2012年、GWにフラっとドライブ(その13:浜松のスズキ本社歴史館探訪記⑤)
ここのところの東京練馬は比較的過ごしやすい陽気に恵まれておりまして、「コレは有難いコトである」と思っておったのですが、昨日は雨だわ寒いわでスッカリ体調を崩された方もいらっしゃるのではと思います。皆さん、くれぐれもご自愛くださいね。
ところで、「マセラティに関する情報収集のため」に当ブログに辿りついたお客さんには大変申し訳ありませんが、左側にあります「ビトルボ関連ネタ」とか、「ガンディーニのクアトロポルテ」とか書いてあるスイッチを押して頂きますと、「そっち方面のハナシ」ばかりが出て(いや、ソレもそーでは無いような気がする:笑)まいりますのでぜひ御活用ください。ワタシの無駄バナシを読んでもイイよと云う方は、本日もこのままどうぞ。
・・・まだ、5月1日(火)の午前10:20ってところから(ホントこれ、いつまで続くんだろ:笑泣)。
はい!こちらの「どっちに走って行くか」皆目分からないという形状の商用バンは「キャリィ」でありますが、コレが先般のコメント欄で「Ryo」さんから示唆のあったモデルです。
ジウジアーロのデザイン画から生まれたダケあって、直線基調で構成された独創的フォルムは単なる商用バンにしておくには勿体ないほどユニークで、やはりクルマ好きの心をくすぐります。この展示車は1970年の大阪万博(EXPO’70)会場内のコミューターとして使用された「電気自動車仕様」です。サイドのストライプとロゴマーキングを除けば通常のキャリィと見た目は変りません。
じゃーん!ついに出てまいりました。ワタシが20才で免許を取得して最初に手に入れたのがコレ。このブログでも頻繁に登場しますが(笑)。
「スズキフロンテクーペ」であります。色もこの展示車とおんなじ「コンチネンタルマルーン」でありましたので、その懐かしさも、またひとしおです。
コレがあまりにもヘンで、血沸き肉踊るマシンであったためにワタシのその後の人生は決定付けられてしまったといっても過言ではありません(で、なんでソレがマセラティになっちゃったのかという疑問もありますが:笑)。
なぜか軽自動車の展示コーナー内でも、ひとり「お立ち台」に載せられておりましたので、スズキ的にも自社の傑作製品と認めてくれているのですね、あー良かった。
オドメーターを見るとたったの「21キロ!」本物の新車デッドストックなんですね。エンジンとか時々掛けてやってるのかなー。それにしてもココは総本山だから、ある意味あたりまえだけど、文化遺産級にオリジナル状態を保っております。イジられちゃってる個体しかいまや出回らないからなあー。
低いノーズの中はラゲッジスペース。グリルはダミーかと思うとちゃんとラジエターとサブラジエターが前方にあるんです。水冷リアエンジンの「アルピーヌ系ルノー」でも悩ましい、「冷却水路が長いために水路内のエアを完全に抜きにくい」というサービス上の欠点がこの水冷フロンテエンジンにも同じようにありました。ワタシも当時2回エンジン焼きましたから(大泣)。床下まで覗いてみると・・・結構バッチイ(笑)。あー、ここもキレイに磨いてやりたいな。
続いて、後ろ姿は「フロンテクーペ」になんだか似てるけど、顔を見るとやっぱり別人ですな、というこのクルマ、初代「セルボ」であります。
その後も「セルボ」の名は、スズキのちょっと小洒落た軽自動車の名前として残っていきますが、やはり源流をフロンテクーペに持つ(ボディも、2ストエンジンも)だけあって、初代ダケはクセが強いです。
ジウジアーロのデザインスケッチを基にスズキの社内デザイナーが、強く寝かせたフロントウインドー傾斜角という特徴以外はほとんど原型を留めないほどにモディファイした結果生まれた「フロンテクーペ」のボディを、当時拡大された新しい軽自動車規格に合わせて100mmワイドな全幅に改変したというのが、この「初代セルボ」の成り立ちです。
どういうわけかコレ、女性ターゲットで発売したらしいので、仮に若い女の子が買ってたら、目をシロクロさせたコトでしょう。トレッドが広がったことにより、低く地を這うようなフォルムはさらに強調され、いよいよ抜群のコーナーリング性能を得ましたが、時代の趨勢で残念ながらもはや「カリカリチューニング」のマシンではなく、総排気量が360CCから550CCまでアップしたにも関わらず、最高出力は最強版フロンテから8馬力もダウンしたので、スペックだけ見るとちょっとガッカリです。でも実際にワタシのフロンテクーペに感化されたヤツが当時コレを買ったので、さっそく乗り比べてみると、低速トルクの太さで街乗りでは遥かに扱いやすく、あまつさえ純正オプションのクーラーをブンブン回していてもヘコたれないという、ある意味理想的なシティラナバウトになってました。
・・・やってまいりました。世界最強のコストパフォーマンスと実性能を誇る「名オフローダー」であると折に触れてワタシが力説してまいりました「ジムニー」の最初期型です。
仮面ライダーでも(また出たか!)、「おやっさん」こと立花藤兵衛がコレを悪路に於ける足にしておりましたね。黄色いジムニーの回りを取り囲む、多数のショッカー戦闘員たちの「黒塗りハスラー」というアクションシーンがたびたび出てきたように思います。モデルチェンジのライフスパンが長いクルマはどれもそうですけれど、他の諸々については最終型の方が性能面や品質面で優れたモノになっていったケースが多いものですが、ことデザイン面に関して云えば「原初の姿」に勝るモノは無いという場合がほとんどですね。
