅を突くようなクレーマーが多数いる状態では、やはり「手造りの味」でマスプロダクション製品を訴求するのには限界があるということですね。「うーん・・・」

 昨日の「一松」さんのコメントにありますように、究極の伝統芸能的手造りは現代の機械で造ったものと同じになってしまう。というよりも、ムカシは精度が低く、性能も悪かった機械が、技術の進歩により最高レベルの職人にしか生み出せなかった世界を98%くらいの達成度で生み出せるように追いついてしまったというコトなのでしょう。

 さらに、一昨日の「HYN」さん(遠方より初コメ有難うございます。とても嬉しいです)の工場のように海外でデジカメ一眼レフ造りを(しかも手組みで)しているというお話にちなんで、「どうして、組み立て工場は、これだけ技術が進歩してもロボット化しないの?」という素朴な疑問をワタシ自身が持ちました(同時にワタシなりの答えも出ているのですが)ので、ちょっと脱線気味ではありますが、明日はこのあたりのハナシからと思っております。

 それでは、また明日!

 

 

2012年3月 7日 (水)

思い出そうよ、手造りの心(その3)

 東京練馬は本日も今すぐ雨が降り出しそうな「超曇天」からはじまりましたが、ピンポイント予報見ると、朝から「どピーカン」とあるのだけれど・・・春先の天気は読みにくいというコトなのでしょうね。その後も晴れたり曇ったり、風も強かったですね。でも、春の訪れを感じる爽やかな風でした。

 さて、昨日は皆様から「助け舟」を出して頂きましたので、難しい「手造りの定義」を特に自動車という工業製品の世界ではどう考えていけばよろしいのかといったあたりにぼんやりと(笑)スポットをあててまいりましょう。

 この世の中の製品やサービスは、「本当に手造りのモノ」と「手造り風のモノ」と「完全無敵の量産品」と「その量産品に手造りの味付けをパラパラと降りかけたモノ」に分類できると、まずワタシは考えてみました。そうするとそれぞれの「境界線」はどういったコトになるのか、またまたアタマが痛い(笑)。

 また「素材の料理の仕方」や「材料の無駄を省き、歩留まりを良くする理念があるのか否か」などの部分も「心情的手造り感」の評価には大きく関わってくるものなのかもしれません。

 まず、昨日のコメントで「おぐ」さんからお示し頂いた「モーガン」という英国の古典的スポーツカーメーカーがあります。皆さんも名前はよく御存じだと思いますが、乗車経験のある方や、仔細にご覧になったコトのある方は少ないのではないかと推測いたします。

 おそらくは、現存するカーメーカーの中において、その質においても、量においても、実際の製品の品質においても、すべての点で「絶対的、総体的手造り感」のチャンピオンだと思います。

 このモーガンにおける「絶対的な手造り感」とは、誤解を恐れずに云えば「ある種のプリミティヴさ」と申しましょうか、ワタシの言葉で云い直せば「へぼカッチョ良さ(笑)」と云いましょうか、とにかく、(実際には、そんなに簡単なモノではありませんが)その辺にコロがっている部材をうまく組み合わせてなんとかクルマの形に造り上げたといった感じでしょうかね。

 同じく「総体的な手造り感」という云いまわしは、他の現行カーメーカーに比べて、モーガン社はどうなのかといったイメージで使っていますが、ワタシたちマイクロ・デポのお客さんの中に数年前コレの新車を購入された猛者(笑)がいらっしゃいますので、その時の逸話をちょっとおハナシいたしましょう。

 英国のモーガン社には、日本の正規ディーラーを通じて直接オーダーをします。数種類のエンジンや、ボディの仕様、外装色、室内トリム(革・ウッド)の選定、オプション装備の選択など細かく打ち合わせしつつオーダーするそうです。この方はワイドボディに強力なエンジン、エアコンももちろん装備、セキュリティさえある仕様でオーダーしました。外装色に関しては、ほぼ世界中に流通する色見本の中から自由に選べるらしく、フェラーリ用の「グリジオアロイ(薄ーいブルーメタ)」を指定しました。トップ(幌)も濃紺、カッチョいいにキマっています(笑)。とにかくセンスがいい。

