マセラティクアトロポルテV6前期型にフューエルクーラーを新装してみた(H24.11.8:改訂版)
あろはー!(やっぱ、コレが無いと調子が出ない:笑)・・・今日は昨日と一転、カラッと晴れ上がりましたので、午前中のワタシはクアトロポルテエボV6からフロントウインドーをはずすミッションを春日町の作業場において”いつものガラス屋さん”と一緒に行ない、一方デポの方ではコチラのクアトロポルテV6前期型のエアコン真空引きとガスチャージを完了。エンジンを掛けての関係各部動作チェックが出来ました。さあ、ワタシも午後からは、はずしてあった”目ん玉”周りも組み立てよっと。
名古屋の正規ディーラーで鈑金塗装に出してるうちに、どういうわけかヘッドライトやフォグランプの内部が曇ってしまっておりました「名古屋のKさま(お待たせして居ります)号」なんですが、フューエルクーラー工事のついでに全部はずしておきまして、せっかくですから内部もキレイにさせて頂きました。左の写真が組み立て前の様子。で、右の写真が夕刻に組み上がった状態です。まずはキリッとした視線が甦りました。
・・・ハナシは前後してしまいますが、せっかくですから、最近流行の”おべんきょー”の時間に(笑)。
左右のヘッドライトとエアクリーナーケースをはずした状態では、内部がこんなコトになっております。エアコンリキッドタンクがフロントバンパー内側に装着されているのは、前期型クアトロポルテの特徴です。エボ前の後期型以降車ではフロントバルクヘッド内右側に移動します。よって、エアコンホースのとり回しはまったく異なるものとなっています。
左右のエアクリーナーケースをはずすと、そのすぐ脇にそれぞれボディアース端子が見えます。
これも念のために、一旦銅製のナットをとりはずし、端子接触部を磨きだし、再度組み付け直しておきました。ボディ側にも銅板が溶接されているのが、写真でもお分かりになると思います。もちろんこの銅板部分も磨きだします。先日ギブリの時にもご案内したウォッシャー液注入パイプが、今日の写真ではよく見えていますね。
左右の”目ん玉”がはずれた状態で、それぞれ視線を車体の内側に向けたビューがこの二枚の写真です。
普段はほとんど気が付かない様なところですよね。
エンジンフードのキャッチ周りは、ご覧の様にヘッドライトが無い状態を作りませんと、細かい調整が難しい位置に付いています。ヘッドライト自体は三本の固定ボルトで、この写真に写るステーの穴を貫通させつつヘッドライト裏のナッター目掛けて留めるのですが、真ん中のはともかくとして、左右のヤツはメチャクチャ手が入りません(特に取付時にはたいへん往生いたします→今日もコレやって、コシが逝ったのヨ:泣笑)。
さて、”おべんきょー”はコレくらいにしておきまして、本日の本題にまいりましょう。
まだまだ盛夏のうちに、炎天下に駐車したあとでエンジンがストールして暫時掛からなくなってしまうと云った症状を発現していたという、このクランケのために、疑わしいフューエルベーパーロック現象の発生を”根源的に”叩くべく、フューエルラインとエアコンガスラインの双方を改造し、フューエルクーラーを造ってみました。
そもそも、「デ・トマソ期マセラティ」でも、2.8リッター(タペットカバーが赤いエンジン)になって暫くしたモデルからは、純正でフューエルクーラーが装備され、従前のモデルでは悩みの種であった”フューエルベーパーロック症状”をほとんど抑え込めるレベルに達していたのですが、フィアット期モデルになったら、コストダウンのためか、ヘンに自信を深めてしまった(笑)のか、とにかくフューエルクーラーの装備自体をヤメてしまっていたのです。ですから、昨今の様に「真夏の都市部での異常な猛暑」を喰らうと、時にギブリやクアトロポルテで、このような症状が出てしまうコトが(15台に1台くらいの確率で)ありました。
純正オリジナルのフューエルリターンホースはメッシュの編み込まれた非常に高価な部品。エンジンの一番後ろに聳え立つ様に装着されていることから、ここの”美観”は損ねたくはなかったのです。
そこで、このような凝った加工法になってしまいました。相手は通常のゴム製フューエルホースにして、ある程度フレキシブルに取り回しが出来るという用件を満たしたかった(なにせ凡てが現物合わせなモンですから)ので、尖端をゴムホースに合わせたノズル形状に変えました。
さらに云えば、本来フューエルクーラーに即効性を求めるならば、デリバリー側のインジェクタ直前で急速に冷やしたくなるのですが、エンジンルーム内部の種々の配管、配線のとり回しや、周囲のリレーなどとの干渉を避ける観点から、「デ・トマソ期マセラティ」に装備されているフューエルクーラーを参考にして造ったモノですので、同シリーズのモノと同じように、エンジン右側面のインナーパネルに沿った位置(しかも、リレー群の真下に配置して出来るだけ表に見えぬ様、またエンジン熱源からも遠ざけて)に装着いたしました。まずはコレでイッてみましょう。
夕方、完成したクアトロポルテ、次男と三男で光が丘公園周辺を走り回ってまいりましたが、帰って来て一言「エアコンもバリバリでぜっこうちょー!!」。・・・と申しておりました。明日も走りまわって引き続き様子を見てみようと思います。
それじゃー、また明日!!
