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2012年6月12日 (火)

マセラティ222SRの内装全分解工程(その3)

 はい!こんばんは。今日も午前中から本格的に雨が降り続く天候になってしまった東京練馬ではありますが、そのような中でも作業は精力的に進めておりますよ。本日も昨日の続きで、マセラティ222SRのあれやコレやをお届けしようと思っております。

20120612012012061202 例の「タール状物質」が周囲に散らばらない程度に落とせましたらば、ケースに取り付けられている機構部材を分解していきます。

 コレは顔面送風と足元送風を制御するフラップの駆動部にあたるダイアフラムです。このダイアフラムとフラップとはストップリングで締結された状態のままで取りはずしていきます。この時フラップの軸部はあっさりと折れてしまう(若しくはすでに折れている:泣)場合も多いのですが、この222SRでは、しっかりとしていました。

20120612032012061204 小判型をしたフラップの方は、「ドクちゃん」の腕にあたる部分を分解すると出てまいります。

 二本のタッピングビスをプラスドライバーではずし、指でカバー部をつまみながら、中の爪を逃がしつつ、フラップを壊さないように分解します。

20120612052012061206 各ケース同士の接合部分には、ウレタンフォーム材か、シリコンシーラーによって「目止め」が施してあります。

 それらはすべて一旦除去していく必要があります。

 揮発しにくい溶剤をジャブジャブと掛けてしばらく置き、ふやかした状態になったら、樹脂ベラで掻きとっていきます。

20120612072012061208 ・・・と、フト見ると、はじめから10cm程度の長さでウレタンフォームが欠損しています。

 過去に分解された形跡が無いヒーターケースでしたので、コレはおかしいと思いケースの「相手方」を見てみると・・・

 あー、やっぱりいましたね。ヒーターケースの組立製造時にはすでに一部が裏返ってハミ出した状態で組まれていたコトがわかってしまいました(笑)。ちょうど「Mの字型」のスジが付いているのを右の写真でご理解頂けるコトと思います。

20120612092012061210 こちらは「ドクちゃん」の裏側にある、リア送風口にエアを送るかどうかをキメる「ダイアフラム&フラップAssy」です。

 例によってケースの塞ぎ口にあたるフラップ表面には、ウレタンフォームが貼り付けてあります。当然ここにも、劣化したウレタンフォームを剥がしていく工程が入ります。

20120612112012061212 ブロアーレジスターのギボシカバーはすでにキツネ色に焼けた形跡があります。

 この部分の「焼け」は経年した「すべてのビトルボマセラティ」で見られる症状です。

 塵や湿気、ホコリやギボシの腐食などにより、つねに接触不良気味であるのが、この症状の原因です。ここでは一旦ギボシを除去したうえで、ケース組み立て工程の最後で、ハンダによる直付けとし、熱収縮チューブで絶縁して対策とします。

 もう一つは外気導入口のカバー(デ・トマソマセラティでは、油脂類のスペックプレートが付けられている、アレ)裏に付いている吸入気センサーのカプラーなのですが、絶縁カプラーをめくると、内部の絶縁カバーは風化してコナゴナになっています。この状態も「デフォルト(まじで?:笑)」ですから御心配には及びません。コレはまた、あとで出てまいります。

20120612132012061214 ケース同士が結合されているモノはすべて「最小単位」になるまで分解していきます。

 ここは、バルクヘッド内に顔を出す(カバーは被っているけれど)部分なので、泥汚れも激しい部位ですね。とにかくバラして隅々までも清掃してまいりましょう。

20120612152012061216 こちらは、「外気導入と内気循環を切り替えるフラップ」を駆動するダイアフラム。

 目止め用のウレタンフォームがヒドく無残な様相を呈しておりますので、ここも分解していきます。小さなタッピングビス二本をプラスドライバーではずすだけです。

20120612172012061218 さあ、ここからしばらくは恒例の「エロ・グロ・ナンセンス(笑)」コーナーですから、ご飯食べながら見るのはヤメておきましょうね。