 納車時には、「製造工程の写真アルバム」というのが添付されてきており、それを拝見いたしましたが、素晴らしいの一言。まずは、モーガン社の正門(といっても田舎の小学校みたいな感じですが:笑)の写真からはじまり、古びたいわゆるバックヤードビルダー然とした工場建物の写真へと続き、今度は実際にデリバリーされた現車そのものの製造工程の写真が順番に淡々と出てまいります。有名な木製フレームの製造からちゃんと見せてます。・・・スゴイです。すべての組み立て工程を「いわゆる馬」と「ガレージジャッキ」と「チェーンブロック」だけで勝負しているのです。工程自体も、コレはいきあたりばったりなんだろなーと思わずにはいられないほどのカオス(いや、そうするしかないのがワタシにはイタいほどよく分かる:笑)。クルマを上げたり下げたり、あっちをいじってはこっちを組み立てるといった体。とにかく全体的に少しずつ少しずつ、まさに匍匐前進でカタチになっていきます。

 こんな造り方をしたクルマが日本で1200万円だったそうです。それでもモーガン社の車としては考えられる「今様の」豪華装備を満載しての価格です。

 ・・・世界に一台だけの自分用のクルマをセミオーダーメイドで造ってくれる上、装備も充実、価格もリーズナブル、クラシカルなボディもエレガントで美しい。もちろん現代の路上でも充分実用足り得ます。もはやクルマ好きにとっては云うコトのないクルマではありませんか。にも関わらず、世界のカーマニア垂涎の的なのかというと、悲しいかな、必ずしもそうではありません。ここまでホメちぎっておいてナンですが、ワタシもきっと買うコトは無いでしょう(笑:だいたい買えんけど)。実際、この逸話のお客さんも10台以上クルマを持ってらっしゃる方なので、コレを新車でオーダーする心持ちにようやくいたったのだと思います。

 このモーガンの存在感の薄さ(クルマの魅力自体は、もう一度申しあげますが充分にあり、それは素晴らしいものです。決して誤解の無き様)は、考えますに「エンジンが自社製では無い」というところにその因のひとつがあるように思います。英国の少量生産スポーツカーメーカー(ヒーレー・ロータス・クーパー・ジネッタ・TVR・リライアントetc・・・)はおしなべてそうなんですけどね。もうひとつはあまりにも基本設計が旧いこと。然るにモーガン車、この現代にあっては「本当に手造りのモノ」カテゴリーに入れるべきクルマでありモノでしょうね。

 翻って、現在のフィアット旗下マセラティ。工場探訪記でもエンジンはフェラーリ社から送られて来るとはっきり明言しておりました。しかしながら、公式にはフェラーリ製エンジンとは決して謳われておりません。あくまでも(フェラーリを外注工場として製造した)マセラティエンジン搭載車として売られています。ランボルギーニ、アストンマーティン、ロールスロイス、ベントレー、錚々たる有名超高級車群も現在ではほとんど同様の成り立ちを持っています。「手造り風のモノ」カテゴリーに分類すべきがこのあたりのメーカーと云えましょう(フェラーリやブガッティ、マクラーレン、TVR、ぎりぎりロータスをも含めて)。

 ほかの銘柄はそれぞれの持つ「アドバルーン的フラッグシップモデル(コレは「手造り風のモノ」カテゴリーと云えましょう)」を除いて、すべて「量産車」といっても過言ではないでしょう。その中での少量生産モデルが「量産品に手造りの味付けをパラパラと降りかけたモノ」になっているコトが多く、そのまた一部は「手造り風のモノ」カテゴリーに属し、残りの大多数のモデルが「完全無敵の量産車」という部分に収斂されていきます。

 ・・・とここまで、ワタシなりの「パーソナルな感覚(要は独断ですな:笑)」に従って、ばっさばっさと4つに分類してしまいましたが、もちろん異論は大歓迎ですから、コメント欄にどうぞ。