初代ジムニーも後期になると、ノーズスリットがヨコからタテに変ってしまいます。なんか、ウイリス系ジープのスケールダウン版に堕してますよね。
まあそれでも、このスケール感は素晴らしい。荷台後部の補助椅子など、一度「ムリヤリ乗せられて」ヒドい目に逢ってみたい(笑)と思わずにはおれません。ジムニーも、いまやこういったオリジナル形態を保っている残存個体は極めて少ないので、コレもこの歴史館ならではの展示車と云えるでしょう。
これは、1970年代のスタンダードボディ「フロンテ71」です。俗に「スティングレイルック」と称します。
やはり当時流行の直線基調デザインですが、昨日御紹介した「コークボトルライン」に比べますと、存在感が薄まってしまったように思えてなりません。1970年代を通して、軽自動車のデザイントレンドは全社おしなべて「本来より大きく立派なクルマのための造形をムリヤリ軽の枠内に押し込んだ」様なモノが多くて、ワタシも若い頃は、1970年代ってデザインの暗黒時代っぽい感じがするなと思ってました。
でも、今になって思うと、ソレらに特有の「時代の仇花」っぽさがイイ味だしてたりするんだよなー。初代スバルレックスとか、三菱ミニカスキッパーとか、ダイハツフェローマックスとか。ああ、何もかも皆懐かしい(トシをとるとなんつーかこう、涙腺がユルむ:涙笑)。
そのようなデザイントレンドの変化をスズキ商用車の変遷の中に垣間見てまいりましょう。
「スズライト」時代の1960年代中盤では、ただひたすらオフィスのスチール家具の如くに真面目で実直なデザインです。どこにも遊びはありませんが(とは云うものの、テールゲート周りのプレスによる造形などは見事としか云いようがありません)、その実直さが却って現代の目で見ると輝いているように思えてきますね。
で、1960年代後半から70年代初頭になってくると、「アヤシゲな」デザインテイストが入り込んできたりします。
口では表現しにくいのですが、全体的なデザインテーマと各所個別の意匠がマッチしていないので、何がヤリたいのかがハッキリと見えなくなってしまい、とにかく「チグハグ」な印象です。ですから、当時の子供の目で見てもコノあたりは「カッチョ悪りぃー」と思ってましたもん(当時、近所の都営住宅に住むジーちゃんが乗ってたのを見ての率直な感想:笑)。しかしながら、この「東欧圏テイスト」とでも名付けたい独特のアンバランスな感じは、今見るとドキッとするほど魅力的に映ります。
で、このあたりが1970年代中期から遠くに80年代を見据えたという感じの造型。まだまだ細かいところを見ると装飾過多気味ではありますが、全体的な意匠はかなりスッキりと整頓されてきた印象を受けます。
コレは「フロンテハッチ」と名付けられた、メインストリームの商用車からは若干ハズれたラインの製品。当時は商用車とも乗用車ともつかないビミョーな存在感が受け入れられなかったモノでしたが。
一応、商用車登録ではありますが、後に「軽ボンバン(4ナンバー登録車)」を日常の奥様の足にするのが普通の出来事となる、そのきっかけをつくった「革命的」商品「スズキアルト」の精神的先祖(商用車を乗用車として常時使用するという意味で)にあたるのはこのあたりかと思います。
続きはまた明日!
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キャリィを横から見ると観覧車のゴンドラに見えます。
このデザインを見てなかなかジウジアーロとは気づきませんね。大衆車・商用車のデザインも多くを手掛けており、それだけ多才な人物なのでしょう。
フロンテは良いデザインです。フロンテと見比べるとセルボは老け顔だな~。なんでライトが引っ込んでるんだろ。ちょっと違和感を感じます。
でも、下の方の車種は共産圏でデザインされたような無骨さがホントに「怪しげ」ですね。これはこれで面白い。絶対に欲しくないけど。
投稿: Ryo | 2012年5月23日 (水) 22時38分
フロンテクーペ、イイですねぇ~♪♪
21キロ、いったいどこを走ったんでしょうね(笑)
バンパー下のフォグがまたなんとも言えませんね!! 真ん中に猫の顔なんかがあった日には、もう卒倒モンですな(爆)
投稿: kkmustang | 2012年5月23日 (水) 23時21分
2000年以降の国産新車でもマルーン色が復活していますが
いい色ですよね。
フロンテクーペに似合っていると思います。
そしてジムニー最初期型。
コレ見ると必然的に「ショッカー」を思い出します(笑)。
投稿: Wさま | 2012年5月23日 (水) 23時49分
スズライトのリアハッチ上縁のかたち、いいですね。フロントガラスの上縁もプレスで庇状になっているのでしょうか。
屋根から開口部に雨だれが落ちてこないように、窓上に樋がついていた時代が懐かしいです。
投稿: おぐ | 2012年5月24日 (木) 01時13分
フロンテクーペにしてもセルボにしても、リアガラスの傾斜が贅沢です。いまどきの軽乗用車は寸法を室内空間に最大限生かすため、ストンと垂直に落ちる後ろ姿が大半ではないでしょうか。ワンボックスやツーボックス全盛のなかで数少ない例外のひとつがコペンでしょうね。フロンテクーペからコペンへ、という流れの必然が垣間見えた気がします。
投稿: 上京FMt | 2012年5月24日 (木) 07時39分