マセラティスパイダーザガートを納車するハレの日
わーい、わーい!今日は天気もいいし、絶好の納車日和。”名古屋のWさま”マセラティスパイダーザガートの「納車の儀」を午前中からとり行いました。お土産に頂いた”味噌煮込みうどんセット”を今日一日のハゲミにして(笑)元気よく過ごすコトが出来ました。本当に有難うございます。無事に御帰りになったかなぁ。(→無事に400Km弱の道のりを走破して、名古屋にお着きになったと、メールを頂戴いたしましたので付記しておきます。有難うございました。 PM19:20追記)
ここからは、昨日のデポ場内の風景です。朝一番でホイールをはずし、リフトアップしたまま作業を開始いたしました。
はずしたホイールはオモテでワタシがシコシコと洗っております。朝の水仕事が結構ツメたく感じられる気候になりました。気が付けば10月も過ぎて行くのですね。ああ、そろそろ「鍋」がウマい季節だなぁ・・・。
・・・なんて、ワタシが感傷にヒタりつつホイール洗いをヤッてる間に、場内の「ゴリさん(三男)」はつるつるとラジエターを降ろし、ウォーターポンプを替え、新品タイミングベルトを張り・・・あっ、もうカバーが付いちゃってる。
このように、過去に一度大掛かりな重整備を当店で施してある個体では、再度整備する段階での「ハマり」が少ないので、本当に助かります。一本のボルトを抜くのに、エアツールで5秒の場合もあれば、ボルトが折れて、ソレを除去するだけで3日になっちゃう場合もある、というのがイタ旧車の世界。
喜ばしいコトに、今回は「(泣)」系のトピックスがありませんでしたので、ここからは急遽予定を変更(笑)して、またまた下周りのおべんきょーの時間(最近コレばっかし)。
昨日のマセラティギブリや先日のマセラティ430などと比べて頂くのも、また一興かと思います。似てるんだけど違うところが面白いですね。リア周り中央部は、やはりスペアタイヤの存在が目を惹きます。マセラティレンジャーデフのデフクーラー装着車や、いわゆるフェラーリデフ車においては、スペアタイヤとその吊り下げケージがオミットされます。昨日のギブリでは、ここにチャコールキャニスターがぶらさがってましたね。ここには写真がありませんが、スパイダーザガートでは、ソレがエンジンルーム内の左前方に位置しています。全然付いてる場所が違うんですね(モノは一緒ですけど)。
左の二枚の写真は、上が車体後方で、下が車体の前方です。
ビトルボ期のマセラティでは、床下のボディフロア造作部分全面に「チッピングガード」塗装がゴッテリと分厚く施されています。概してビトルボ系マセラティにおいてはボディのサビによる損傷というのが、経年を考えれば非常に少ないですが、こういった見えないところのひと手間もその一環を支えているモノと思われます。このガード塗装、ひょっとすると「旧ガ○ーヂ伊太○屋」さんがインポーターであった頃に日本仕様独自のモノとして採りいれた仕様なのかも知れませんけど、旧いロールスロイスなども床下はこのようにガードされているものが多いです。
今度はフロントバンパー周辺です。後期型フェイスのビトルボマセラティにおいて、そのバンパー材質には二種類あり、柔らかさが違います。
バンパーのアンダーカバーは前期型フェイスのものには付いてません。この写真からも「フォグランプの電球交換は大変そう」であるとの想像が容易に出来ると思います。フロントスタビライザーの線径は、シャマルにおいてはもっとずーっと太くなっております。
さあ、このカットは今までに御披露したコトが無い角度だと思います。左の写真がフロントバンパー右側内部の状態、右の写真が左側内部の状態になっちゃってます。ややこしいコトしてすみません。
「ヒャーン」音で御馴染のエアホーン二連はこんなところに入っているのでした。サイドマーカーの電球を交換するのも、クルマの下にこうして潜るか、腕のながーい(しかもヒジから先だけが)ヒトにたのんで、バンパーの裏を弄ってもらうか(若しくはステアリングをフルに切って、フェンダーライナー前半部をはずすか)でどちらにしてもワンタッチでは叶いません。その隣にある「バキュームポンプ」と称しているヤツが、エンジン始動後に「じーこら、じーこら」と音を出している部分です。
ウインドーウォッシャータンクは結構大容量ですね。ウォッシャーポンプの代表的なトラブルはポンプ吸入口にあるネットフィルターの詰まり。タンク内に経年で生成された「澱(オリ)」がネットを詰まらせて「音はすれども、水は出ず」となります。ポンプのタンク取り付け基部にあるゴムパッキンがダメになって、ここからウォッシャー液が浸み出てしまい、気が付いたら「カラ」というトラブルもあります。いずれの場合も、その攻撃方法は前項「サイドマーカー電球交換」と以下同文であります(泣)。
リアのブレーキ、ディスクローターはソリッドです。現今スーパーカーの些かバケものじみたローターを見慣れた目には「コレで大丈夫?」と思われるかもしれませんが、必要にして充分以上の耐フェード性がありますのでご安心を。ローター内部にはブレーキライニングを装備し、コレをパーキングブレーキとしていますが、その効きは皆さんが良く御存じの通りで「必要にして不十分(大泣)」なシロモノです。車検場では「エビぞる様に」レバーを引いて、検査を通過するコトが出来ますが、毎度そんなヒキ方してたらインナーワイヤーがダルダルになってしまいます。オートマ車の方は、シフトセレクターを必ずPレンジに、マニュアル車の方は、必ず”1”か”R”かのポジションにギアを入れたままエンジン停止してクルマを離れる・・・マセラティに限らず、フェラーリなど旧いイタ車乗りには、いまや常識のハズ(笑)です。
ゴムを鉄板に焼き込んだエンジンマウントは、ギブリのものと違いますよね。こちらは今でもリーズナブル価格なので、車検二回に一回の頻度で、最低でも交換しておきたいモノです。
洗いあげた四本のホイールは裏も表もツヤ出し剤で仕上げておき、装着の時を待ちます。
現在、前後のタイヤサイズが異なるスパイダーザガートやカリフの場合、前後同銘柄同シリーズで選定すると、こちらのTOYOプロクセスという選択のみとなっております。「マイナーな番手」救済銘柄の「プロクセス」さんには、今後もフンばってほしいモノです。あっ、サイズ違うけど、228やシャマルもそうですからね。
このマセラティスパイダーザガートというクルマ、ワタシの後半生をクルわせた張本人というくらいの逸品ですから、「イタリア車マニア」の方々に限らず、「クルマ好き」を自称される方々は、やはり一度味わってみて頂きたいモノです。「剛と柔」が高レベルで調和した上に、絶対的な動力性能やハンドリング領域においても、ソレが完調ならば素晴らしい世界をお楽しみ頂けます。その上、オープンエアは最高ですよ!
それじゃー、また明日!