 現今の自動車産業の製造工程においては、「手造り」という概念が狭義(本来の意味)のままでは、実に違いを抽出することが難しいというコトに想いいたりました。先にご紹介したモーガンなどのように、直接的に人が製造物に触り、組み立て調整をする部分が多い(その部分が多いか少ないかの線引きもどこで切るのかという問題が新たに浮上してくるけれど)のが、「手造りのクルマ」というコトになってしまいそうです。

 そういった意味では、もはやロードカーの世界では、狭義の手造り車は無くなってしまっているのかもしれません。フォーミュラーワンなどの一部競技車輛は基本的にワンオフ的な造りですから、ここまでいかないとダメなのね、きっと(そう考えるとモーガン安いよな:笑)。 

 ここで、はじめの方でおハナシしておいた「心情的手造り感」の評価というのが登場してくる必要が出てきます。

 先日、メルセデスベンツAMGの5.5リッターV8エンジンを目にしました。エンジンルームの真ん中には樹脂の大型カバー。その下にわずかながら覗くシリンダーヘッドは梨地仕上げでも無く、磨き上がられているわけでも無く、結晶塗装がされているわけでもなく、あたかも内装までコンクリート打ちっぱなしの部屋のようで無味乾燥な風景です。AMGのチューナーがいかに腕を奮っていたとしても、「あー、コレは丁寧にチューニングされたエンジンなんだよなー」といった感動や興奮がまったくありません。どーせエンジンルームなんか普段見ないし興味無いといった方々には、ハヤくて壊れなけりゃそれで良しといった感じなのでしょうけれど。

 その一方でビトルボ2.8以降のマセラティや360以降のフェラーリでは、エンジンルーム内にスペシャルな手造り感が充満しています。メカが好き、マシンが好きといった御仁にはコタえられない充実感があります。ひとつひとつの部材にいちいちひと手間が掛けてあります。性能や信頼性、いわんや整備性は二の次三の次です(笑)。コレが「素材の料理の仕方」の一例。「粋」か「無粋」かの勝負の分かれ目。「粋さ」をオシャレにキワめるには、無駄と無理とガマンの三つの要素が必ずや必要なのであります。

 世界最高峰の自動車を造っているということになっているのは、ロールスロイスとベントレーでしょう(マイバッハとかブガッティもあるけど、正直まったくワタシの眼中には入ってきません:笑)。どれもいまや「狭義の」手造り車カテゴリーには前述のように該当しませんね。いっけん、同じように木と革をふんだんに使用した内装を持ってはいますが、マセラティやフェラーリに使用されているレベルのものと、ロールスロイスに使用されているものは、その材料品質において、「大間産本マグロの大トロ」と「インド洋近海産カジキの中トロ」くらいの差があります(例えがわかりにくい:笑)。・・・いやそこまでの差は無いかな?インド洋マグロの中オチくらいかしら。「材料の無駄を省き、歩留まりを良くする理念があるのか否か」のハナシがこれにあたります。

 なぜ似てるのに質感が違うのか?牛の質が違うんですよ、まず。カラダの表面を覆っている皮革表面に一切キズの無いものを選び、厚みも使用箇所に応じて揃え、染色しているのがロールスが採用しているもの。イタ車用のは、それ以外(泣笑)。ウッドパネルにしても、ロールスロイスでは表面の柄を1台分の中で統一感が出るようにキチンと揃えられるよう、あまたあるパネルの中から選別して組み立てているのです。マセラティ?皆さんご存じですよね(まちまちですな、基本的に:笑)。

 でもね、完成度を上げ過ぎると、かえって「手造りの味」や「温もり」といった抽象的・感覚的に捉えるしかない世界からは遠いものになっていくものです。スゴイなとは思いますが、ここまでやらんでもというコトにもなります。数年前に現行のロールスロイスファントムを青山のコーンズさんで見せてもらい、中に乗ってみましたが、ちょっと踏めないよ、真っ白で毛足が10センチもあるカーペット(笑)は。もう、手造りの味とかは完全に超越してしまっていて、ただただスゴイんだけども、どんなに金持ちになってもワタシでは役不足。もっとも「粋」な世界のものではそもそもありませんのではじめから興味の対象外なんですけどね。

