マセラティ222SRの内装全分解工程(その2)
いやいやいや・・・。今日も朝から雨がパラ付く東京練馬ではありました。天候のせいか、左の肩、コシ、首筋そして後頭部や奥歯にいたるまで神経痛がいたします(泣)。・・・すっかりトシあるね(笑)。先日、「練馬のH」さんから頂戴した「鳥手羽煮」を肴にウーロンハイでも飲みまして、今晩は英気を養うコトといたしましょう。
今日は、先日のダッシュボード降ろしの後、さらに深く「降ろしと分解」まで済んでおりました、マセラティ222SRのヒーターケースをキレイに仕上げてまいりましょう。
本日は各部を洗浄してしまう前に、これからヒーターケース内の「20年分の使用感」といったものが通常どういったものであるかをご覧になって頂きます。些かならず「グロい(笑泣)」画像が以下頻出いたしますので、食事を採りながらの閲覧はお奨めいたしませんよ(笑)。
エバポレーター&ヒーターコアと、ブロアーモーターを設置するメインケースがコレです。
底の方には枯れ葉や土埃がいくらか堆積しているのが見てとれますが、コレでも「最上級(ホント?)」にキレイな部類です。それぢゃ、「最低級(笑)」はどんなかと申しますと、いくらワタシでもここで開陳する気持ちにはならないくらいにスゴイ状態です。コレはマセラティに限ったコトではありませんで、国産車でもドイツ車でも、軽自動車でもロールスロイスでも、経年すればこんなモノです。知らなければシアワセというヤツですね。最近のモデルはエアコンフィルターを装備しておりますので、中が「こんな」でも、送風の段階で「いくらか空気を濾過」するコトにはなっておりますが、そのフィルターの価格は妙に高価で、交換作業も意外とたいへんなモノが多いです。
次に取り出したるは、ブロアーモーターです。写真ではまあまあキレイに見えますが、軸受のメタル部が完全にロックしており、再生が不可能なダメージです。
こういった場合は、惜しげなく新品交換をするに如かず。
あー、また精度の出てない新品と組みたて時には闘うコトが決定してしまいました。
フロントウインドーデフロスター送風と、顔面部&足元送風を切り替えるフラップは頑丈な全金属製ですが、作動してそれぞれのダクト裏を塞ぐ状態になった時には、表面に貼られたウレタンフォームが受ける様になっております。
しかしながら、経年で、ご覧のようにウレタンフォームは粉々に風化いたしておりますので、既に、密着、音止めなどの本来の目的の役に立たないばかりか、この千切れ飛んだウレタンくずたちが、ヒーターケース内を浮遊すれば、異物としてブロアーモーターをロックさせたりいたしますし、ケース外に排出されれば、室内が「砂だらけ状態」となってしまうわけです。コレを根源的に対策する唯一の手段は、本日ここで御紹介している工法を講ずる以外には無いのであります(これホント:笑)。
マイクロ・デポでは、納車時整備のオプション(別途実費)として、コレを10年も前から設定し皆さんにお奨めしておりますが、この作業の価値を御理解頂くのには毎度の商談の中でも苦労しております。まあ、知らなきゃ知らないでいいこともあるのかもしれませんけれど・・・。
今度は、ボディのバルクヘッドに頭部が顔を出す部分、「外気導入口」です。
ダッシュボード降ろしの時に出てきたメンバー、「ブロアーレジスター」とか、室内の「エアコンコントロールユニット裏のカプラー」とかが、ここに一緒になって出てきております。普段はてんでバラバラな場所に付いてるかの如くに見えるメンバーたちが、すべてをバラして見ると、実はこうして「ひと繋がり」になっているんですよ。なかなか面白いものですね。
毎度おなじみの「土偶のドグちゃん」でーす!左がダッシュボード中央部の後ろに来る部分、右がソレを裏から見たところ。
「ドグちゃん」の髪の毛とまつ毛にあたる部分の黒々とした物体は、ダクトとのスキマを埋める充填材です。幾らか湿気を吸わせようという効果を狙ってか、本来は発泡させた柔らかいタール状の物体ですが、経年するとポロポロと崩れ落ちるようになり、こうなってくると処置無しです。とにかく溶けたりつぶしたりすると、真っ黒に色がうつるところが大問題になってきます。アイボリーやタンなどの淡色系の内装のクルマでは特に気になるところでありましょう。
以下の工程でコレを落としていきますが、とにかく、先に落としておかないと、ゆくゆくの工程でも作業の障害になってまいります。
写真のこの部材は、ダッシュボード中央部と、ダッシュボードデフロスター部のダクトにそれぞれ接しつつ貼りつけてあったものです。アップにしてご覧になると、いよいよ見るからにヤバそうなシロモノでしょ。
続いては、外気導入と内気循環の切り替えを司るフラップは樹脂製。ウレタンフォームをサンドしたビニールの皮膜が覆います。
それが、このようにすべて分離して(泣)出てまいりました。あーあ。
