アホがまた、ダッシュボードを降ろす③(マセラティシャマルの場合)
今日は梅雨の晴れ間で、東京練馬は何とか一日中晴れておりました。まずは、よかったよかった。
ここのところ、こういった「分解ネタ」シリーズを書いていて思うんですけどね、コレをご披露していますのは、「マイクロ・デポが如何にデキるヤツか」というのを喧伝しようとする下心からでもありませんし、DIYで作業をしてみようとする方々への利便のためでもありません。毎日このブログに付き合わされている皆さんの目にはどのように映っておられるかはわかりませんけれど(笑)。
いつも申しておりますように、マイクロ・デポではいまだ「この世界の頂上を極めた」という実感を持っていません。作業のスキル&スピードや、クルマの乗り味に関わるチューニングの領域まで完璧なものをすでに所持するにいたっているとは自惚れておりません。世界は広いです。この日本国内にもウチより上手にエンジンや足回りのチューニングを施すことが出来る(可能性のある)ところは全国に複数軒存在するのを前々から承知しております。
しかしながら当店においては、その出生の特殊性から、「マセラティの日常車化」と「維持費が読めるクルマ造り」に力点をおいた作業に傾注してきてしまった経緯がございます。また、内外装やエンジンルームなど、見た目の仕上がりにも必須条項としての「超絶さ」を(なぜか)当店だけが高度に求められてまいりました。一方で皆さんから頂戴する総御予算は(すでに”高い”と思われているのかも知れませんが)決して「青天井」ではありませんので、その総予算の範疇内でどうにかやりくりをして、「どこに出しても恥ずかしくない見た目」と「完全動作状態」を実現しているといった次第です。
この分解シリーズは、せめて当店の持つ「生真面目な作業態度」と「リーズナブルさ、とは一体どういった状態を指すのか」をこれからマセラティを御購入しようと考えていらっしゃる「予備軍の皆さん」にも御理解頂きたいと念じつつ、毎日ハリ切って更新を続けております。
ビトルボマセラティは、キャブレター時代のものから、3200GTにいたるまで、キチンと動き、また日常的に且つ長い期間楽しんで乗れるように仕立て直すコトが断じて可能です。もちろんオーナーさんの深い愛情も不可欠であるコトは云うまでもありません。これからも当店顧客とその予備軍の皆さま方と、ワタシたちマイクロ・デポとで手を携えつつ、一台でも多くのビトルボマセラティたちを保護してまいりたいものだと一層強く思うところであります。あらためまして、「皆さんよろしくね(軽っ!:笑)」。
前フリが長すぎましたが、早速今日の本題へとまいりましょう。
ダッシュボード右側のエアコンリレーをはずしますが、先日の222SRとはネジの取り付け位置が異なっております。あちらはリレーを一旦抜いて、その下に隠れておりましたが、このシャマルでは、カプラーの根元の方にビスが入っておりました。しかしながら、これはこれで正解のひとつなんですよ。
この写真が、電子制御サスのコントローラーユニットです。グローブボックスの取り付けステーに7mmなんていうヘンな寸法のボルト&ナット二組で締結されております。
コレも初めから「イカにも後付け」といった取り付け方をされているものでして、この状態で正解です。ダッシュボード側に付いているというコトになりますので、このユニットも一旦はずしておきましょう。
メータークラスターもはずしていきましょうね。シャマルも222と同様にダッシュボードを貫通するタッピングビスにより締結されております。
ギブリやクアトロポルテになりますと、メータークラスターをはずすだけでも一大事になってしまうのですが、ソレはまた別の機会にお届けするコトといたしましょう。