 現今のほとんどの高級車では、皮革内装トリムを謳っていても一部は巧妙に合皮を使用しているのが普通ですし、ウッドパネルもその多くは非常によく出来たフェイクです。おまけに触った質感や見た目だけで真贋を見分けるコトはもはや困難です。だったら耐久性の高いフェイクでいいぢゃん(笑)というコトにもなりかねませんね。ビトルボマセラティは本物使ってヤリ抜いてるから「出来の悪い」部分や、耐久性の無さまでも結果的に抱え込んでしまうコトにはなるのですが、だからこそ「言葉では表現できない風合い」といったオーナーのみが知る愉悦がそこに生まれます。これこそ、まさに「粋」の真骨頂といった感じです。 

 そうやって考えていくと、マセラティ各車は伝統的に「心情的手造り感」を「粋」の範疇に収まるギリギリの線で昇華させた存在に見えてきます(そうではないというご意見も世の中にあるのは承知しています)。ロールスやベントレーに「クル」ものを感じられず、モーガンにも云いようの無いモノ足りなさ、モドかしさを感じる。一方、なぜかマセラティやフェラーリには「なんだか分からないけど魅かれるし、癒される」という方はこんな感じでイタ旧車にタドりついちゃったのかな、と。ワタシ自身は英国流「ヤリすぎ」の野暮ったさも捨てがたくは思っておりますけどね。

 なんだか、ビトルボマセラティがあらためて光輝く存在に見えてまいりましたよ(喜)。まぁ、市井の単なる「浮気性なクルマ好き」であったワタシが30年近くも手元に置いて見続けてきた結果「飽くことが無い」のですから、やっぱり、ワタシ自身も毒牙(笑泣)に掛かっているのでしょうね。

 まだまだ明日も、しつこく続く予定(笑)。 

2012年3月 6日 (火)

思い出そうよ、手造りの心(その2)

 なーんか、ここのところの東京は「梅雨」みたいでしたね。今朝も起きたらまだ小雨で、些か辟易としておりましたが、お昼頃にはようやく久しぶりにお日様が顔を出してくれました。

 ところで、「クラフトマンシップ」に相当する云いまわしとして、ここ日本にも「ものづくり」という言葉があります。10年ほど前のいっときはブームの様に「製造業を見直そう」といった気運が高まり、マスコミなどでも盛んに喧伝された言葉です。地を這うような低迷と迷走を続ける平成の日本において、輝かしい昭和後半の成長期を支えてきた「重厚長大産業」の栄光が今にして懐かしく思えてきて憧れの対象となったのかも知れませんね。

 思えば、ちょうど現在のワタシと同年輩の人々がちょうど高校生や大学生であった頃、「3高(高身長、高収入、高学歴)」などという言葉が流行り、一方それに対比する文言としては、本来「3低」であるべきところが「3K(4Kまで入れると暗い、汚い、臭い、危険だったかな?:笑泣)」と云うのがあり、コレは主に製造業や第一次産業の現場仕事に従事する人々を揶揄したもので、過酷な労働に歯を食いしばって立ち向かう、特に若者を蔑み、あざ笑う酷い流行でした。その頃の世は「女子大生ブーム」に沸き、「オールナイトフジ」なんて番組もありました(その番組の終盤の時間帯に、うちのヨメの友達が毎週出演してたそうです→夜明けのエアロビクスコーナー:分かるヒト、そーとートシあるね:笑)ね。「アンタたち、当時のじょしだいせーが、色んなコト云って、贅沢ばかりを所望してたのが突き詰めれば現在の日本がこーなっちゃった原因なんだからね!」と毒づくワタシに「でも夢があったんだからいーぢゃない」と言い訳するヨメ。・・・「でも、確かにそうかも知れない」