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この緻密且つ繊細な仕上げはマイクロ・デポならでは。オリジナルには忠実に、美観を損なわずに信頼性を補う職人芸。これには思想と哲学が必要です。マセラティとはなんたるか。デザイナー、設計者の視点に立ち、彼らがどのような思想のもとにマセラティを開発したのかを理解していなければ、こんな仕事は出来ません。前にもコメントしましたが、岡本さんたちは芸術家です。
投稿: Ryo | 2012年11月 7日 (水) 20時26分
エアコンも仕事っぷりも、バリバリでぜっこうちょー!!
さすがです。素晴しいです。
よっ、日本一(笑)。
おまけに、フューエル経路点線書きの芸の細かさに、繊細な仕事っぷりを
垣間見させていただきました。
投稿: Wさま | 2012年11月 7日 (水) 20時52分
早く帰れた日は何やら良い事がありそうで、帰りスマホでwebをチェクしたら、、
まじですか? 私の車がメイントピックスになっている!
光栄です!
もうすぐですね。
再会出来るのは。
いろいろとお世話になります。
また隅々と手を入れて頂き、QPも喜んでいる事でしょう。
ありがとうございます!
投稿: woodykida | 2012年11月 7日 (水) 20時56分
あろはー、といえば、「まったくやる気がない人々が目についてしまう島(まじめな方もいるだろうが)」を思い出しますが、それとは真逆の仕事人が岡本ズですね。
エンジンルームの見た目を気にしてくれるなんて、やっぱ宇宙に一店舗。
投稿: 一松 | 2012年11月 7日 (水) 22時50分
エアコンの配管をどうやってフューエルクーラーにするのかと思っておりましたが、エアコンの冷たい配管で直接冷やすワケですね!!これは強力そうな装備ですね!!
で、しかも言わなきゃ(言っても??)気づかないような自然さがたまりませんね♪
それはそうと、ヘッドライト・ステーの穴、てきとーにグリグリ拡げた感がまたなんともイイ感じですね(笑)
投稿: kkmustang | 2012年11月 8日 (木) 00時17分
へぇーです。意固地なオリジナル原理主義でなく、実情に併せて、オリジナルを損なう!!ことなく、実利を取るという!素晴らしいです。フュエールクーラーって、なんかファン回して冷やすかと思いきや、夏の暑いときに起きる訳で、その時はエアコン絶対使っているし、その配管で冷やすのが一番理にかなう訳ですね。
ヘッドライト裏の情報も新しいです。ビトルボのデポ流超絶仕上げって、なんだか四国の八十八カ所のお遍路参りみたいに、色々(88カ所??)、難所(フュエルタンクとか、ヘッドライト取り付けとか、ボルトが折れてとか、べとべと、経年劣化と汚染とか)が在るんですなー。一台仕上げる度(旅)に納車成就(結願成就)と相成る訳です、パチパチパチ
投稿: 練馬のH | 2012年11月 8日 (木) 00時40分
デトマソ期からフィアット期の仕様の変遷に興味がわきました。でもそこはデポ流に日常使用に耐えうる対策を躊躇なく施し、しかもオリジナルの見た目も
損なわず出来る技術は唯一無二の存在です。
だから古いマセラティでも安心して乗ることが出来るんですね。
投稿: みっち | 2012年11月 8日 (木) 07時54分