本日は、イタリア人も日本人も、どっちもしょうがない(笑)
いやはや、本当にお客さんという存在は有難いものですね。今朝も「練馬のH」さんがたくさんのお土産を携えて御来店、また夕刻には「テツヲタ」さんもお茶をいっぱい差し入れしてくださいました。日暮れと競争での作業であったので、ワタシ自身が満足に御相手出来なくて恐縮です。
今日のお題は「マセラティシャマル」のボディに付いた凹み取り(デント)と、マセラティ222SR(朝霞のHさま号)のヒーターケース降ろしと分解の二本立て。とりあえず、シャマルのハナシで今日はイッてみましょう!
いまだアヤシゲな空ではありますが、雨がほぼ上がってきた様子なので、早速戦闘開始でありますよ。
左右のドアに細かくたくさんの凹みがありましたので、デント作業でひとつひとつを取って行こうと思います。
はじめのうちは、ドアの内張りをはずさずに突破しようと思っておりましたが、やっぱりアマかった。シャマルのドアはボディ外皮の基本的形状こそ222などと同じですが、内側のビーム部分がスパイダーザガートやカリフと同様に天地方向に幅が広いうえ、ボディ外皮裏側とのスキマもほとんど無く、さらにそのスキマにはシーリング剤が充填してあるというシロモノ。シーリング剤を少しずつ切り進めては、デント棒を突っこむという匍匐前進が繰り広げられております。
まあ、今までウチのネットワーク内にあったクルマではありませんので、先天的(イタリア人のシワザ:笑)にも後天的(こっちは日本人のせい:再笑)にも色々な問題点がありますね。
詳細は写真をご覧になってくださいな。ドアの内張りなど、すべてのネジが間違えられていまして、しばしクチが「あんぐり」。とにかく愛が足りないんだよなー、マセラティに対する愛とリスペクトが(泣)。
立派なスピーカーがあつらえモノで取り付けられておりましたが、スピーカーの裏側には防水さえ施されておりませんでした(このスピーカー造作と、トランク内への巨大アンプの設置、1DINオーディオ本体等々の取り付けと配線で既に27万円の工賃(機器は持ち込みに付き別料金)が過去に支払われていたのが、過去の明細書により明らかになりました)。さらに ドア内側のビニールシートは、梱包用テープで無造作に貼り直してありました。所詮、世の中で栄華を誇ろうと思えばそんなモンなのかも知れません(泣)。
・・・さあ、一方で逆境になればなるほど盛り上がる「マセラティへの情愛」の炎!「超絶仕上げへの道」はたった今第一歩を踏み出したばかりです。ワタシの云う「超絶」とは見えるところだけの美しさを誇大に表現しているわけではありません。それがダレのせいであれ、すべての「アラ」をプチプチとつぶしていったその先に待つ「マセラティの本当の素晴らしさ」を我が顧客の皆さんに味わって頂きましょうという気持ちをいささかオーバーに標榜していると御理解ください。
デント職人さんは必死にシーラーを切り進めつつ、凹みとり作業を一心不乱に行っております。
作業を進めるうちに、「コレはもう、左右ともにウインドーレギュレータとドアウインドー、そして、ラッチ金具をすべて除去する必要が出てきてしまった」と判断したので、ワタシはデント作業中ではない方の助手席ドア内部から分解作業をはじめました。
窓をはずしてしまうので、空模様が気にはなりますが、この際イッてしまいましょう!・・・で、すべてを取り外してドア内部を見ると・・・「ギョエー、インシュレーターがトロけて床に落っこちて貼り付いちゃってる!(前にもマセラティ222SEで似た様なコトがありましたよね)」。このメーカー製造時のチョンボは、マセラティ430の後部ドアでよく見るモノですが、2ドア車でここまでヒドいのは、10年くらい前にやったマセラティカリフ以来かもしれません。とにかく、ここまで「パーフェクトに」水抜き孔が埋まってしまっている事例は今まで見たコトがありませんでした。
とりあえず、水抜き孔を貫通させてみます。
ああ、ここまで床に分厚く残ってしまうんでは、仮に孔だけをすべて貫通させても、水の流れが淀んでしまいます。水は入ってもキレイに排出されれば、すぐにサビなど出ないものです。この時期のビトルボマセラティのボディ用鉄板には、本塗りの下に「防錆皮膜」が形成されておりますので、実はサビには結構強いのです。しかしながら、長期に亘って溜まりっぱなしでは、やはりサビの発生を食い止めるのは難しいでしょうね。
というわけで、ズリ落ちてしまっているインシュレーターの「全摘出」、急遽コレをやらなければならなくなってしまいました。