 かくして、優秀な若者たちはこぞって「3高」を目指し(まっ、背丈だけはいかんともし難いが:笑)、「3K・4K産業」を志望するヒトは壊滅的にいなくなってしまいました。国内製造業の目に見える凋落はこのあたりから始まってしまったように思います。誇りを持ってモノを生みだしていく原動力が失われてしまったのです。実際この時代には、ワタシの知る限りでも「短大を出た我が娘(証券会社に就職)の初ボーナスより、父親(製造業に従事)である自分のボーナスが低い」のにイヤ気がさして、30年勤めてきた会社を辞したヒトがいました。それくらいに製造業従事者(営業職や総務、経理などのホワイトカラー職制の人も含め)というのは、どういったわけか割に合わない社会的地位を押しつけられてきました。大学の理系を出た研究職の方々も、それだけの頭脳を持ちながら総じて地味な暮らしぶりです。

 その路線をもっとエスカレートさせた極致が「バブル景気」。投資や不動産投機をしない人間は「変りもの」扱いされ、作業現場で汗を流す人々はいよいよ馬鹿にされていきました。当時ワタシ自身は製造業に身を置いておりましたので、浮かれた世間とは隔絶された田舎の工場で「ジュリアナ東京」や「芝浦Gold」に想いを馳せておりましたよ。一度でいいからお立ち台の上で扇子をヒラヒラと踊り狂う「アラキ師匠(コレ憶えてるヒトも、そーとートシあるよ:笑)」とかナマで見てみたかったモンだ。

 ・・・余談ばっかりですね(笑)

 「ものづくり」という言葉からは「熟練職人による手造りの芸」というのをどうしても連想してしまいます。建築物においては「宮大工」を筆頭に、名工を多数輩出していますし、鍛冶屋さんなんてのも、今風に云えば、金属加工業と焼入業、研磨業を兼ねた存在だったのだろうと思います。「刀鍛冶」なんかはその中でも最高峰の職人と目されていたコトでしょう。「陶器」の有名窯元、「漆器」や「茶器」造りの伝統も忘れてはなりますまい。各地に存在する「織物」なども、現代風に云えばアパレルメーカーの一端であったというわけです。

 しかし、そういった伝統的手法でモノを造り出す工芸品的な「ものづくり」がある一方で、「量産」が大前提にある現代の製造現場においては、培われてきた製造技術を師から弟子へと「伝承」するという時間と手間の掛かる教育方法が真っ先に否定されていきました。最前線の製造現場では、「熟練工」でなくても「間違いが無く、短時間に」組める工法が模索され、清潔な工場で充分に安全を確保された上での労働が保証されたかのように見えます。

 しかしながら、昨日の「一松」さんからのコメントに御指摘がありますように、あの現代においてなおクラフトマンシップを標榜するマセラティの工場ですら、本当に「手造り」をしているハズの部門、例えば革シートや内装トリムの縫製など、「本来の見せ場」である部分を見せていませんね。それはまさに「外注部門」だからでしょう。ポルトナーレフラウ製の本革内装と云えば、いっけん聞こえはいいですけれど(もっとも、魅力的な響きではありますケドね)。ここが商売上手なイタリアンといったところです。製造業の逆襲を見る思いで、むしろワタシなどはスカっといたします(笑)。万人とは違う、非常に高価な少量生産品目を手にして、喜びや満足を得るのは、多くの場合「非製造業」で成功した方々ですからね、ほぼ万国共通で。

 ここで考えなきゃいけないなと思い至ったのは、まずもって「手造りって何?」という根源的な問題です。何をもって「手造り」と定義付けるのか・・・分野にもよりますでしょうが、コレは難しくなってきたぞー(自分で振ってはみたものの荷が重い:笑)。

 論旨がまったく纏まらないままに、明日に続くのであった。

 

 

2012年3月 5日 (月)

思い出そうよ、手造りの心(その1)

 今日も一日シトシト雨。それでも夕方にはクアトロポルテV8(川崎市Kさま号)の納車が無事完了しました。「食」に携わる職人さんなので、初めてのお取引ゆえ当方もたいへん緊張してお納めいたしましたが、御満悦であったようでまずはヒト安心。

 ここのところ、御来店された様々なお客さんにはおハナシをさせて頂いているのですけれども、本日からしばらくの間、1990年代中盤あたり以降の欧州車からは、なぜ「香り立つクラフトマンシップ」を感じにくくなってしまったのか、とのワタシの忸怩たる想いを御伝えして行こうと思っております。

