旧車とカップメンの休日(その4)
いよー!よくよく考えたら(いや、考えなくてもフツー分かると思うが:笑泣)、今日は2月もラストデー。さっきお正月を迎えた気分であったのに、明日からは3月ですか・・・フー、なんか本当に年初から「匍匐前進」を強いられた二ヶ月間ではありましたなぁー。「旧車の神様」がもしいらっしゃる様でしたら、何卒この哀れな三兄弟にお慈悲を(懇願)と願わずにはおられません。ここのところ、もう毎日がずるずるとハマり作業の連続になっており「匍匐の上、さらに逆風で豪雪」と云った体。まあ、”明けない夜は無し”、夜明けは近いかな(笑)。桜咲く春も目の前ですし、ここで一気に頑張ってまいりましょう!
・・・さてさて、昨日の続きから。日曜日、ちょうどお昼前のひとときには、一旦パシフィコ横浜を離れ、すぐ近くに位置している当所にやってまいりました。
「カップヌードルミュージアム~安藤百福発明記念館」と云うのがこの施設の正式な名称です。昨年のノスタルジック2Days来訪時にも、ココの前は通りましたが、午後の遅い時間であったために入場はいたしませんでした。開設したばかりで、マスコミが取り上げるコトが多かったこのミュージアムも、一年経過して少しは落ち着いているかなと、まずは入場してみるコトにいたしました。玄関口は広大な天地空間が広がる「もったいねぇー」ほど無駄に広々としたムードです。ただし、ものすごく気分の良い空間である事も確か。”ここは、近代アートの殿堂ですよ”みたいな造りは、さすがにミュージアムを標榜するだけのコトがありますね。いやが上にも期待が膨らみます。
”たこちゃんヨメ”は入場券を買いに並びます。日曜日のお昼前とあって、団体の観光客もバスツアーなどで次々と訪れています。玄関付近は結構な数の人々でごった返している様です。
入場料は大人500円(税込)。企業モノの博物館の多くは無料であるコトが多い(しかもお土産付だったりもする)のですが、サスガは商人の街:大阪の企業らしく、商いはウマいモノです。一等地で自社の宣伝をしながらチャッカリ入場料は頂くのですからね。お土産も”別腹”。その分、施設にお金と人員がものスゴク掛けてあると云うのが素人目にも分かると云うところも特徴的ではあります。
コレを見て、御家族連れでイッてみようと思うあなたのために、コツ(と云うホドの事も無いけれど:笑)を伝授しておきますと、入場したら、まずは真っ先に3階フロアに上がりましょう。
ここには、かの有名な「カップヌードルファクトリー」があります。自分オリジナルのカップヌードルをその場で製造してお持ち帰りになれると云う、この施設で一番の目玉スポットです。テレビなどでもたびたび登場いたしました。とにかくも、”ファクトリー”への入場整理券をまずは人数分貰っておくのが、当所に来て真っ先になすべきコトです。
整理券を入手したら、あとはファクトリーへの入場を指定された時間までの間、館内を自由に廻りましょう。
・・・とは申しましても、”コノ手(ドノ手?)”の昭和文化ネタに御興味のウスい方には、ハッキリ云って面白い展示はほとんど無いと断言出来ます。一方、”ソノ手が大好き”なあなたは、ここに住みたくなるコト請け合いでありましょう。ちなみにワタシが”住んでもいい(笑)派”であるコトは論を待ちません。
・・・と、云うワケで、即席ラーメンの歴史標本とも云うべき超絶怒涛の展示コーナー。その展示品の数々をひとつひとつ吟味してまいりましょう。当日、こんな写真の撮り方をしていた野郎はワタシ以外に居るハズもありません(笑)。
たったひとつの”発明品”、原初のチキンラーメン(左写真)から始まった日清製インスタントラーメンの歴史。年を経るごとに枝葉を出していく有様が、ビジュアル的、立体的に表現されているスペースです。右の写真には「千金蕎麦」とあります。「せんきんソバ?」いやいや、おそらくは「チキンソバ」と読ませるのでしょう。”一攫千金のチキンそば”といった、大阪流のシャレなのではないかと思います。創業当初の製品だと思いますが、その後見ない(少なくとも東京では)様な気がいたしますので、”濡れ手に粟”とはイカなかったのでしょうね。
あぁ、この商品「チキンラーメン・プラスカレー」のテレビCMを、懐かしのテレビ番組を取り上げて面白がる趣向のバラエティ番組「テレビ探偵団(この番組自体が既に懐かしの番組になっちゃってますが:TBS系)」内の「懐かCMコーナー」で取り上げられていたのを見たコトがあります。ラーメンとカレーのカップリングはかなりハヤい時期から模索されていたと云うのが、この製品の存在から分かります。関西方面の方で、当時コレを喰った経験者の方々からどのようなお味であったかを伺いたいモノです。