 全体的に分解がすすみましたので、今度は各部材に附着した「タール状充填材」を徹底的に除去していきます。

20120612192012061220

 ところどころには劣化ウレタンフォームも登場いたしますので、先に御紹介いたしました要領でコレも剥がしていきます。

20120612212012061222 どの部材も「オモテはタール・ウラはウレタンフォーム」という感じの構成になっているので、ひとつひとつを完全に除去して清浄な状態にまで仕上げていくには非常に時間と手間が掛かります。

 こういった作業を「みるみるうちに」出来ちゃうとカッチョいいのかもしれませんが、コレでも現在辿りついた工法が一番速くて完全なモノであると信じて取り組みます。「嗚呼、匍匐前進(笑泣)」

20120612232012061224 ウレタンフォームの劣化の仕方には様々な段階があります。表面だけがポロポロと剥がれおちる状態のモノはまだ「軽度」でして、この写真でご覧のフラップなどは、「完全風化状態」になっており、もはや「人口砂」と化しております。

 ここまでイッてるヤツはヘラで掻き落とすと簡単に終わってしまいそうですが、接着剤層だけがガッチリと残るので、ここまでの完全除去を目指すとかなりしんどい目に遭います。

20120612252012061226 ボンネットフードインシュレーターの張替や、天井落ちの修理なども、コレのもっと大規模なモノと御考えくだされば理解がハヤかろうと思います。

 とにかく、第一次フィアット期までのビトルボマセラティでは、低質なウレタンフォームがありとあらゆるところに多用されております(例えば先日のシャマルのドア内部カプラーを覆っていたウレタンフォーム材は触るとモロモロとあっけなく崩れていきました)ので、この素材の扱いに関する勉強は現在にいたるまで随分とヤラされたモノでした(笑)。

20120612272012061228 ・・・はい!「ネチョネチョ・ドロドロ系画像」は終わりましたよー。

 ホントは上の写真どころでは無い量の「ねちょねちょハガしポイント」があったのですが、いい加減クドくなるので(グロいし:笑)ヤメておきました。

 すべてのケース部材に洗剤掛けて水洗いをいたしましょ。あー、ホンの少しだけ爽やかな気持ちになってまいりますねー。

20120612292012061230 ・・・と気持ちよがってたら(笑)思わぬ伏兵が。

 エバポレーターで結露した水は、重力に従い下方へと落下いたしますがそれらの水のドレーンまでの通り道がご覧のようにサビています。

 毎日、常にキレイに水がちょろちょろと流れ続ければ、このようなサビの発生は無いモノですが、「タマに乗る→エアコンつける→水が発生する→下に落下→そこにゴミやほこりが堆積→吸湿する→しばらく乗らない→サビる」という具合に朽ちていくのであります。それでも、この個体の状態は「上」であると断言出来ます。この防錆処理をほどこされた鉄板が原型を留めないほどに朽ち果てているのも中にはあります。

 20120612312012061232

 この導水板は、たった一本の小さなタッピングビスにより固定されております。

 ゴミたちをどけていきますと、埋まってました。精密プラスドライバーではずします。ここにおいて、このビスの頭が残っているコト自体が稀なんです。大概はビス頭部はサビによりすっかり朽ちており、ドライバーを捻ると即座にナメるのが定番です。ここは手が掛かりませんでした。ナメた場合?バイスプライヤーで挟み、ちょっとずつ緩めていくんです。アタマがハサめない程に無くなっちゃってる場合は色んなコトをしてほじくり出すしかありません。

20120612332012061234 導水板がはずれましたので、通常はいよいよ見えない最下段のドレーン口が見えてまいりました。

 はい、またもや洗剤掛ける、歯ブラシでコスる、水で流すの繰り返しを延々とやります。

 特にエバポレーターとヒーターコア、そしてブロアーモーターの入る、このメインケースは枯れ葉や猫などの動物毛、汚泥や金属粉などなどと、様々な種類のヨゴレが附着しておりますので、色々な手段を講じつつ、すべてを落としきるまで奮闘いたします。