 やはり、分岐点は「リサイクル樹脂・エラストマーの採用」、そして「それまで100年以上に亘りクラフトマンシップ薫る良心的クルマ造りを追求してきたメルセデスベンツの瓦解と以後の宗旨変え」。この2点が大きかったように思えてなりません。

 良いモノを、例え金額が高くとも一生懸命に働いて稼いだお金で買い、それを一生モノとして大事に扱い、時に正しく手入れし、家族ともども生活の伴侶とし、願わくば代々伝えていく・・・。ヨーロッパの良き伝統ではありました。庶民も貴族もレベルは違えども、分々に応じてそういった伝統的生活を営んできたのではないかと思います。

 先般、当ブログで話題とした「マセラティ工場探訪記」、英語版ですが動画を発見しました(その1[イタ語]その2その3[英語]でチャンポンですが・・・日本語版では省かれていた内装組立工程などを、より詳しく見ることが出来ます→センターコンソール上に馬乗りになって作業してたり、マキタの電動ドライバーが炸裂してたりする(笑):音出ます、ご注意を)。2012年現在の自動車製造方法としては、確かにいまだ手造りと云っても差し支えないと思います。それでもずいぶん「機械化・自動化」は進みました。それらが須らく「悪」であるというつもりは毛頭ありませんが、組み立てや製造の工程において、「機械化・自動化」を進めるには各部の「精度」を上げ、作業のルーティン化をはかる必要があるので、その辺の事情こそが、「ユルさを失わせる」真の原因となってしまっているとしたら・・・「最近のクルマに魅力を感じない」と仰るお客さんは非常に多いのですが、このあたりに問題の核心はありそうですね(そして、いよいよ後から「治しにくい」構造へという問題までも孕み・・・)。

 明日に続きます。

2012年3月 3日 (土)

これぞ「漢の(笑)」ひなまつり

 今日は、午後からは久しぶりにスッキリと晴れて、春らしく暖かな日差しが心地よい気候でしたね。商談、整備お打ち合わせ、納車と、何をするにも絶好です。朝から時間刻みの段取りで、次々とお客さんがみえてくださいました。当ブログでおなじみの「Ryo」さん、朝早くから御来店頂き、有難うございました(お土産も:笑)。

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 午前中に「Yさま」にお買い上げ頂いた(有難うございました)430前期型を場内に格納。

 そして、午後の222SE(Sさん号)「吉例、納車の儀(笑)」準備を進めます。とにかく「ピアノ状態」にしないと(笑)。

 このクルマ、ずいぶんとお待たせいたしましたが、お気に召して頂けますよう、念入りにお嫁入り支度をいたします。そして、右の写真は納車時の御説明でご覧に入れた交換部品の数々(の、コレでもまだ一部なんですけどね:笑泣)。

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 納車時の整備明細御説明をさせて頂いている風景。通常は、微に入り細に入り、重箱の隅をつつくように御説明させて頂くのですが、Sさんは、何と申しましても「ビトルボ系3台目」の猛者(笑)というか達人でありますから、比較的あっさり目の「納車の儀」となりました。コックピットドリルもほとんど必要ありませんでした(手抜きですみませんね:笑)。どちらかと云えば、楽しく雑談ばっかり。無事に御自宅までお帰りになって頂きましたでしょうかね。

 考えてみると、今日は、3月3日で「耳の日」で「ひなまつり」。ワタシには娘がいませんし、子供の頃も男所帯で「ひなまつり」には縁遠かったのですが、今日一日は表題通り「漢(オトコ)のひなまつり」ということにしておくことにいたしましょう。さっそく帰って、一杯ヤロ。

 オトコノコ、40になっても、50になっても、オトコノコ(字余り:笑)。

・・・今週は、チト疲れたので、あしたの日曜日はゆっくりしよ。では、また来週! 