・・・と、メータークラスターをはずした跡地の穴からヒーターケースがどんな具合になってるかと覗き込みますと・・・あちょー!なコトになっておりますよ。
ダッシュボードとヒーターケースの間に、ダッシュ中央部分のスイッチ群へと繋がる二本のメインハーネスが挟まれた状態になってしまっているのが左側の写真でお分かりになれると思います。あー、やっぱりダッシュボードを一回降ろしてたんだな。ソレにしてもチャンと組んで欲しいものではありますよね。
いつものように最後はステアリングコラム降ろしです。17mmの締結ボルトをソケットレンチではずしていきます。
いとも簡単にはずれてくれました。
「おーい!たすけてー」と三男をサポートに呼びまして、ダッシュボードをえっちらおっちらとオモテに運び出します。ここまでくれば、ようやくホッとするひと時ではあります。
・・・でも、ホッとしている間も無く、先ほどの「ハサんじゃってる」ハーネスが白日の下に晒されてまいりました。
ねっ?先日おハナシした様に、せっかくダッシュボードを降ろしても、「ネチョドロ部」までもを貼り替えて作業をしてくれるところはご覧の写真のようになかなか無いワケであります。再々申しあげますが、コレは「やらせ」ではありませんで、真実の姿をそのまま実況中継しているものであります。再びステアリングコラムをポストに締結して、走行可能状態に戻しておきます。
さ、気持ちを新たにリア周りをバラしましょう。真ん中のボードを先にはずします。二本のタッピングビスを取って。下側を浮かせつつボードを抜き取るようにハズします。
ここはシャマルだけに独特のパーツ割りではあります。皮が色々と張り付いていたりいたしますので、ビスをはずしても通常は微動だにいたしません。こういった場合には、自信を持って分解方法を知らないと、思い切って作業をすすめるコトが躊躇われる部分ですね。
そして、続いてはリアシートのセンターボードもはずしますが、前にココがガッチリ張り付いていたシャマルに遭遇した時には往生したモノです。
今回は特別にハマる事も無く、無事に分解が出来ました。このあとの分解順序は左右クォーターボード→リアトレー→左右Cピラー内張りトリムの順ですが、今日は収拾が付かなくなるのでここまででヤメておきましょう。
ヒーターケースを降ろす時には、冷却水が幾らか室内に出てまいりますので、出来るコトなら、助手席側のカーペットとフロアインシュレーターをはずしておきたいモノです。
助手席のシートベルト支持具を取りはずし、カーペットをサイドからキチンとめくれるようにします。右フロントフェンダー裏の右フロントスピーカーをはずし、スピーカー下に敷かれた小さなカーペット部材も除去します。
カーペットをめくると、フロアインシュレーターが姿をあらわします。
左の写真の中心部にある「丸いヤツ」なんだかわかりますか。コレはセンターコンソール右側カーペットのグロメットの下に入るハズの樹脂ワッシャーです。前回「省略」されてしまっていた部品の一部がこんなところから発掘されたというワケですね。フロアインシュレーターをハグリ出し、コレでヒーターケース降ろしとメインヒュ-ズボックス根源対策への準備は万端です。・・・この状態で走れちゃう(良い子はやっちゃダメよ:笑)ところが痛快ではあります。
その後のシャマルはヒーターケースも降ろされて、現在メインヒューズボックスの根源的対策工事中です。二階ではダッシュボード自体の分解と各部張替作業も並行して行われております。222SRもそろそろエンジンがかかりそうですね。
それでは、また明日!