フラップの取り付け軸もすでに片側が欠損しております。これも復元していかねばならないパーツというコトになってしまいました。
はい、コレがこのケース内での一方の主役構造材である「ヒーターコア&エバポレーター」セットです。
劣化ウレタンフォームやタール屑、ホコリや枯れ葉で結構ニギやか(笑)なコトになっておりますね。さあ、まずはコイツから手をつけてイキますか。
数分の後、今度はウォーターガンでジェット水流を吹きつけて洗浄いたします。
この工程をまずは3回程繰り返します。
コアの中に入りこんだ汚れをすべて落としきるように、様々な角度から洗っていきます。
すすぎもしっかりと行わなければなりませんね。30分程度流水ですすぎ続けます。
仕上げは高圧のエアで水分を吹き飛ばします。最後にこうするコトで内部に残った屑もコアの外に排出されていくのを期待しています。
今度はケースに付着している難物、「タール状充填材」を除去する作業です。
この写真でその取扱いの困難さをなんとなくご想像ください。
今までに何台も「ブロアーモーター交換歴」のあるマセラティをバラし見る機会がありましたが、こういったところをキチンと貼り替える様なシゴトがしてあったクルマにはお目に掛かったコトがありません(笑)。
とにかく、少なくともワタシの美意識とか良心(って、有るのか?オレに:笑)の中ではコレを見て見ぬフリは出来ないわけで、ホントに貧乏性な性分だよなー。
樹脂のヘラを用いて「匍匐前進」を開始いたします。まずは少しずつ掻き取っていきながら、徐々に追い込んでまいります。
劣化したウレタンフォームは、表面の「砂化」した部分を先に掻き落とし、残った接着剤部分は、様々な種類の有機溶剤を段階的に用いつつ、完全に除去出来るまで頑張ります。
まー、ここまで来るのにも、いったい何組のビニール手袋を捨ててきたコトか・・・。
それでも、徐々にワタシのコシが立たなくなって(笑泣)いくのと反比例するように、各部がキレイになっていくのを見るのは気持ちの良いモノです。
一日中溶かしては剥がし、剥がしては拭き、拭いては洗い、を延々と繰り返します。
で、左のような劣化物付着状態を、右のようになるまで仕上げていくのです。
今日はとりあえず、ヒーターケース仕上げのとっかかり部分のみをご紹介するに留まりましたが、なんと、ここまででまだまだ進捗15%程度なんですよ(笑泣)。
先が思いやられるコノ続きは、また明日のココロだぁ(笑)。
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コノ続き、またまた思い出す、木の葉のこ。
字余り(笑)。
投稿: Wさま | 2012年6月11日 (月) 22時39分
とにかくこれだけ劣化しきっている代物を、新品以上にぴかぴかにしてしまうというのはまあ何とも、気の遠くなる所業でございます。すごいなあと嘆息するのみでございます。
投稿: おぐ | 2012年6月11日 (月) 23時18分
土偶のドグちゃん、かわいいですね。最後の写真では付着物を落としてもらって気持ち良さそうです。
投稿: 上京FMt | 2012年6月12日 (火) 00時27分
あぁ、もう見ているだけで、綺麗な車内の空気が想像出来てしまう様な・・・。
どこぞの高原に行ったところで、きっとこの車の車内の空気の方が美味いに
違いないと思います(笑)
あぁーダメだ。
やっぱり絶対禁煙車だ(笑)
しかしこの先、まだまだ難関が待ち受けていらっしゃる様で・・・。
しかと見届けさせて頂きます。
投稿: Hでございます | 2012年6月12日 (火) 02時08分
風邪でダウン気味です。今日は寒いですね。昨日のうちにコメント入れられませんでした。これらの経年劣化は、マセラティだけにひどく起こるのでしょうか?他の車種ではそれほど気にならないものなのかな。後は新品に換えても良いけど、めちゃくちゃ高価だったり、モノがなかったりするのでしょうね。しかし綺麗になると気分もすっきりですね。ご苦労様です。
投稿: 練馬のH | 2012年6月12日 (火) 15時15分
うーん・・・。ただただ「凄いなぁ」としか言いようがありません。
ちなみに、練馬のH様の「他の車種では・・・」ですが、15年目の普通の日本車でエアコン一式交換してもらいましたが、ウレタンフォームはやはりボロボロでした。おまけにダクトの中には虫さんの屍が・・・。
この上を通った風を直接顔に受けて「涼し~い」なんて言ってたんですねぇ。おまけに、一時期はエアコン吹き出し口にカップホルダーを付けて、そこに口を開けた飲み物を置いて、ぐびぐび飲んでたんですねぇ。虫さんの屍エキスがエアコン吹き出し口から一緒に出てきているかもしれないのに・・・。
教訓 : 知らない方が幸せなこと、それは意外なほど身近に存在する(笑)
投稿: まおぴー | 2012年6月12日 (火) 18時44分