ドア内部を一旦強力な洗剤で水洗い。続いてカッターナイフと、先が細くてカドのヘタったマイナスドライバーを用いて、ひとカケラずつ除去していきます。コレは本当に根気と忍耐だけの作業です。今までずーっと「見て見ぬふり」をされてきた問題点ですけれど。
二時間掛かって、慎重にインシュレーターを除去いたしました。剥がしてみるとやはり若干のサビが出ています。
サイワイであったのは、過去のオーナーさん方が皆さん原則雨天未使用であったらしいこと。そして、しっかりしたガレージ保管を励行してくださってきたコトですね。この状態で普通に雨の中を走行すれば、間違い無くドアの内部には四センチほどの水位で水が溜まりっぱなしになります(ドアを閉めるとチャポンチャポン音がするようになる:笑泣)。
すべてを剥がし終え、有機溶剤で丁寧に何度も脱脂作業をいたしました。
やはり、ホンの軽症ではありますが、いくばくかのサビが散見されます。
さすがに7時になると日も暮れてまいりましたので、エアガンで内部を乾燥させ、錆転換剤を流し込むように塗布いたしました。
ドアの底面は、まず普段見るコトが無い部位ですが、チラっとでも荒れた部分が見えると興ざめですね。
せっかくゴムフラップをはずしてしまいましたので、こういったところもキレイに仕上げていきます。
この段階で、反対側のドアもデント完了以外バラしっぱなしで、すべては明日に持ち越しです。
あー、明日も早起きしてガンバロ。222SRのヒーターケース内部洗浄と、このシャマルの両ドア組み立て仕上げが、明日のワタシに課せられたミッションになりそうです。
続きは、また明日(の予定なんだけど、書くチカラが残ってるかなー:笑)。
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コメント
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やはり「手抜きはイカン」を肌で感じる内容です。
クルマも人生もいろいろあるもんだ。
明日もコツコツ頑張りたいと思います。
投稿: Wさま | 2012年6月 6日 (水) 23時13分
昨日はお世話になり、130分の1台の222 4vと369分の2台のshamalを拝見させて頂き、有り難うございました。しかしshamalドア内部が大変なことになっていますね。手作りっていっても、ぞんざいに作っていては、むしろオートメーションで作るのより劣ってしまいますね。どの世界もテキトーな輩はいます、やっつけ仕事っていうのは虫酸が走ります。コツコツの手仕事に感服致します。疲れたときは甘い物か、ちょびっとアルコールですかね。
投稿: 練馬のH | 2012年6月 7日 (木) 00時11分
こうした丁寧な仕事をしてくれる職人さんがまだ居る、ということは嬉しいことです。
しかも仕事ぶりだけでなくそれをブログにして楽しませてもくれるという、いやはや。
明日はこねたでしのいで頂ければと。
投稿: おぐ | 2012年6月 7日 (木) 00時45分
ドアの中までこの作業、スゴイです。しかも製造時までさかのぼって誤りを正す。愛なくしてはできません。しかしお疲れでしょう。どうぞお体お大事に!
投稿: 上京FMt | 2012年6月 7日 (木) 10時08分
ドア内側の物語、ですね。アリエッティみたいなのが住んでいてくれたら、いつもキレイなのでしょうが。
それにしても梱包テープにマスキングテープ、辛い、ツラすぎる。しかし又一台、後世に残るビトルボマセラティが誕生するのですね。
投稿: 一松 | 2012年6月 7日 (木) 12時38分
はじめてコメントいたします。
田舎の’01 コーンズセリエスペチアーレ乗りです。
近場に面倒を見てくれるクルマ屋さんはありますが,きっとマイクロデポさんが『最後の砦
』なんだろうなぁと思いつつ,いつも楽しく『素晴らしい職人魂』を拝見させて頂いています。
腰を労わりつつお仕事頑張ってください。
投稿: shogold | 2012年6月 7日 (木) 13時12分
一体デポはどこを目指しているのだろう??
おそらく当人たちにもわかるまい。
行き止まりのない道、どこまでも続く1本の道。
出口も頂上もない。
歩き続けるのみ。
もうとっくに羅針盤なんかはありゃしない。
無論地図もない。
どこに行こうとしてんのかな?
そういうアホどもでよかった。
感謝します。
投稿: りゅたろう | 2012年6月11日 (月) 19時52分