そして、”冷麺”と云う発想も登場しています。「チキンラーメン・ニュータッチ」って・・・関東には「ニュータッチ・ヌードル」と云うのが日清食品とは無関係に存在し、「♪いっちどおぼえたアノ味はー、ニュータッチヌードル。シオかショーユかショーユかシオかぁー、うまいヌードル、ニュータッチ!!」っつーコマーシャルがコドモの頃には夕方の時間にたくさん流れておりました。商標権を買い取ったのかなあ。そして、”和風”にもチャレンジしています。おそらく”純正しょうゆ味”を狙った製品でありましょうが、関東には「サッポロ一番しょうゆ味」と云う極めて強力な存在がありますので、コレも定着しなかったモノと思われます。
このあたりで、インスタントと云うには、ちょっと面倒くさい製品が登場してまいります。
「日清焼そば」は現在でも売っている超ロングセラー商品。一旦フライパン上で湯がいた後に、水分がトブまで炒めなさいよ、と云ったまどろっこしさは、だったら、はじめから生メン炒めた方がハヤいしウマいのではないかと思わせるのですが、生メン焼きそばとはまったく別種の食い物として定着している様です。発売当初からキャンプや川原でのバーベキュー大会などでの使用をアピールしたテレビコマーシャルを流していたので、保存性の良さや重量の軽さ、乾き物ならではの携帯性の良さも製品のアタックポイントとなっていたのかも知れませんね。「♪にっしんやきそば、た・べ・よっ!(キダ・タロー先生作)」
なんとか、チキンラーメンの次の大型商品を開発したいモノだと、様々な試行錯誤を繰り返してきているのが、ここまで見ても伺えますが、日本蕎麦方面もあきらめていない様子ですね。
焼そばの方も、”味アップ”と称する別添調味料で、存在感をキープしようと懸命です。パッケージの右側に立つ野球帽の少年は「ちびっ子」と云う名前です。1960年代後半に製造された同社製品にはパッケージのどこかに大概この絵が描いてあります。当時同社提供の人気番組”日清ちびっこのどじまん”において「ぼくの名前をつけてね」とわざわざ大キャンペーンを張って、結局付けた名前が「ちびっ子」ですからね。視聴者をナメとんのかぁー(まぁ、あたりさわりが無いわな:笑)。
やっぱ、ラテン系にも手を染めてみようと送り出したのが「スパゲニー」ですか。どのような味であったのかと興味は尽きませんが、おそらく現在は売ってなさそうです。「SPA王」の遠いご先祖だよな。
そして、本格派を目指し過ぎて失敗したのが、「生中華」。結局自社の主力商品の否定にしかなり得ませんでした。今でこそ「世界の日清」と云うイメージの強い同社ですが、まだまだこの時期には磐石とは云えない”いまだ創業10年”の企業体です。昭和30年代終盤に登場した”スープ別添方式”の後発他社製品(サッポロ一番とか明星チャルメラとかエースコックのワンタンメンなど)に人気を奪われ、本家は苦戦しておりました。
手を替え品を替え・・・ようやくたどり着いたのが、この現在にも残る「出前一丁」です。
ワタシ、コレが発売された時には、あまりにもテレビコマーシャルをヘビーに放映するので、熱病にうなされるかの如くにこのラーメンを食するコトを渇望しておりました。「♪あーらよ、でまえいっちょーーー(キダ・タロー先生作)」のサウンドロゴはあまりにも有名です。時代とともにアレンジこそ色々変化してますが、現在でも使われているようですね。それまで「サッポロ一番しょうゆ味」しか食べたコトが無かったワタシにとっては、ゴマの風味は衝撃的にインパクトがありました。もう、学齢期に達するまでのしばらくの間は「出前一丁」しか食べなかったです。同社としては、”スープ別添方式”での初めてのヒット作となりました。原初のチキンラーメンから10年掛かったワケですね。
この辺に来ますと、段々とパッケージも垢抜けてきた様に思います。
元祖チキンラーメンは、その登場時期が早かったためにパッケージデザインは相当古めかしいモノでありました。
時代の変遷とともに、少しずつではありますがモデルチェンジをしていたものの、後発他社製品の工夫を凝らしたパッケージやコマーシャル戦略の前に後塵を拝していたのは否めません。
その後も、チキンラーメンのリニューアルを繰り返しつつ、ヒット商品の「出前一丁」にあやかった”味のバリエーション展開”も色々と試みられた様ですが、当時の東京では売ってるのを見たコトがありません。
やはり、関東地方では、群馬を創業の地とする「サンヨー食品」と「明星食品」が圧倒的に優位にたっていたのだと推測されます。この時期には”マルちゃん印”「東洋水産」も台頭してきました。
まぁ、「サッポロ一番」のしょうゆ、みそ、塩は現在でもインスタント袋メン市場では”超定番”の製品ですからね。サンヨー食品の定番三兄弟はどれも飽きのこない味。そして、あらゆるチューンナップに対応する可能性を秘めた味ですよね。この牙城を切り崩すには、結局のところ”味”で勝負するしか無さそうですが、味の好みには地域性がありますので、全国展開ともなりますと、各地の嗜好性に合わせるなどの配慮も必要になってまいります。”発明者”にして”元祖”の威信を賭けた日清食品の次の手は・・・緊迫の次号を待て(少年ジャンプ風:笑)!
それじゃー、また明日!