20120612352012061236 さあさ、ずいぶんキレイになった模様ですので、すすぎ工程にまいりましょう。ドレーンホース内にも洗剤を入れてありましたので、それもすすぎながら、最終的な「抜け」状態を確認いたします。

 エアコンの発する水分は、真夏の湿気が多い時期などには、驚くほどの量が発生いたします。車体をリフトアップするコトにより、ドレーンホース内の詰まりを突きだす芸当が出来るクルマも世の中には結構あるのですが、このビトルボマセラティでは、まず難しいものと思われます。

20120612372012061238 ケース類(大物)を大体洗い終えましたので、今度は小さな部品の数々を仕上げてまいります。

 それでも、「コレ(ヒーターケースの分解清掃整備)たいへんだよなー、ヤル気しねぇー」と思っているアナタには「朗報」がありますよ。高年式車にすればいい。

 フェラーリ傘下以降の現行「クアトロポルテ」なんかでは、「ヒーターケースAssy(笑泣)」新品交換対応出来ます。どでかいヒーターケースユニットを丸まるソックリ交換です。ちなみにウチに新品在庫あるよ(長さ2m高さ1mの木箱に入ってやってきました:笑)。ダレか買わない?コレ。

 ・・・旧いクルマは、根性さえ発揮してバラせばどこまでも細分化して心行くまで直せるところが素晴らしいですね。

 昨日のコメント欄、「練馬のH」さんと「まおぴー」さんのご指摘に沿ってワタシもおハナシさせて頂きますと、メルセデスでもアウディでも、旧いのは基本的に同じようなモノ。80年代90年代のフェラーリにいたっては、このビトルボマセラティ用とはヒーターケースの製造メーカーも同じで、ほとんど兄弟のような構造(フェラーリの方が何かとひと手間掛けてはある:笑)なんですよ。世の中にあるほとんどのポルシェやフェラーリの20年落ち車は、エアコンかけると色んなものが、吹き出し口から飛んで出てきます。ひとりマセラティだけが「こんな」なのではありませんよ(名誉のために申し添えます:笑)。ちなみに「カップホルダー」、ワタシは絶対に付けませんし、車内で飲み食いもあまりしたくはありませんね(笑)。

 それでは、また明日!

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コメント

この度も堪能させて頂きました、こんがりキツネ色に焼けたギボシカバーにネチョドロ画像。
知らずに乗っていればそれはそれで幸せなのか、とんでもない爆弾を知らずに背負っているというのもおっかない話です。

それにしてもこのネチョドロをあしらいながらの多数の写真撮影、一体どのように…。まさかデジカメもネチョ…。

もう、ホントーにすごい。徹底してます。
思わず「欽ちゃんのどこまでやるの(欽どこ:懐かしい)」の番組名が
浮かんでまいりました。

今日は寒いから、アバターたこちゃん長袖ですね。
体調崩さぬように。

ふだん見えないところはスゴいことになってるんですね。ウチの15年落ちもどんな状態だか…知りたいような、知りたくないような。「匍匐前進」による徹底整備は、オーナーの健康を守ることにもつながっているんですね。お疲れさまです&ありがとうございます。

・・・・昨日の工程の先に、まだこれほどまでにオゾマしい状態が
控えていたとは・・・。

これが現実なのですね。
全てに於いて、ありがたいと思いつつ拝見しております。

それにしても最後の水洗いのピカピカ感 !
プラスチックが生き返った瞬間、なんとも嬉しそうじゃありませんか。

ああ・・・ここのブログ見てると、飲み食い禁止車にまでなってしまいそうな
予感がします(笑)

こんなに酷い状態になるんですね。でもそれを綺麗に再生して送り出しているのですから、頭が下がります。安い値段で売られている同年代のビトルボを他店では購入したくありませんね。今日は、カップさんの引取りでしたね。どーなるかな、そちらは。

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