2012年3月 2日 (金)

雨の中、都内を巡る

 雪はとけたけど、今日は一日中雨模様の東京。都内の出張仕事に出動するコトにいたしましたが、なんかタマに平日の昼間に都心部に行こうとすると混んでますね。慣れないせいもあるのでしょうけど。

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 まずは千駄ヶ谷に向かおうと歩を進めてまいりましたが、どこもかしこも渋滞。途中で、どうにもこうにも「用が足したく(笑)」なり、厠、ここならあるだろと入ったのが、代々木公園。「ほれ、ムカシ竹の子族が踊ってたあたりには絶対あるハズ。なにせ連中、着替えてたんだから」なんて会話をしながら公園の中を柵越しに眺めていたら、ありました。「ふぃーーーーー(ホッ!)」。トシとってきたらいよいよ「この手の」ガマンが効かないのでコマりますね。

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 あー、しばらく来ていなかった「JR原宿駅」が見えてまいりました。

 なんか、若い頃は意味も無くこのあたりを徘徊しに来たのも懐かしい。この先を道なりに曲がったあたりにあったハズの、ムカシお世話になってた「代ゼミ原宿校」を見つけられなかったケド、どーしたのかな。

 竹下通りは相変わらず「ジェリービーンズ」のような色彩感覚で異彩を放っていました。

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 ・・・千駄ヶ谷でのミッションをとりあえずは終え、さらに渋滞の中、文京区内の小石川あたりを目指す。

 今度は、ハラは減ってくるし、またまた用は足したいし(笑)。で、東京ドームシティ近所にパーキングチケットで停められるところをようやく発見。

 ドーム前を歩くのは15年以上振りくらいかな。その内部ともなると20年くらい前に、当時の取引先企業が持ってたボックスシート券を頂戴して、「日本ハム×近鉄バッファローズ(旧る!)戦」を観戦したのが最初で最後だな。近鉄の助っ人外人、ブライアント選手がドームの屋根にボールが届いてぶつかる特大アーチをかっ飛ばし、ドーム完成後初の「屋根にボールが届いた場合はホームランとする」という規定を適用したという価値ある一発を目にするコトが出来ました。久しぶりに見るゆうえんちも、なんか派手になりましたね。

 もう十数年御愛用の「430前期型」。お客さんご自宅の駐車場でバッテリーを積み替え、そのまま自走して帰ってきました。これからバッテリーのリーク原因を調べます。デ・トマソ期のマセラティもキチンと手を入れて頂けますと、こうして長く御愛用頂けるわけですが・・・そろそろ買い換えない?(ダメだろな、きっと:笑)いかなる場合も治せるというコトになっているのも「イタしカユし」ではあります。商売下手だな、ワタシたち。

   

2012年3月 1日 (木)

普通のイタ車でも、やっぱカッチョいいと思うよ

 もう、昨日の雪かきのおかげで、今日になったら腕がプルプルです(トシあるね:笑)。というわけで、今日はちょっと「小ネタ」でお送りします。歴代のFiat車が登場するコマーシャル(音出ます、ご注意を)http://www.youtube.com/watch?v=sE0eIV-u1GMを発見しましたので、コレのご紹介をば。 

 フィアットは、現在でもイタリアの重工業に君臨する存在。今現在、イタリアに現存する銘柄ではランボルギーニ以外のすべてを傘下に据え、相変わらず「イタ車界」のリーダーシップを取り続けています。企業としての歴史も非常に古く、自動車史を語る上では欠かせない存在です。動画投稿者の方は、現在のフィアットがお気に召さない様子(笑)ですが、どうして、現在でもなかなか面白いクルマを安価に送り出してくるユニークなメーカーだと思います。

 ワタシは思う。どーしても、旧いマセラティやフェラーリに「ご購入予算」や「維持コスト」が理由で手が出ないという方は、キチンとした新旧のフィアットを手に入れてみてほしいと。ここで、アルファロメオやランチアにイカないというところがキモ(笑)なんです。人気の「500」以外でも、「グランデプント」とか「ニューパンダ」とか、どれも信頼性が高くてお奨めです。当ブログ読者のどなた様も「思い立ったら」ワタシたちマイクロ・デポにご相談ください。お待ちしておりますよ!「キチンと乗れるイタ車を持つ暮らし」で人生を楽しみ抜いてくださいね。

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