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コメント
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めちゃくちゃ宣伝じゃないか。
でも許す。
ここまで以上やってんの知ってるから。
実際はリアルにもっとすごい。
もっともっと宣伝でも喧伝でもすればいいと思う。
英訳して、アメリカ、ヨーロッパに攻め込んでいけばいいのにといつも思っている。
少なくとも、デトマソ期のマセラティについては世界トップレベルじゃないかと思う。
もっとも、デトマソ期を扱うところも少ないだろうけど。
ヨーロッパ人は絶対こんなことしない。
ということは、世界一じゃないか。世界一なら宇宙一だ
総予算が高価ね、まあ、普通の人はそう思うよね。
カーセンサーの値段と比べるから。
比べる方が馬鹿なんだけど、そりゃ一般人には通用しないわさ。
その意味からでも、もっと宣伝すべきだ。
「ビトルボマセラティは、キャブレター時代のものから、3200GTにいたるまで、キチンと動き、また日常的に且つ長い期間楽しんで乗れるように仕立て直すコトが断じて可能です。」
ここまで言い切るんだな。
すごいぞ、デポ
ますます値引き交渉出来ねえじゃん。
投稿: りゅたろう | 2012年6月18日 (月) 20時51分
「予備軍の皆さん」にも真摯な姿勢がしっかり伝わると思います。
頑張って働いて、デポ車を買おう。
人生を豊かにしてくれます。
投稿: Wさま | 2012年6月18日 (月) 22時36分
週越えのシャマルネタですね。このブログの分解ネタは、デポの宣伝で、布教でいいと思います。ここまでやっているのを、紛れのない真実として見せているのですから。そして、手の掛かった物は高い、これも紛れのない真実です。そうして、生産台数の少ないビトルボマセラティだからこそ、この超絶デポ仕上げをすることの意味がある訳で、生産台数の多い、ベ○ツや、ポ○シェ、はたまたト○タにこれをしたところで意味はないでしょう。まあここまでしないと、ビトルボマセラティ達は機嫌を損ねて、いつも入院ということになるわけですから。またデポ超絶仕上げをしていても、青カップさんみたいに入院になることもある訳で、奥が深いです。って青カップさんの原因判明しましたか? 安くビトルボマセラティを手に入れたい(よーくわかります)。しかし、余りにも安いのは、故障が、将棋倒し的に、連係プレイでやって来て、いつも入院で、修理代ばかりで、車両価格を超えてしまいそうですね。そんなブログを見たことありました。あッ!!そういえば、「りゅたろう」さんのシャマルも入院中だったんですね。あのヴェトロモンターニャ高野山2011でたこちゃん夫妻とともに1000kmも走ったシャマルが、なんのトラブルなんでしょうか?興味がありますが。。。
投稿: 練馬のH | 2012年6月19日 (火) 00時47分
週明けからハイペースでありますね。
バラされたシャマルの中が、ゴチャゴチャとしているはずなのに、
赤という色のせいでしょうか、お肉みたいできれいです(笑)
私は機械に感情が有るとは決して思わない方ではあるのですが、
ここまで優しく丁寧に、しかも確実に作業してもらえると、さすがに
「この車は嬉いと感じているだろうな」と思ってしまいます。
いや、もしかしたら
「いやん、恥ずかしい」かしら(笑)
いやはや、職人技による的確な作業は、何度拝見しても小気味良く、
楽しいものであります。
それにしても、SRはもうエンジンがかかっちゃうんですか?
早いなぁ・・・(笑)
投稿: Hでございます | 2012年6月19日 (火) 03時05分
皆さん、いつも遅い時間にも関わらず、日々コメントを有難うございます。
↑↑「練馬のH」さん、青カップちゃんは、「絶好調絶賛稼働中」で、コマっております。コンピュータまでチェックいたしましたが、コレといった問題も無く、燃圧をチェックしても異常がありません。只今わざと寝かせてみております。「りゅたろう」先生のシャマルは昨年の高野山のあと(とある御本人の意向により:笑)そのままデポに帰還してお預かりしているモノです。金時計の内部照明のタマの接触不良の解決と、代々移植してきている「オーディオセット」の取り付け(内装半バラシが必要)、助手席足元右側カーペット(先週末のこのブログで触れました)をもうちょっとなんとかする(笑)などの追加ミッションがございます。クルマは絶好調なんデスヨ。
「りゅたろう」先生、もう少し待ってくださいね。「三日続きの好天候」があればなぁ・・・。
投稿: たこちゃん | 2012年6月19日 (火) 05時07分
一般論的には、昔は仕事が素晴らしければそれでOKだった職人さんも、昨今の世の中の有様においては、情報発信(扱うものの成り立ちとか自分の技能について)の能力まで求められているようです。好むと好まざるとに関わらず。
まこのブログについては、そういう意味もありつつ、寧ろたこちゃんさんの限りないマセラティ関連サービス精神とやるからにはとことんやらねば精神の、類い稀な発露だと思って個人的には有り難く拝見しているというところです。
投稿: おぐ | 2012年6月19日 (火) 09時13分